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ゲームの軍隊と異世界攻略  作者: RIGHT
第2章 Operation Dragon Slayers
50/88

第2章12 湊再びとフェイズ3

[9月5日 10:30時]

〈アメックス王国ディーフ地方 フェンリル派遣軍基地 フォート・ディール 空軍区画 エプロン〉

フェンリル軍GDU1stIB 七海優香 TACネーム:フェアリー



次の作戦に向けて準備をしていた私のところに、湊からまた新装備を作ったと連絡があり、私達はもはやお馴染みとなったエプロンで愛用の銃を持って待機していた。


『なんか今回はたくさん作ったそうだけど、湊さん大丈夫かな?』


「まあ、大丈夫でしょ。湊さんだし。」


「そうなの。湊はとても頑丈なの。簡単には壊れないの。」


「あなた達その湊って人の扱い酷くない?」


「シャル、そんな人を物みたいに言うのは。」


有希達の話しを聞いていたセシリアとレヴィが突っ込んだが、


「そんな事ないわ。なにせ湊だし。私は実は湊が大量のクローンを作ってたとか怪しい魔法とかで異種族になってたって聞いても、『あ~納得』位にしか思わないわ。」


「「『確かに。』」」


私の発言に有希達も同意した。


「クローンが何かはわからないけどあなた達にそこまで言われる湊ってどんな人なのよ。」


「何だか会うのが怖くなってきたよ。」


そんな事を話していると、毎度お馴染みの輸送機の群れが複数の護衛機を引き連れて現れ、次々と着陸していった。


「はぁ。鬼が出るか蛇が出るか、行ってみましょうか。」


私達は着陸した輸送機の群れに向けて歩いて行った。



「よーし、ゆっくり下ろして。オーライ、オーライ。よし。次も頼むよ。」


私達が輸送機に着いた時、湊はいつも通りの白衣を着て貨物の積み降ろし作業を行っていた。


「ん?おー。フェアリーに特殊部隊のみなさんお久し振り。なんかまた新しい人がいるね。どうもはじめまして。自分は平賀湊。フェンリルの研究者さ。よろしく。」


湊は私達に気付くと近寄ってきて自己紹介をした。


「はじめまして。セシリア・リンドブルムです。」


「レヴィア・グラシアです。はじめまして。」


2人は湊を若干警戒しながら自己紹介をした。


「よろしく。セシリアにレヴィアね。しっかり覚えたよ。いやー、それにしてもフェアリーはほんと女の子にモテるね。前世はきっとどこぞの美男子で美少女達を侍らせてたに違いな[ゴツッ]痛い!」


私は拳骨を頭に降り下ろした。


「下らない事言ってないでさっさと始めなさい。」


「寝不足でハイな頭に拳骨はきくねー。それじゃあ時間も勿体無いし、どんどん説明していこうか。」


湊はそう言うと私達を大量の銃のパーツが置かれた場所に案内した。


「これは全員の銃をアップグレードできるパーツだよ。ありとあらゆるデータを参考に、個人専用に設計、生産した特別なパーツだよ。カスタマイズはこっちでやっておくから、銃をおいて行って。そしたら次だ。」


私達は銃を湊の部下に預け、湊について行った。


湊に続いてC-5の奥に行くと、全身を装甲に覆われ、両肩にミサイル、右腕に3連装のガトリング、左腕に巨大な盾を持った超重武装のパワードスーツが鎮座していた。


「何?あれ…。鎧?それもオリハルコンとかイロカネとか大量に使ってるね。値段を想像するのも恐ろしいレベルの装備だね。」


「あんなゴツくて希少な金属使いまくった装備帝国軍にもなかったわよ。」


「すげぇー。」


「一気にSFじみてきたな。」


「いや…個人携行型のレールガンとかレーザーライフル、光学迷彩、パワードスーツともう大概SF装備が普及してきてるし、こんなん出てくるのも時間の問題だったと思うんだが…。」


「「「「「確かに。」」」」」


レヴィアやセシリアだけじゃなく、特殊部隊のメンバーからも驚きの声が上がった。


「これは重武装戦闘服[Heavy Armed Combat Suits]、通称HACSだよ。装甲は魔法やら魔術やらを組み込んで、至近距離でのRPG-7の直撃にもびくともしないし、熱、毒、ガス、水、放射線、魔法、魔術の遮断も完璧。

武器は、右肩に110mmLAM(個人携行対戦車ミサイル)が1機、左肩に70mmレールキャノン、右腕に20mm3連装ガトリングガン、左腕のアサルトシールドは105mm戦車砲の直撃を受けても曲がらない複合装甲だよ。まあ、そんな衝撃を受けたら流石にスーツがイカれそうだけどね。

ドラゴンとかの上位の魔物と真正面からぶつかりあう前提で作ったから物凄い重武装だよ。」


流石にこれには慣れてきた私達も驚きを隠せなかった。


「こんなものいつ使うのよ…。」


「ちょっと待て。これがドラゴンとか上位の魔物用ってことは、上位の魔物はこんなもの使う人間が複数いないと勝てないほど強いって事か?」


「しかもそれと生身で、鎧と剣で戦うような人間もいたそうだぞ。」


「「「「「ファンタジー世界怖!」」」」」


この世界でも非常に高い戦闘能力をもつ特殊部隊の隊員達が、絶対に油断はしないと心に刻み込んだのを確認した湊は、


「そんじゃあ次に行こう。」


いたずらが成功した子供のような笑みを浮かべ、1機目の輸送機を出て2機目に向かった。



2機目の輸送機の中には白い布がかけられた戦闘機と思われる何かが2つ鎮座していた。


「さあ、次だよ。この中でヘリや戦闘機の操縦ができる人って多い、というかほぼ全員出来るよね。」


フェンリル軍の方針により、特殊部隊に所属する兵士は、輸送車、バイク、装甲車、戦車、はてはMLRSなどの車両、ヘリ、戦闘機、攻撃機、輸送機などの航空機、RCB、RHIB、水上バイク、ホバークラフトなどのボート、などの各種兵器の操縦訓練も受けており、ほぼ全員が最低でも車両3、ヘリ1、航空機1、ボート1の6種類の兵器の操縦が可能となっていた。

当然専門職の人間と比べれば練度は比べるまでもないほどだが、中にはパイロットとして生きていけるほどの腕前の者もいた。

ゲームの軍隊で、環境や予算などのしがらみがなく、時間も余りあるほどあったからこそ可能な事だった。


「そこで!この度、みなさんに個人用の機体をプレゼントさせていただく事になりました!」


「「「「「何!」」」」


湊の発言に普段ふざけあっている時にも心は冷静でいる特殊部隊隊員達が心の底から驚きの声をあげた。


「ちょ、湊!それ本当?!」


「勿論です。今回は既にオーダーのあったフェアリーと副官の七海有希、シャルル・オラトリエ、七海アナトの3人専用に生産した機体を持ってきてあります!」


「「「「「おおー。」」」」」


隊員達が歓声をあげた。

だが私は腑に落ちない事があった。


「私はあなたじゃなくてキャロルに頼んだんだけど!しかもごく普通のF/A-4を4機!」


私は湊に頼むと魔改造されるか、気違い装備満載の新型を持ってくるとわかっていたので、本土にいる副官のキャロルにごく普通の震電Ⅱを4機発注していたのだ。


「それはだね。キャロルが私のところにきて、どうせだし最高品質のやつをって言ってきたからだよ。」


私は軽く頭痛がし、額に手を当てた。


「キャロル、あなた頼むところを間違えてるわよ。」


私は本土の方を見ながら呟いた。


「まあ、そんな訳でフェアリー達には最近実験飛行隊で性能試験が終わって実戦配備が始まる予定の新型機の特別生産モデルを持ってきているよ。」


そう言って湊は1つ目の布を引き剥がした。

布の中からは真っ黒に塗られた、ASF-Xに似た外見の機体が現れた。後部尾翼にデフォルメされた私に似た妖精が白銀の毛を持った狼に乗ったイラストと、FMGDU 1stIB[フェンリル軍ギルド派遣部隊 第1独立大隊]の文字が書かれたエンブレムが描かれ、コクピット近くにはピンクで妖精が描かれていた。


「これはAF-Xのフェアリー専用モデルだよ!AF-Xは、ASF-XとF/A-4のデータを元に生産された最新の多用途戦闘機の1つだよ。愛称は零Ⅱ。フェアリー専用モデルは、最高時速マッハ3.5!リッジバックスのASF-X以上の機動性を持ち、機銃はGAU-8を積んでいるよ。今まではこんな重量制限とかパイロットの負荷とか色々と無視した機体は、いくら自分でも作れなかったんだけど、魔術と魔法を応用して身体や機体にかかる負荷を最小限まで減らしているから問題はないよ。本当に魔法と魔術って便利だね。私達の世界の物理学、物質学、数学ではあり得ない事を可能にしてくれるんだから。武装も通常モデルを大幅に改造して、翼のハードポイントにレールガン×2、特殊ミサイル×2と通常兵器×4に、機体内部のウエポンベイに短距離ミサイル×2と超重武装だよ!」


私はその言葉を聞いていて少し頭痛が酷くなった。


「ちなみに、これ1機でB-2が1機作れる位の金[約727億円]がかかったよ。」


その言葉に値段を知らないシルキーのメンバーとレヴィア、セシリアを除いた全員が苦笑いを浮かべた。


「そんじゃあ次だ。」


湊は奥に行き、2機目の布を剥ぎ取った。

布の下からは純白にペイントされた独特な形状の機体に、尾翼に私の物と同じエンブレムが描かれ、コクピット近くに赤でデフォルメされた魔法使いが描かれた機体が現れた。

そして機体の周りには8機の中型UAVが置かれていた。


「この機体は、CFA-44の有希モデル。愛称はノスフェラト。CFA-44はレールガンとマイクロミサイル、UAVのプラットフォームとして開発した多用途戦闘機だよ。コクピット横の上部ウエポンベイにレールガンかマイクロミサイルポッドを搭載出来て、機動性と速度性能もピカ一。そして最大の特徴はUAV管制機能だね。中型UAV『ガーディアン』の管制機能を持っているよ。」


湊は続けてUAVの説明を始めた。


「この中型UAVガーディアンは、固定武装としてレーザーを積んでいて、母機か、母機に近づく敵性航空目標を自動で攻撃する防御用だけど、当然攻撃にも使える仕様になっているよ。それじゃあ次に行こう。」


湊が2機目を出て3機目の輸送機に向かったので、私達も後に続いた。

3機目の輸送機の中にも、白い布を掛けられた戦闘機が2機鎮座していた。

湊は一番手前にあった機体の布を剥ぎ取った。

布の下からはASF-XやSU-47のような前進翼で、後部尾翼の下に巨大なエンジンを2つ積んだ青い機体が現れた。後部尾翼には私と同じエンブレムが貼られ、コクピット近くにデフォルメされた悪魔が金色に輝いていた。


「この機体はADFX-03アナト専門モデル。愛称はモルガン。ADFXシリーズは高出力レーザーのプラットフォームとして開発した制空戦闘機だよ。機体自体の特徴は後部に積んだ大型エンジン。あれのお陰でフェンリルの機体でもトップクラスの最高時速を誇っているよ。そして、最大の特徴は、背中にレーザー砲を搭載出来る事で、03型はレーザーの照射回数が少なくなるけど、様々な方向に高出力レーザーを照射出来るようになっているよ。

他に01型と02型があって、01は03より多く、02より少ない照射回数を持ち、ADFX系の中で最も長射程だけど、照射方向は変えられない。

逆に02型は最も多い照射回数を持つけど威力が最も弱く射程が短い。

03型は威力が最も強く、照射方向も変えられて射程も長いけど照射回数は02型の半分しかない。

まあ、これはそのうち改良するよ。

次に行こう。」


湊はさらに奥に行き、4機目の布を剥ぎ取った。

布の下からは、アナトの機体をさらに二回り大きくしたような黄緑色の機体が現れた。垂直尾翼には例のエンブレム、コクピット近くにはデフォルメされたアルラウネが描かれていた。


「これはADAX-02シャルル専門モデル。愛称はアドラー。ADAXシリーズは専用の特殊ミサイルのプラットホームとして開発された機体で、01型と02型の2種類がある。

01型は対空攻撃用の特殊なミサイル。

02型は対地攻撃用の特殊なミサイルをそれぞれ最大で8発搭載出来るよ。

これで全部だけど質問は?」


もはや湊の開発した装備の異常さに慣れてしまっている私達と異常さがいまいちわかっていないレヴィアとセシリアは特に騒ぐ事も無く質問を始めた。


「その機体はもう飛べるの?」


シャルが真っ先に手を上げた。


「個人認証を終えればいつでも飛べるけど、最終チェックをさせて欲しいね。他には?」


「武器のアップグレードの終了予定時刻は?」


スペツナズのスナイパーのアリョーシャ・パブリチェンコが言った。


「取り替えて調整もしたいから大体3~4時間後かな。はい、次は?」


「私とシャルの機体に積めるっていう特殊なミサイルって何?大丈夫なの?」


私も手を上げて質問した。


「私の開発した装備が味方もろとも吹き飛ばすんじゃないか心配だと言う事だね?まあ、確かに味方がいる状況下で撃ったらヤバいやつも多いね。後でリストを送るけど、例えば戦術核級の大爆発を発生させる弾頭を積んだ巡航ミサイルとか、半径500m、高さ750m以下に複数の爆発を巻き起こす空間制圧兵器を積んだ弾道ミサイルとか、空中で小型のミサイルを大量に発射して複数の目標を攻撃する対空ミサイルとか色々だね。アドラーの01型が対空用のミサイルのみ、02型は対地用のミサイルのみ、零Ⅱフェアリー専用モデルはどっちも積めるけど登載数が少ないね。まあ、リローダーがあるから一度に発射出来る数が少なくなる位で問題はないよ。」


湊は笑顔で言った。


「問題はそこじゃないと思うんだけど。」


「まあまあ。戦力が飛躍的にアップするんだから良いじゃないか。次は?」


「欲しい機体のリクエストってのは今取るのか?」


デルタの軽機関銃手が手を上げた。


「あそこにおいてあるタブレットに要望を入力してくれれば良いよ。機体は直ぐに改造が始まるけど完成は2ヵ月以上先だね。

次は?………無いようだね。それじゃあ自分は作業に戻るから何かあったら呼んでね。」


湊はそう言って武器のアップグレードをする為に最所のC-5に戻って行った。



[15:20時]

〈アメックス王国ディーフ地方 フェンリル派遣軍基地 フォート・ディール 中央区画 司令部 会議場〉



湊の銃のアップグレードが終わった後、私達はいよいよフェイズ3に移り、帝国領土に侵攻する為のブリーフィングを開始した。

いつも通り、私は一番前で攻撃目標の説明と、簡単な演説を始めた。


「諸君。私達はいよいよ帝国領土への侵攻作戦に移る!

どこぞの国ではこういう時にやれ正義の鉄槌だなんだとご高説を垂れるのかもしれない。だが。私達のやっている事のどこが正義だろう?私達はただ、帝国のやっている事が気に食わないと自分達のエゴを押し通しているだけだ。

しかし!そうしなければ私達がこの世界で得たかけがえのない友人達が、罪の無い民衆が、傷付き、涙を流す事になるのなら、私達は自ら汚れ役を引き受け、代わりに汗と、血を流してやろうじゃないか!そうだろう、みんな!」


『『『『『『『『応!!!』』』』』』』』


「良い返事だ!これより作戦の説明に移る。先ずはモニターを見てくれ。」


モニターに所々赤く染められたレイシス帝国の地図が表示された。


「CIAのエージェントの報告により、敵の大規模な部隊が集結している地域は既に判明し、CIAの工作活動により、どの部隊も物資の収集が遅れ最も早い部隊でも出撃まで3週間はかかるそうだ。この好機を逃がすわけにはいかない。そこで私達はこの集結中の部隊に奇襲をかけ、一気に制圧する。


攻撃目標は5つ。


1つ目はレイシス帝国北方、城塞都市ベルン。ここにはレイシス帝国海軍の第1艦隊、陸軍の飛竜騎士隊と重歩兵部隊が集結している。ここには第1独立大隊、第6独立大隊、第7独立大隊と海軍第1艦隊、海兵隊第3遠征旅団、陸軍第1機甲師団、第160特殊作戦航空連隊第1大隊があたる。


2つ目はレイシス帝国北西部、森林都市アマリア。ここにはレイシス帝国陸軍の地竜騎士隊と攻城装備を配備した部隊、魔獣部隊という魔物を使役した部隊が集結している。ここには第2独立大隊、第8独立大隊、陸軍第4機甲師団、第160特殊作戦航空連隊第3大隊、空軍第19特殊作戦飛行隊だ。


3つ目はレイシス帝国西部、鉱山都市アパランテ。ここにはレイシス帝国陸軍の重歩兵部隊、騎兵、軽歩兵部隊が集結している。ここには第3独立大隊、第5独立大隊、陸軍第3機甲師団、第160特殊作戦航空連隊第2大隊、空軍第6航空師団第66戦闘飛行隊だ。


4つ目はレイシス帝国南西部、遺跡都市エンク。魔導騎士と呼ばれる精鋭の騎兵隊と、アーティファクトと呼ばれる魔術道具で武装した部隊が集結している。ここには第4独立大隊、第10独立大隊、陸軍第2機甲師団、第160特殊作戦航空連隊第4大隊、空軍第118戦術飛行隊が受け持つ。


最後はレイシス帝国東部、港湾都市モラーク。ここにはレイシス帝国海軍第4、第5艦隊、海竜騎士隊が集結している。未確認だがこの艦隊には潜水艦も配備されているそうだ。ここには第9独立大隊、第11独立大隊、海軍第2艦隊、海兵隊第1遠征旅団、陸軍第5機甲師団、第160特殊作戦航空連隊第5大隊があたる。


以上が参加部隊と攻撃目標だ。各地での作戦については既にUAVが偵察を開始しているし、後でCIAの調査したデータを送るから各担当部隊で協議してくれ。」


私はここで全員の顔を見回した。


「この世界にきて私達は複数の作戦を行ってきた。奇跡的に未だ死者は出ていない。しかし、これから私達が挑むのは、魔法、魔術、魔物と言った不確定要素が満載の戦場だ。これから先諸君には幾度となく命を懸けてもらう事になる。こう言うのは無粋と思うがあえて言わせてもらう。死ぬなよ。」


[ザッ!]


全員が起立し、敬礼をした。


「敵の能力は未知数だ。だが、だからこそおもしろい。」


私は笑みを浮かべて続けた。


「さあ。フェンリルらしく哀れなレイシスト共を食らいつくしてやろうじゃないか。」


異世界から紛れ込んだゲームの軍隊の侵攻が始まる。



[17:50時]

〈アメックス王国ディーフ地方 フェンリル派遣軍基地 フォート・ディール 海軍区画 軍港〉



侵攻作戦が始まる事もあり、基地のそこら中で隊員達が慌ただしく準備をしていた。

その中でも軍港は揚陸艦に載せるヘリ、車両、弾薬、兵員でごった返していた。


「相変わらず大きい!」


「すごい……こんな船が存在するなんて。しかも複数。」


レヴィとセシリアは軍港に停泊している空母と揚陸艦の迫力に圧倒されていた。

今軍港には本土に残っていた第1、第2艦隊の残りの空母戦闘群と水上戦闘群が全て揃い、湾に入りきらないほどの艦が揃っていた。

隊員達はそれぞれ思い思いの場所に行き、家族との時間を過ごしたり、仲間同士で騒いだりしていた。


そんな中、私はシルキーのメンバーと新入りの2人を連れて既に積み込みが終わり、静かになっていたあかぎの甲板に向かっていた。


「来たわね。」


甲板に着くと多紀を始めとした第1艦隊の首脳陣と艦魂達、第1独立大隊の他の部隊のメンバー達が鉄板焼などをしながら談笑していた。


「優香この人達は?」


セシリアが質問した。


「海軍第1艦隊の艦長達と艦魂達よ。」


「艦魂?」


「艦の魂と書いて艦魂よ。精霊見たいなものらしいわ。」


「「へえ~。……精霊?!」」


セシリアとレヴィが驚きの声をあげた。


「ま、またまた~。嘘ですよね?」


「精霊が宿った物なんて始めて見たわ。」


「アナト、2人はどうしたの?」


「あ~。たぶん精霊が宿った物を始めて見たんじゃないかな。私の親が生きていたころは精霊は珍しくなかったんだけど、ここ200年くらいで少なくなったそうだし。」


「そうなの?」


「精霊に直接聞いたからね。なんでも無理矢理精霊を宿らせたりして力を得ようとしている集団がいるそうで、余り姿を出さないようにしているらしいよ。」


「でも、前に魂が宿るのは割とあるって言ってなかった?」


「魂が宿るだけならね。姿を具現化させたり、物に触れられるほど力の強い魂、この場合は精霊だね、が宿るのはまれなんだよ。」


「へえ。」


精霊について話していると、


「何をしているんだ?早くこないと全部食べてしまうぞ?」


多紀が4人分くらいありそうな食べ物を抱えて近寄ってきた。


『持ってきてくれたんですか?』


有希がそう聞いたが、


「違うわよ、有希。それ全部で多紀1人分よ。」


「「「「『え?』」」」」


有希やシルキーのメンバーから驚きの声が上がった。


「多紀はスリムな体型だけど、物凄い大食いなのよ。1食で4~5人分食べるのに何故か食べ終わるのわ同じ時間なのよね。」


「入る所が違うからな。それより今は難しい事は置いておいて食べて来ると良い。明日からはこんな事出来んからな。」


多紀は焼きそばを頬張りながら言った。


「それもそうね。それじゃあ全員食べましょうか。今日は無礼講よ。」


「「「「「イェーイ!!」」」」」


私の言葉が終わると同時に、全員が鉄板焼に向かって駆け出した。


「全く。元気が良いわね。」


「だが、嫌いじゃない。むしろああいうのが好きだろう?」


「良く分かっているじゃない、多紀。」


「長い付き合いだしな。」


私は星が出始めた空を見上げた。


「綺麗ね。」


空は戦争なんてやっていると思えないほど綺麗だった。

HACSはCODAWに出てくるASTを考えてください。

戦闘機はエースコンバット。歩兵用装備はもう打ち止めに近いですね。


何故歩兵が戦闘機とか操縦出来るかは、全員バトルフィールドの兵士だからです。

本当にBFの兵士すごいですよね。戦闘機を脱出して着水してボートに乗って制圧。とか普通にやってますからね。


今回の名言です。今回は『劇場版ガンダム00』のグラハム・エーカーの最期の言葉です。


グラハム・エーカー「未来への水先案内人は、このグラハム・エーカーが引き受けた!

これは、死ではない!人類が生きる為の!」


この最期がかっこ良くて一瞬で好きなキャラクターの上位に食い込みました。

それまでは、愛だの、ミスターブシドーとか言っていてそんなに好きではなかったんですけどこの最期がかっこ良かったです。


次回は艦隊戦です。ちなみに副題は、『第3艦隊集結』です。エースコンバット5をプレイした人はいやな予感がするんじゃないでしょうか?

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