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ゲームの軍隊と異世界攻略  作者: RIGHT
第2章 Operation Dragon Slayers
49/88

第2章11 Operation Dragon Slayers Part.2

[8月27日 11:00時]

〈アメックス王国東方 国境沿いの町リーン 西門〉

アメックス王国親衛軍第3銃兵大隊第1中隊中隊長 シリア・カートナー


戦争が始まり、事前に国境沿いの町リーンに派遣されていた私達は作戦の第1段階として避難作業を開始していた。


「落ち着いて!ゆっくりと進んで下さい!」


「手荷物は最小限に!」


「ほら!そこの男!男は一番最後よ!子どもと女性、老人、病人、怪我人が優先よ。男なら他の人を守る位の気概を見せなさい!」


隊員達が必至で誘導をしているが、小さな町とはいえ700人近くの住人の避難は慣れていない私達には荷が重く、馬車も足りない為混乱が発生していた。


「くそ。やはりそう上手くはいかないか。通信士、上はなんと言っている?」


私はフェンリルから譲り受けた通信機を背負う隊員に聞いた。


「同じです。増援と協力して作戦を遂行しろ、だそうです。」


「その増援はいつ来るんだ?!このままだと暴動になるぞ!」


その時、


「え?ちょっと待ってください。謎の電波を受信しました。………西…から…侵入する?西から何か来ます!」


「西から?だが馬車も兵士も見えないが?」


私は不思議に思いながら西を見ていると、


[バタバタバタバタ]


「?何の音だ?」


「音ですか?私には聞こえませんが……。」


「これでもエルフだからな。何かが空気を打つ様な音が、それも複数、近付いている?!全員、安全装置を解除!西から何か来るぞ!」


私が叫ぶと、近くにいた隊員達が直ぐに動き、M1A1を構えた。


[バタバタバタバタバタバタ!]


空気を打つ様な音はドンドン大きくなり、西の空に突然羽の生えた鉄の箱の群れが出現した。


「な、なんだあれ!」


「新種の魔物か?!」


住人達と私達は初めて見る奇妙な飛行物体に軽いパニックを起こした。

飛行物体は私達の近くに着陸し、中から私達に銃の扱い方を教えた者が着ていた物と良く似た戦闘服を着た集団、約200人ほどが降りてきた。


「おい!俺達は味方だ!そんな危ない物を向けないでくれ!」


箱から降りてきた集団のリーダーと見られる男が近付いてきて言った。


「上の言っていた増援か?」


「そうだ。俺はフェンリル陸軍グリーンベレー第1大隊大隊長のグレアム・ヤーボロー大佐だ。あんた等は親衛軍第2銃兵大隊第1中隊だろう?大隊長のイリアナ・ハレル上位1級騎士がよろしくと言っていたぞ。」


私達の直属の上司の名前が出て隊員達が指示を求めて私を見た。


「………嘘じゃないようだな。全員銃を下ろせ。ヤコン、トリーナ、住人にあれは味方で心配いらないと説明して来い。」


「「はっ!」」


2人が住人に向かって駆けて行くのを見送って、私はグレアムという男に近付いた。


「大変失礼した。私はこの中隊の隊長を務めるシリア・カートナー1級騎士だ。」


「なに、いきなりあんな物が現れたら警戒するのが普通だ。その姿勢を褒めこそするが、非難はしないさ。さっきも言ったが、俺はグレアム・ヤーボロー大佐だ。シリアさん、あなたの事はイリアナ大隊長から聞いているよ。デスクワークが嫌で昇進を蹴った変わり者の大切な友人と言っていたな。」


「全く。

せっかく来てもらって悪いんだが、見ての通り避難作業中だ、住人を馬車に誘導するのを手伝ってくれ。」


「それは勿論構わないが、後何人だ?」


「町には692人いて、そのうちの472人は既に退避した。残りは220人だが馬車が足りない。今日中に避難出来るのはそのうちの半分程だ。」


私がそう答えると、


「ふむ。大方予想通りだ。俺達の乗ってきたやつを使えば良い。俺達が降りてオスプレイは空だ、非武装の軽い民間人なら1回で全員持って行けるだろう。」


「本当か?!」


私は驚いて聞き返した。


「ああ。恐らく上は初めからそのつもりだったんだろう。そうときまればさっさと始めよう。全員!民間人をオスプレイに誘導しろ!」


「「「「「了解!」」」」」


グレアムが叫ぶと、後ろにいた部隊が駆け出し、住人達の誘導を始めた。


「……はっ!第1中隊!彼等を手伝え!民間人を避難させろ!」


「「「「「はっ!」」」」」


あまりの手際の良さに呆気にとられていたが、私達も住人を避難させる為に誘導を始めた。



[12:30時]

〈国境沿いの町リーン 簡易指揮所〉



住人の避難作業が終わり、なんとか一息着く事が

出来た私達は昼食を一緒に採る事にした。


「な、何だ、この味は!」


「お、美味しい!こんな美味しい物があったなんて…!」


私の部下達はグレアムの部下から分けてもらった食事に感激していた。


「う、旨いな。」


「だろう?このビーフシチューは俺も好きだ。」


私とグレアムは同じ席で食事をしていた。


「そう言えば、シリア達の使っていた銃の事だが、」


「ん?これか?」


私は机に立て掛けておいたM1A1を手に取った。


「見せてもらえるか?」


「別に構わんぞ。」


私はグレアムに銃を手渡した。


「ふむ。ほとんどM1A1と変わらんが、機関部はオリジナルか。これなら積まされたアップグレードキットが使えるな。湊さんめ、最初から分かっていたな?」


グレアムは私の銃をチェックすると何か呟き始めた。


「なぁ。大丈夫か?」


「ん。大丈夫だ。親衛軍の皆さん!聞いてくれ!俺達からプレゼントがある!」


グレアムは銃を掲げて言った。


「プレゼントだって?」


「この食事以外に?」


部下達は期待の目を向けた。


「何をする気だ?」


私が聞くと、


「銃の強化さ。全員、着いて来てくれ!」


私達はグレアムに着いて行く事にした。



〈国境沿いの町リーン 簡易指揮所 弾薬集積所〉



「あった、あった。この箱だ。」


グレアムは私達を弾薬集積所に連れて来ると積まれた箱のひとつを取りだし、開けた。

箱の中には、太く、短い金属の筒と、細く、長い金属の筒、双眼鏡の様な物が入っていた。


「何だ?これは?」


私が不思議に思っていると、


「よっと。」


布を広げたグレアムが私の銃を分解し始めた。


「な!何を!」


私が詰め寄ろうとすると、


「落ち着け。パーツを取り替えるだけだ。」


グレアムはそ言うと、箱から細い方の筒を取りだし、銃の本体に差し込み、組み立てた。


「やっぱり上手くいったな。それじゃあ今から説明を始めるぞ。今交換したのは銃のバレルと言うパーツだ。元のやつでも問題はないが、今変えたのは特殊な工程で作られた高精度バレルだ。命中精度が飛躍的にアップする。それだけじゃない。先端を見ろ。」


私は銃の先端に目を向けた。


「何だ?変な切り込みが…。」


「そうだ。そして、この切り込みにこいつを着ける。」


グレアムは太い方の筒を取りだし、銃の先端に取り付けた。


「シリア、弾を。」


「あ、ああ。」


私は1発をマガジンから抜き手渡した。


「先端のはサプレッサーと言うパーツだ。これを着けて撃つと。」


[プシュ!]


「「「「「おお!」」」」」


銃の音が明らかに小さくなっていた。


「とまあ、こんな具合に音を小さく出来る。そんでもって、最後にこいつをここに着けて、終わりだ。」


グレアムは双眼鏡の様な物を銃の上に取り付け、私に渡した。


「覗いて見ろ。」


言われた通り覗いて見ると、50m以上先にあった木がすぐ近くに見えた。


「おお!これは凄い!これで遠くの敵に狙いをつけるって事か!」


「まだ調整してないから中らんがな。それぞれ近くにいるウチの隊員に頼んで調整とかしてもらうと良い。幸いこの町に敵が来るのは1週間後だ。それまでに俺達が可能な限り訓練しよう。」


グレアムがそう言うと早速さっき食事の時に仲良くなった者達が話し合い、銃の分解を始めた。


「シリア、あんたの訓練担当は俺が引き受けようか?」


「ああ!頼む!いやー、それにしても凄い!」


「喜んでくれて何よりだ。それじゃあ町の外に行こう。」


「ああ!」


私は興奮が治まらず、銃をあちこちいじりながらグレアムに着いて行った。



[18:45時]



私達はグレアム率いる部隊から銃の扱いと、借りた無線機の使い方を学び、敵が侵攻してきた時の対処行動などの打ち合わせを行った後、私は1人で地図を眺めていたグレアムに質問をした。


「グレアム、私達はあなたの役に立てそうかな?」


「どうしたんだ?藪から棒に。」


「いや。あなた達の練度の高さを見て私達が本当に役に立つのかと思ってしまってな。」


「ふむ。ひとつアドバイスをするなら、自分を信じる事だ。もしを考えていたら切りがない。必要なのは、自分は仲間の為に何が出来るかだ。練度が足りなかろうが、武器が無かろうが、考え、決断し、仲間を救う事は出来る。その為にも、自分を信じて行動しろ。

おっと、もうひとつあった。決して自分の命を無駄にしようとは思うなよ。そんな英雄はおとぎ話の中だけで充分だ。常に自分と部隊に最も被害を少なく出来る方法を模索しろ。泥まみれになろうが、敵に卑怯と罵られようが、生き残る事が重要だ。」


その言葉には実際に厳しい戦場を生き抜いてきた男の生きざまが感じられ、私はただ頷く事しか出来なかった。



[9月3日 13:00時]

〈アメックス王国東部 国境沿いの町リーン 東門〉



1時間前にグレアム達グリーンベレーの持って来たUAVとか言う道具が帝国軍の侵攻部隊を発見し、私と第1中隊の半分は東門の城壁の上で敵の襲来を待っていた。


「グレアム、第1中隊は作戦通り城壁の上に展開したぞ。」


《了解だ。だが作戦中の俺の名前はダンクだ。

俺達も既に所定の位置に着いている。作戦通りに動けよ。そっちの動きも上からしっかり見えてるぞ。》


「了解。全員、気を抜くな。いつ来ても良い様に準備しておけ。」


私は自分の銃を点検しながら帝国軍が向かって来ている東の空を見上げた。



[13:30時]



「来ました!帝国軍です!距離は3km!」


東側をずっと監視していた隊員がとうとう帝国軍を視認した。


「数と兵種は?」


「全員軽歩兵のようです。数は500!馬車が複数台います。」


「グレ、ダンク。」


《そいつらで間違いない。作戦通り、敵部隊との距離が500を切ったら攻撃開始だ。当てる必要はない。威嚇で充分だ。そして、300で逃走開始だ。頼むぞ。》


「了解。全員今は我慢の時だ。作戦通りにいくぞ。」


「「「「「了解!」」」」」



[15:30時]



「敵、1km圏内に接近!」


帝国軍はゆっくりと着実に町に迫って来ていた。


「まだだ。もっと引き寄せろ。」


部隊の間に緊張が走っていた。

1分ほど経過した時、


「!敵、突撃を開始!距離700!」


「!攻撃用意!」


[カチャ!]


私と銃を構えていた隊員達はレバーを引き、初弾を装填した。

帝国軍の方からは、ウオォォ!、と言う雄叫びが聞こえてきた。


「敵、500を突破!」


「撃てぇ!」


[ババババババン!]


全員が一斉に射撃を開始し、帝国軍の部隊に少し被害を与えた。

各自が作戦通り、威嚇射撃を行っていると、


「敵!距離300!」


「全員撤収!各自割り振られた道を使い逃走しろ!行け行け行け!」


私の号令と共に全員が駆け出し、城壁を降りて4つの大通りを使って逃走を始めた。

私達が逃げ始めるのとほとんど同時に帝国軍の部隊が町に侵入し、部隊を本部と追撃部隊に5分して追撃を始めた。


「第1段階は上手くいったぞ!後は任せたぞ!」


私は全力で走りながらそう叫んだ。



〈国境沿いの町リーン 北部〉

レイシス帝国陸軍第3軽歩兵大隊第2中隊第4小隊小隊長 カルロス・トミリア



「くそ!何て逃げ足の速い奴等だ!おい!いたか?!」


「いません!」


「こっちにも!」


「良く探せ!この近くにいるはずだ!」


「俺達が突撃するのを見て逃げ出した腰抜けのくせに逃げ足だけは一丁前だったな。」


「たった200人程度だったからな。倍以上いた俺達が恐くなったんだろう。」


俺は城壁から物凄い速さで逃げていった王国軍の守備隊を部下と探していた。


「くそ!全員一旦集合しろ!」


一旦状況を整理する為に全員を呼び戻した。


3分ほどすると、部隊が集まったが、


「?アレンの分隊はどうした?」


部下のアレンの分隊が来ていなかった。


「さぁ?わかりませんが。」


「ふん。まあ良い。それよりもう一度捜索にいくぞ。ミックおまえの分隊は1時、ルイス、おまえは2じ

時、ガイルは3時と4時、カルロは5時と6時、サムは7時、ウェスリーは8時、ハントは9時、イアンは10時、俺の分隊は11時と12時をもう一度捜索だ。再集結は30分後。散れ!」


部下達は言われた通りの方向に散らばり、捜索を再開した。



[15:40時]



時間となり、分隊が集結場所に戻ってきたが、


「今度はミックとルイス、サムの分隊が戻って来ないだと?これは明らかにおかしい。カルロ、おまえ達は東門に言って状況を伝えて来い。ガイルと俺はサムの分隊、ウェスリー、ハント、イアンの分隊はミックとルイスの分隊を捜索にいくぞ。」


俺達はいなくなった仲間を捜索する為に再び散開した。



〈国境沿いの町リーン 路地裏〉



「くそ、あいつ等どこに行ったんだ?」


「今頃どっかで見つけた綺麗な町人とヤッてたりしてな。」


「「「「「「「ハハハハ!」」」」」」」


仲間の1人のジョークに仲間達が笑った。


「全く。ん?ジョイはどこに行った?」


「あれ?そういえば。」


「さっきまでいたのに?」


俺は不安に感じ一度点呼を取る事にした。


「ジョッシュ「はい」、ヤンク「へーい」、デニム「うす」、トーマス「いるぜ」、ギリー「います」、ヨハン「うぃす」、チョーク「いますぜ」、2人足りないぞ。ん?2人?また増えた?!」


この状況に気付いた仲間達はパニックに陥った。


「お、おいおい、どうなってるんだ?」


「ど、何処かに隠れているんだろ?」


「落ち着け!パニックになるな。今何人だ?」


俺は怒鳴って仲間達を落ち着かせた。


「え~と。……ろ、6人です。また2人消えました!ギリーとヨハンがいません!」


「くそ!3人で背中をあわせてゆっくり戻るぞ。」


俺達は死角を作らないようにゆっくりと元の道を戻って行った。


集結場所まで半分といった所で、


[ドサッ!]


俺達の近くの脇道に何かが落ちて来た。


「な、何だ?」


「おまえ見てこいよ。」


「嫌だよ!おまえが行けよ。」


俺は仲間達のところを離れ落ちて来た物に近付いた。


「!ヨ、ヨハン?!」


落ちて来た物は首を切り裂かれたヨハンの死体だった。


「くそ!おまえ等、急いでここを離れっ!」


離れろと言おうとした時、後ろから透明な何かに口を抑えられた。


(こいつ!一体何なんだ?!あいつ等は?!)


何とか目を仲間達の方に向けると、仲間達も透明な何かに拘束され、首をナイフで切り裂かれ、殺されているところだった。


(くそ!殺されてたまるか!)


俺は何とか抜けようとしたが、


[ドス]


(グァ!痛ぇ!……あれ?)


俺の首にナイフが刺さり、透明な何かが俺を離した。

俺の意識はそのまま闇に沈んでいった。



[15:50時]

〈国境沿いの町リーン東部 屋根の上〉

フェンリル陸軍グリーンベレー第1大隊大隊長 グレアム・ヤーボロー TACネーム:ダンク



俺は屋根の上でバラクラバで顔を隠した格好でステルスを使って部隊に指示を出していた。


《シェイク、目標チャーリーを排除。移動を開始。》


「了解。おまえ達で最後だ。そちらが到着次第目標アルファに攻撃を仕掛ける。」


北部に展開していた第4小隊が追撃部隊を排除した事で、帝国軍の部隊は既に東門に陣取った本部の100人だけとなっていた。


《す、凄い物だな。もう片付けたのか。》


シリアが息を切らせたまま話しかけて来た。


「これからが見ものだぞ。指揮所のモニターにUAVの映像を繋いである。見てみろ。」


《わ、わかった。》


シリアとの無線が途切れた。


《シェイク、位置に着きました。いつでもやれます。》


「良し。これから俺達チーム1とチーム2が敵本部に侵入する。各隊は援護を頼む。」


俺とステルスで屋根の上に隠れていたチーム1は屋根の上から音もなく降りて敵本部に接近した。

敵本部の反対側からはチーム2も侵入を初めているだろう。


「巡回兵2、他の奴等から見えない位置にいったら始末しろ。」


《了解。》


巡回が敵が設置したテントの陰に移動した直後、


[ドチュ ドサッ]


頭に銃弾を撃ち込まれ、脳奬を撒き散らしながら倒れた。


「ん?何だ?」


音に気付いた兵士が1人テントから出ようとしたが、


[ドチュ]


すぐに飛来した銃弾に貫かれ、テントから出る事は無かった。


《ルートクリア。》


「了解。馬車の後ろに移動する。」


周囲を警戒しながら移動し、馬車の後ろに着いた。

ハンドサインで、仲間に馬車の中を調べる様に指示し、俺は馬車の横で葉巻を吸っている男に近付いた。


[ガッ ドス]


男の口を抑えて声を出せない様にして、首にナイフを刺した。

男は直ぐに息絶え、俺は男の死体を仲間が制圧を終えた馬車の中に入れた。


《指揮官連中は四方を布で覆われた天幕の中にいます。天幕をマークします。》


狙撃を担当している他の3隊のひとつから報告があった。


「マーク確認。直ぐ近くだ。移動開始する。」


馬車の横を出て天幕の入り口に近付いた。


「チーム1、インポジション(配置に着いた)。」


《チーム2、チーム1の右側の入り口に着いた。スタンバイ。》


チーム2も配置に着いたので俺は天幕の中の指揮官連中を除く全員の排除を命じた。


2分ほどすると、


《オールターゲット沈黙。》


「了解。

チーム2、3カウントで入るぞ。」


《了解。》


「3、2、1、ゴー。」


一斉に天幕の入り口から中に入り怒鳴りながら銃を構えた。


「フェンリル軍だ!動くな!」


「武器を捨てて地面に伏せなさい!」


「さっさと伏せろ!」


天幕の中にいた兵士が剣を抜こうとしたが、


[ププッ!]


俺は剣を抜こうとした兵士に狙いを付け、ダブルタップで発砲し、サプレッサーで減音された非常に小さい音が聞こえ、兵士は喉と顔を撃たれ絶命した。


「動くなと言った。」


指揮官達のほとんどは死んだ兵士を見て怖じ気づいたが、


「警備!何をしているんだ!!し、侵入者がいるぞ!」


いかにも貴族のボンボンと言った感じの小太りの男だけは状況を理解していないようで喚き散らしていた。


「残念だが、この部隊の生存者は貴様等だけだ。貴様の呼び掛けに答える兵士はもう何処にもいない。大人しく降伏するなら命は保証してやる。」


「だ、誰が降伏するか!ぼ、僕の魔剣を喰らえ!」


男は剣を抜こうとした。


「馬鹿め。」


俺は男が剣を抜く前に引き金を引いた。


[ププッ!]


ダブルタップで発射された2発の6.8mm弾は男の丸々と肥た顔を吹き飛ばし、男の命を刈り取った。


「あんた達もかかって来るか?」


残った20人ほどの男達にそう聞くと、男達は力なく地面に膝をついた。


「全員拘束しろ。」


隊員達が動き、男達の手にプラスチックの手錠を巻き、拘束していった。


「チーム2、ここは任せたぞ。俺達は他のチームと町の後片付けをして来る。」


「了解です。」


俺達は天幕を出て、町のあちこちにある400人以上の死体の片付けを始めた。



[18:30時]



死体の回収作業が終わり、俺達と親衛軍は中央広場で食事を採っていた。


「あの連携は凄かったな!もう、何と言うか、上があんた達に作戦を任せた理由が良くわかったよ。」


俺の隣には酒を飲んで興奮から頬を赤く染めたシリアが話しかけていた。


「どうも。と言うか、なんか距離が近くないか?」


息がかかるほど近くにいるシリアに照れくさく思ってそう言うと、


「い、嫌だったか?そ、そうだよな。私みたいな女じゃ。」


彼女はエルフ特有の美貌にうっすらと涙を浮かべしゅんとしてしまった。


「え、あ、いや、」


「あ~あ。隊長、泣かせちゃいましたね。駄目ですよ。女の子を泣かせたら。」


「隊長、自分達は失礼しますね。ほらほら、後は若い人達に任せて邪魔者は退散するぞ。」


「あの、私達も2人でお話出来ませんか?」


「え、俺!?はい!喜んで!」


「あ、ちょ、おまえ等!」


全員部屋を出て行ってしまい、部屋には俺とシリアの2人が残された。


「………」


俺はゆっくりとシリアに向きなおり、


「シリア。」


声をかけた。


「な、何だ?」


「まず、君は俺の事をどう思っているんだ?」


「わ、私はあなたの事を1人の軍人として尊敬しているし、あの、その、お、女としても、す、好き、だと、思う。」


彼女は耳の先端まで真っ赤にしながら答えた。


「言っておくが、俺は君の思うような男じゃないぞ。いつ死ぬかも分からない戦場に身をおき、家族に会える時間もまともに取れないかもしれない。死体すらないまま、ただ死んだという結果だけが君の下に届く事になるかもしれない。それでも良いのか?」


俺がそう言うと、


「………ふふふ。そんな事分かっているさ。私だって軍人だ。いつ死ぬかも分からないのは私だって同じ事さ。それに、自分で言っていた事さ忘れているようだな。」


彼女は相変わらず顔を赤く染めたまま、笑みを浮かべた。


「?」


「もしを考えていたら切りがない。必要なのは自分を信じ、決断する事だ。確かそう言っていたよな?」


「……はは。確かにその通りだ。」


俺は立ち上がって、片膝をつき、彼女の手をそっとつかみ、彼女の顔を見つめながら、


「俺と付き合って頂けますか?」


自分の顔が彼女と同じように真っ赤になっているのを感じながら、人生初の告白をした。


「はい!」


彼女は俺が今まで生きて来た中で最高に美しい笑顔を浮かべ、涙を流した。

グリーンベレーの戦いでした。グリーンベレーは実際に敵地内で現地の反抗勢力の訓練をしたり武器を与えたりしているそうなので訓練をさせて見ました。


今回の名言です。最近迷言が多かったので今回はちゃんとした名言です。『METAL GEAR SOLID 4』より一幕です、


雷電「スネーク、俺は雨だ。俺も光とは無縁の生き物だ。」


オールド・スネーク「違う。お前は雷だ。光を放つ事は出来る。」


人によって兵器として作られ、陰の中を生きる事を強制され、自ら命を絶つ以外に未来の無いスネークと、雨の様に暗い世界を生き、兵器となるべく育てられたが、自らの未来を切り開く事の出来る雷電の会話です。

METAL GEARはこういった真面目でジーンと来る名言も多いんですが、それ以上にネタも多いんですよね。まあ、それが好きなんですが。

例をひとつ出したいと思います。『METAL GEAR SOLID 3』の無線より、採ったキノコが毒キノコだったと聞かされたスネークの反応です。


ネイキッド・スネーク「で、味は?」


パラメディック「は?」


ネイキッド・スネーク「だから、味。」


パラメディック「スネーク、それは毒キノコよ?」


ネイキッド・スネーク「ああ、わかってる。だが食ったら上手いかもしれないだろう。」


こういったネタが多いのもMETAL GEARの魅力ですよね。本当に監督は凄いと思います。


次回は湊さんがまた気違い兵器を持って来ます。その後に侵攻作戦の会議が開かれる予定です。


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