第2章6 基地祭3日目と海軍と人魚
[7月16日 06:00時]
〈フォート・ディール 中央区画 上級職員宿舎〉
七海優香 TACネーム:フェアリー
リズミカルなラッパの音と共に目を覚ました私は、私の服を握っている3人をゆっくりと揺すり、起こした。
「3人とも、朝よ。起きて。」
3人はすぐに目を覚ました。
「うーん。おはよう。お姉ちゃん。」
『おはよう…。』
「おはようなの。」
「おはよう。今日はもう大丈夫?」
「大丈夫だよ。ちゃんと知識も定着出来たよ。」
「それなら良かったわ。今日は艦隊の演習に参加するわよ。3人とも海の上を動く艦に乗るのは始めてでしょ?」
「うん!」
『楽しみです。』
「ずっと乗ってみたいと思ってたの。」
「それなら良かったわ。それじゃあ着替えて、ご飯を食べたら”あかぎ”に行きましょう。」
『「「はい!」」』
私達はベッドを出て準備を始めた。
[10:30時]
〈フォート・ディール 海軍区画 第1艦隊 旗艦 航空母艦”あかぎ” フライトデッキ〉
この世界の船と比べると、遥かに規格外な艦隊が出航すると言う事もあり、演習の乗艦チケットや特別パスを持つ人以外にも多くの人が軍港に集まってきた。
乗艦チケットの当選者は、第1、第2艦隊の艦艇にランダムで振り分けられるが、特別パスを持つ人は私やサンドマンなどの直接の知り合いがいる為、その知り合いのいる部隊の乗る空母または揚陸艦に集める事になっていた。GDU[ギルド派遣部隊]は、派遣された街の基地に駐屯する部隊への限定的な指揮権を持つ為、大隊と言う呼称を取っているが、メインとなる特殊部隊の人数は150人程なので、知り合いを乗せたとしても大丈夫だろうと判断された為だ。
そんな訳で、私達GDU1stIBのメンバーの前にはダンジョン攻略戦や護衛依頼を共に戦ったバスターズなどの冒険者達や風の隊、ニーナちゃんやマスターなどのギルド職員、孤児院の子供達と3人のシスターが揃っていた。
「えー皆さん。もうじき出航しますが、その前に注意事項があります。注意して聞いてください。
ここに来るまででわかってもらえたと思いますが、この船の中は非常に複雑になっています。地図も無い、慣れてもいない人では迷う事は必至です。なので、艦内に行く時は必ず隊員と一緒に行ってください。
それから、黄色のテープの先は危険なので、訓練中は決して入らないように。身体が真っ二つになる危険があります。
そこのノースウエストの冒険者の方。そんな馬鹿なって顔をしたあなたです。残念ながら事実です。今は非常に稀ですが、昔はありました。
以上が注意事項です。それでは出航までくつろいでください。」
私がそう言うと、子供達は一斉に止めてある艦載機に殺到した。昨日激戦を繰り広げたサムライ隊の青いF-4BとF-4Cが最も人気なようだった。
冒険者達は機体よりもそれを操っていた隊員や、艦のクルーから色々な話をしていたが、中には、
「あ、あの!い、以前は助けてくれてありがとうございました!」
メタル隊の隊員と話していたサンドマンに、黒い修道服を着た女性が話しかけていた。
「ん?ああ、孤児院のシスターのフローリアさんでしたね?」
「は、はい!フィールの街の教会でシスターをしているフローリア・ローズです!あの!その。うぅぅぅ。」
「どうしたんです?具合でも悪いんですか?」
「な、なんれも無いですぅぅ!」
フローリアさんは走って修道服のフードを外し、ピンクの髪とウサミミを出しているもう1人のシスターのところに走って行ってしまった。
「?」
サンドマンは良く分かっていないようだが、周りにいる彼女や妻を持つ隊員からは呆れるような視線が、独身の隊員からは妬みや殺意の込められた視線が向けられ、中には、
「隊長。爆発してください。」
「新月の夜は背後に気を付けた方が良いですよ。」
「隊長、丑の刻参りするんで、髪の毛ください。一本でいいんで。」
「アナトちゃん。相手を爆散させる魔法とかない?それか出来るだけ苦しめて殺せて証拠も残らないやつ。もしあったら私に教えて欲しいな。」
「えっとね。先ずは、」
「な、何なんだお前等!目に殺気を込めすぎだろう!俺が何をした?!アナトちゃんもそんな物騒な魔法教えないでくれ!」
と、犯罪予告を出す者もいた。
一方フローリアさんは、
「ジョアンナ、私には出来ないよ~。」
「勇気を出しなさいよ!あんたは顔も良いし胸もデカいんだから並みの男ならあんたみたいのに迫られたらイチコロよ!それかもういっそのこと物陰にでも連れ込んで一発やっちまいなさい!」
「ふぇ!で、ででも、そそそそんな事……。」
「教義にも愛する者との行為は神聖な物だって書いてあったでしょ!つまり、やっちまえばこっちのもんよ!
そうだ!ちょっとあんた上目遣いで、『や、優しくしてください』って言ってみなよ。」
「えっと。や、優しくしてくださいね?」
「おっふ。」
「鼻血が出てるよジョアンナ!」
「ヤバい。あたしにもくるわ。とりあえず、なんとか2人きりにしてやるから、2人きりになったら告白してそう詰め寄るんだ!それで万事OKだ!」
「よ、良くわからないけど私頑張るよ!いつもありがとうね、ジョアンナ!」
「いいってことよ。あたしは恩を返してるだけよ。それじゃああたしはあいつのお仲間に話しを通してくるよ。」
そう言ってジョアンナはメタル隊の隊員達に近づいて行き、サンドマンを追い払うと、残った隊員達に何かを告げた。最初は隊員達[独身の]も微妙な顔をしていたが、再び、何か告げると、隊員達[独身の]は打って変わったように笑顔になり、やる気に満ち溢れた目をしていた。。
「それじゃあ頼んだぜ?」
「ああ、任せろ!」
「任務は完遂するわ!必ず!」
話しは終わったようで、ジョアンナはフローリアのところに戻り、雑談を始めた。
「気楽にとは言ったけど、自由過ぎじゃない?」
私はフライトデッキの片隅で行われていたラブコメ[?]を見て、思わずそう呟いた。
[11:00時]
〈フェンリル海軍第1艦隊 旗艦 航空母艦”あかぎ” 艦橋〉
フェンリル海軍第1艦隊司令兼航空母艦”あかぎ”艦長 山口多紀
「艦長、時間です。」
艦橋の艦長席に座っていた私に副艦長の加来恵少将が出航の時間になったことを告げた。
「わかっているわ恵。無線を第1、第2艦隊の全艦に繋げて。」
「繋がりました。」
「ありがとう。
第1艦隊司令山口多紀より、第1、第2艦隊の全乗員、並びに演習の参加者に通達。これより第1、第2艦隊は出航します。乗員は参加者の安全を最優先に、参加者は乗員の指示には必ず従ってください。以上です。」
「全艦のスピーカーとの接続をカットしました。以降はフェンリル軍の人間にのみ連絡できます。」
「全艦第1艦隊を先頭に出航。演習海域まで巡航速度で進んで。」
艦隊がゆっくりと動き出し、大量の軍艦が軍港を出航した。
[11:30時]
〈フォート・ディール北方30km セレス海〉
七海優香 TACネーム:フェアリー
《山口より全乗員、並びに演習参加者に通達。本艦隊はフォート・ディール北方、30km地点の演習海域に到達。これより演習を開始します。参加者の皆様は安全の為、決してテープの先に入らないでください。》
スイッチの入った多紀のクールなアナウンスの後、第2艦隊が第1艦隊から離れ、距離を取った。
《参加者の皆様。先ずは前方4kmの位置に木造の船団がいるのが見えますか?》
艦隊の進行方向を見ると、20隻の木造船が浮いていた。
《これから皆様には、私達の使用する兵器の威力をこの大陸で主流の木造船で試したいと思います。前方を航行する5隻に注目してください。
第1水上戦闘群、こちらあかぎ。前方に敵船団を確認。状況始め!教練対水上戦闘よーい!》
《こちら第1水上戦闘群旗艦むさし。対水上戦闘よーい!》
《こちらあかぎ。目標の振り分けを行った。主砲、ミサイルによる攻撃を行い、敵を撃滅。艦隊の安全を確保しろ。》
《あかぎ、むさしSMI。了解。指向兵装、主砲、SMI指示の目標。撃ちー方始め!》
《こちらJPJ。これより攻撃を開始。主砲ファイアー!》
[ドン!ドン!ドン!ドン!]
8回の爆音が響くと、前方にいた木造船のバイタルパートが爆発し、8隻が海に沈んだ。
《あかぎ、あきづきCIC。これより本艦はマイケル・マーフィー、ダニエル・イノウエと共に攻撃を開始する。SSM-3B、CIC指示の目標。サルボー!》
[ボシュゥー!]
エンジンの轟音と共に、前方を航行する3隻から12発の艦対艦ミサイルが発射され、木造船を木っ端みじんに吹き飛ばした。
《第1水上戦闘群、あかぎ。状況終了。
このように、私達の使用する兵器は、木造船ならば、完全なアウトレンジ攻撃が可能です。
続いて、この艦隊で最大の艦である、航空母艦と揚陸艦の任務を見ていただきます。
私達のいた世界では、空を制する者は、全てを制すると言っても過言ではないほど、空が重要です。そこで皆様には、艦隊の対空能力を《艦長!緊急事態です!》…………演習を中断します。各艦の艦長と戦闘部隊長は大至急各艦の会議室に集まってください。》
アナウンスが途切れ、辺りが困惑に包まれた。
「何かあったわね。有希、アナト、シャルこの場をまとめて。私は会議室に行くわ。」
『わかりました。』
「みんな、この船はそう簡単には沈まないから落ち着くの。」
「大丈夫よ。私達は今世界一安全な場所にいるからね。」
参加者達を仲間に任せ、私は会議室に急いだ。
[12:30時]
〈フェンリル海軍第1艦隊 旗艦 あかぎ 会議室〉
全員が会議室に着いたと連絡を受け、艦隊のネットワークを用いた会議が始まった。
「全員着いたわね。それじゃあ副長、説明を。」
「はい。先ずはこれを見てください。これはこの海域の海図です。この世界には、領海の概念が無い上、国際的な取り決めも無い為、この海域に侵入する船が無いかをUAVで調べていたんです。その内の1機が気になる映像を撮影しました。これです。」
モニターに映像が映った。映像には17隻の船が漁のような事をしていた。
《ふむ。漁をしているように見えるな。確かにこれだけの大型船で漁をやっているのは怪しいが、決定的ではないな。》
ヴェラ・ガルフのアレーナ・ギュスターブ少将が言った。
「ただの漁なら問題はありません。これが拡大、解析した画像です。」
モニターに画像が映され、そこには、
「人魚?」
「人魚です。そして、これは海面を解析した画像です。」
画像が切り替わり、海中に竜のような黒い影が映った。
「まさか!竜を使って人魚を追い込んで、その人魚達を捕まえているのか!」
《《《《《!!》》》》》
私達の間に緊張が走った。
「この映像はいつの物?!」
「15分前です。」
「それならまだここにいるわね。海竜への対処方法は?」
「聴覚が低いとの情報を受けています。ですので、SDVである程度まで近づき、プロテウスミサイルで撃滅するのが効果的と思われます。」
《それなら私達の出番だな。》
アメリカに乗艦しているネプチューン隊[DEVGRU]の隊長のレオナ・メイソン少佐が言った。
「そうですね。ネプチューンにはヴァージニアのSDVから出撃してもらい、プロテウスを使って海竜を仕留めてもらいます。
海竜を仕留めた後はSH-60とMk.5、SOC-Rで臨検を呼びかけ、聞かないようなら、強襲ですね。」
「船の調査なら俺達の仕事だな。先頭の4隻はウミドリがやろう。」
《左翼の4隻はネプチューンがそのまま強襲する。》
《海での作戦なら俺達も得意だ。右翼の4隻はラチェット[SBS]がもらう。》
《DEVGRUにだけいい格好はさせないぜ。マコ[SEALs]は最後尾の4隻だ。》
「それではシルキーが中央の1番デカいやつをやろう。残りの部隊はMk.5とSOC-R、ヘリから支援を頼む。」
《《《《《了解。》》》》》
各自の役割を決め、私達は準備を始めた。
[13:30時]
〈レイシス帝国海軍 第2艦隊 旗艦 ヴォラーエン〉
レイシス帝国海軍第2艦隊司令ジョグレン・マドレ
俺達帝国海軍第2艦隊はセレス海沖で人魚狩りを楽しんでいた。
「また海竜が追い込んできたぞ!」
海竜には絶対服従の魔術道具を着けてあるため、完璧に操る事が出来ている。
「な、何でこんな事するの?!私達が何をしたって言うの?!」
捕らえた人魚の1匹がそう言った。
「何を言ってやがる?お前等を捕まえんのに金儲け以外の理由があるとでも?お前等は俺達に服従していればいいんだよ。」
その時、
[ズドォン!]
海中から突然巨大な水柱が4本発生した。
「な、何だ!何があった!」
「し、司令!全ての海竜が突然爆発しました!」
「ふざけるな!そんな馬鹿な事が「司令!」今度は何だ!」
「先頭のドリクシーから発光信号!12時から何か来ます!」
「何だと?!」
急いで船首に行き、遠見の魔術道具を覗くと、見たことも無い灰色の小型船と空飛ぶ箱が、信じられないほど高速で迫って来ていた。
「何だあれは……!」
俺は今まで感じたことも無いいやな予感がした。
[12:40時]
〈フェンリル海軍第1艦隊 旗艦 航空母艦あかぎ フライトデッキ〉
フェンリル軍 多種族混成部隊シルキー隊長 七海優香 TACネーム:フェアリー
《総員第1戦闘配備!これは演習ではない!繰り返す!これは演習ではない!》
「見学の方は決してテープの外に出ないでください!」
フライトデッキに戻ると、そこは喧騒に包まれていた。
「シルキー隊、集合!」
私が叫ぶと、フライトデッキで各自の銃をチェックしていたメンバーが全員揃った。
「HUDに送った情報で状況はわかっているわね?これから私達は人魚を救出するためにレイシス帝国海軍に攻撃を仕掛ける!」
「「「「「おぉー!」」」」」
「諸君に聞こう!私達の武器は誰の為に?!」
「「「「「守るべき物を守るために!」」」」」
「私達の敵とはなんだ?!」
「「「「「他者を理不尽に虐げる物!」」」」」
「よし!全員準備が終わり次第ヘリに乗れ!人魚達を助けるぞ!」
「「「「「応!」」」」」
私達は装備を整え、ヘリに乗り込んだ。
[同時刻]
〈フェンリル海軍第2艦隊 原子力潜水艦 ワシントン〉
フェンリル海軍 DEVGRU ネプチューン隊隊長 レオナ・メイソン TACネーム:セクション
私達ネプチューン隊はワシントンに移乗し、SDVに乗り込んだ。
《SDV格納庫注水完了。発進します。》
SDVが動き出し、船団に向かった。
「全員、この世界に着てからの久々の戦闘よ。気を抜かないで。」
《わかっているさセクション。ピンチの人魚を助け出す。全く。かっこいいじゃないか。そう思うだろ?》
「そうねハーパー。でも、あなたじゃもてるのはきついんじゃないかしら?」
《おいおい。男は顔じゃ無い。強さだろ?》
「わからなくも無いけど、一般的には顔よ。」
軽口を行っていると、攻撃地点に着いた。
「ここで止めて。ハーパー。プロテウスを貸して。」
《ほら。》
「ありがとう。こちらネプチューン・アクチュアル。配置に着いた。海竜は4匹いるようだ。」
《こちらネプチューン2-1、モラク。スタンバイ。》
《アッサム[ネプチューン3-1]配置に着いた。》
《こちらルシー[ネプチューン4-1]。何時でもどうぞ。》
「全員プロテウスを放て。」
全員が配置に着いた事を確認し、プロテウスミサイルを放ち、タブレットで誘導を開始した。
海竜の体温をロックしたプロテウスミサイルは、迷うことなく突き進み、4匹の海竜を海の藻屑と変えた。
「こちらセクション。海竜は片付いた。」
《了解。直ぐに本隊が到着する。準備せよ。》
「全員良くやった。このまま海中を進み、左翼の4隻に後部から侵入するぞ。」
《了解。2-1移動開始。》
《3-1移動中。》
《4-1全速で移動中。》
私達も移動を始め、水中でSDVを放棄し、目標の船の後部に浮上した。
「まだ本隊が停船を呼び掛けていない。待機しろ。ゴーサインが出たらフックを使って上に行く。遅れるな。」
「「「「「了解。」」」」」
私達その時が来るのを待った。
[13:40時]
〈フェンリル海軍第1艦隊第3ヘリコプター飛行隊『ダスター隊』ダスター・リード SH-60K〉
フェンリル軍GDU 1stIB 七海優香 TACネーム:フェアリー
《こちらセクション。海竜は片付いた。》
「了解。直ぐに本隊が到着する。準備せよ。」
ネプチューン隊からの連絡を受け、部隊に命令を出した。
「フェアリーよりウィップラッシュ[SWCC]、セイント[SWCC]。艦隊を取り囲むように展開せよ。ダスターとリフト[SH-60]は割り当てられた船舶の上空で待機。」
《ウィップラッシュ了解。先頭と右翼を取り囲む。》
《こちらセイント。左翼と後尾に展開する。》
《リフト了解。配置に着く。》
すぐさま部隊が動き、帆船を包囲した。
「機長!マイクを使うぞ!」
「繋げました!どうぞ!」
私は機長からマイクを受け取り、扉を開けた。
『こちらは!フェンリル海軍だ!貴艦隊において重大な犯罪行為を確認した!臨検の受け入れと人魚達の解放を要求する!了解したなら帆を畳め!受け入れなければ貴艦隊に対し、強硬手段を執る!』
答えは直ぐにきた。
[ドォン!]
《こちらウィップラッシュ!砲撃を受けた!》
「損害は?!」
《見当違いの場所に落ちたので被害はなし!》
「良かった。」
私は再びマイクを取った。
『それが答えか。こちらは強硬手段に出る。せいぜい足掻くといい。』
「全隊。攻撃開始!脅威を排除しろ。」
《《《《《了解!》》》》》
〈フェンリル海軍 SWCC『 ウィップラッシュ隊』ウィップラッシュ2-3 Mk.5特殊作戦艇〉
フェンリル海兵隊 第1偵察大隊第1中隊『ウォーピッグ隊』中隊長 ポール・ジャクソン
《全隊。攻撃開始!脅威を排除しろ。》
《《《《《了解!》》》》》
「ジャクソン!奴等が次を撃ってくる前に砲台を潰してくれ!」
「了解!全員、側面の砲台に攻撃を集中させろ!25mmは強すぎるから使うなよ!撃て!」
[グヴォーーー!]
[ドドドドドン!]
[ダダダダダン!]
右舷に備え付けられたM134、M2、M240×2が一斉に発射され、雨のように降り注ぐ銃弾に帆船の砲台は完全に破壊された。
「やったぜ!」
《こちらウィップラッシュ2-4!目標A[前方部]3の右舷の砲台を無力化した!》
「了解!ダスター2-2、ウィップラッシュ 2-3!目標A3の砲台は無力化した!乗船を開始しろ!」
《ダスター2-2了解。ウミドリ!出番だ!》
《 こちらウミドリ2-1。感謝するぞ。お前等!この映像は中継されてるんだ!気張って行けよ!降下開始!人魚達を助けるぞ! 》
ダスター2-2のSH-60が到着し、ウミドリ2が降下開始した。
《ウミドリ2-1乗船した!制圧開始!》
他の船にも部隊が降下を開始し、戦闘は船内に移った。
〈セレス海 レイシス帝国海軍 第2艦隊 トレッカー甲板〉
フェンリル海軍 特別警備隊第1中隊第2小隊隊長 山上美紀 TACネーム:トモエ
《了解!ダスター2-2、こちらウィップラッシュ 2-3!目標A3の砲台は無力化した!乗船を開始しろ!》
「ダスター2-2了解。ウミドリ!出番だ!」
「こちらウミドリ2-1。感謝するぞ。お前等!この映像は演習の参加者と基地に中継されてるんだ!気張って行けよ!降下開始!人魚達を助けるぞ!」
俺達はヘリからファストロープで降下し、甲板に着地した。
「ウミドリ2-1乗船した!制圧開始!」
9人の仲間が周囲に銃を向けたのを確認し、俺は叫んだ。
「フェンリル海軍だ!おとなしく武器を捨てろ!抵抗するなら容赦しない!」
ドスを聞かせて言ったが、返って敵は冷静さを取り戻したようで、
「な、なにを言ってやがる!俺達はレイシス帝国海軍だ!武器を捨てるのはそっちの方だ!」
「そうだ!それにたった10人でなにが出来る!」
「全員、こいつ等をやっちまえ!」
船員達は剣を抜き、突撃してきた。
「撃て!近寄らせるな!流れ弾を人魚達に当てるなよ!」
隊員達は船員達に向けていた銃の引き金を引いた。
[パパパパパパパン!]
船員達に向けられていた、89式、MP5、HK416、MP7などの銃が火を噴き、船員達をなぎ倒していった。
音が鳴り止む頃には、甲板に立っている人間は3分の1以下になっていた。
「うぁぁ!痛ぇぇ!」
「ぐ!がぁぁぁ!」
船員達はゴム弾を体中に受け、肉離れや筋断裂、骨折、となり、最早立ち上がる事すら困難だろう。
「ヒィィィ!な、何なんだ!お前等は!」
船長と思しき男が叫んだ。
「貴様が船長だな?こいつを拘束しろ!」
「くそ!捕まってたま、あぎゃぁぁぁ!」
男は剣を抜こうとしたが、隊員がアンダーバレルに着けてきたテーザー銃で撃たれ、痙攣しながら倒れ、拘束された。
「船内を制圧するぞ!
あんた達!後で必ず助けるからもう少しそこで待っていてくれ!」
俺は怯える人魚達に声をかけ、船内に入っていった。
〈セレス海 レイシス帝国海軍第2艦隊 ゴルムスケン〉
フェンリル海軍DEVGRU第1中隊中隊長 レオナ・メイソン TACネーム:セクション
私達は割り当てられた船の砲台の制圧が終わるまで待機していた。
《ネプチューン、待たせたな!こちらセイント・アクチュアル!目標C[左翼]1の砲台を制圧した!突入しろ!》
「了解。全員、吸着グローブを使え。上に行くぞ。」
吸着グローブを起動し、船の壁を登っていった。
上に登り、手すりにぶら下がって様子を見ると、海に気を取られていて、私達には全く気づいていなかった。
「奴等は私達に気付いていない。ナインバンガーを投げて一気に制圧するぞ。」
「「「「「了解。」」」」」
私を含む3人が、ナインバンガーを持ち、ピンを抜き、一斉に甲板に放り投げた。
「ん?何だこ」
[バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!]
1つのナインバンガーから9回、合計27回もの大音響と強烈な閃光が、甲板にいた船員達を襲った。
近くにいた40人ほどは耳から血を流して気絶し、残っている人間も強烈な閃光と音に一時的に視覚と聴覚を失っていた。
私達は素早く手すりを登り、甲板にいる全員をプラスチックの手錠で拘束した。
「2人ここに残って、人魚達を助けろ。残りは私と船内を確認する。」
「「「「「了解。」」」」」
私は2人を甲板に残し、船内に入った。
〈フェンリル海軍第2艦隊第2ヘリコプター飛行隊『リフト隊』 リフト・リード SH-60〉
フェンリル海軍SEALsチーム7 マコ隊隊長 ローク・デンバー TACネーム:ペッパー
「ローク大尉!セイント1がD[最後尾]の4隻の砲台を無力化しました!降下できます!」
「了解!やってくれ!」
ヘリが動き、1隻の上空でホバリングした。
「降下開始!」
「了解!全員降下開始だ!ゴーゴーゴー!」
俺を含む全員が一斉にヘリを飛び出し、船首に降下した。
「人魚達を助けるぞ!ムーヴ!」
俺達は船尾に向け銃を構えながら進み始めた。
「怪我したく無いなら武器を捨てて腹這いになれ!」
「武器を捨てろ!」
船員に武器を捨てるように言ったが、
「誰が!そっちこそ死ね!」
そう言って剣を抜いた。
「撃て!」
[パパパパパン!]
隊員達がライフルのアンダーバレルに取り付けられた、FN303を発砲した。
FN303から発射された弾は船員に当たると破裂し、中からジョロキアの粉末や催涙ガスなどをブレンドした粉末が撒かれ、それを吸い込んだ船員達は、目と喉の激痛にたまらず剣を落とした。
「ゲホ!ゴホ!なんだ!これ!」
「ぐぅぅ!目が!目がぁぁぁ!」
俺達はマスクとゴーグルで顔を覆っているが、正面から浴びた船員達は涙を流し、悶え苦しんでいた。
「カバーする!拘束しろ!」
隊員達が動き、船員達を拘束していった。
「動くな!もう1発欲しいか?!」
「わ、ゴホ!わかったから、ゲホ、ゴホ!もう止め、ゲホ!」
「だったらおとなしくしろ!」
船員達は抵抗出来ずに拘束された。
「ヘッカー、リンケルは人魚達を出してやれ。残りは俺と船内を制圧する。」
2人を残して俺達は船内に入っていった。
〈フェンリ海軍第2艦隊第2ヘリコプター飛行隊『リフト隊』リフト2-1 SH-60〉
フェンリル海兵隊特殊舟艇部隊第1中隊『ラチェット隊』中隊長 アレン・マクナブ TACネーム:トゥーゼ
《セイント2-1よりリフト2-1。ターゲット、B[右翼]1の脅威は排除した。ラチェットを降下させろ。》
「リフト2-1。ラジャー。トゥーゼ、ヘリをB1上空でホバリングさせる。さっさと降りてくれよ。」
「ああ。わかってる。全員奴等に力と知恵を持って海兵隊式の再教育を施してやろう。」
ヘリがホバリングし、扉が開かれた。
「ロックンロールだ!行け!」
全員がヘリを飛び出し、船に降下した。
「人魚達を救出しろ!」
銃を撃ちながら前進した。
[ダン!ダン!]
目の前の2人に向けて、テーザー弾を発射した。
「あぐがあぁぁ!」
「うげぁぁあぁぁ!」
着弾の衝撃と電撃を受けた男達は一瞬で意識を刈り取られた。
「一気に制圧しろ!」
俺達は船員達を1人ずつ確実に無力化していった。
〈フェンリル海軍第1艦隊第3ヘリコプター飛行隊『ダスター隊』ダスター・リード SH-60K〉
フェンリル軍GDU 1stIB 七海優香 TACネーム:フェアリー
《テンマよりフェアリー。ウミドリは目標Aを制圧した。》
《トゥーゼ、Bを制圧。》
《こちらセクション。目標Cを制圧した。》
《ペッパー。SEALsは目標Dを制圧。》
特殊部隊がA、B、C、Dの16隻を制圧したとの報告を受け、旗艦と思われる大型帆船への降下を開始した。
「エリック少佐!ヘリを右舷をなぞるように飛ばして!」
「右舷の砲台を潰すんですね?了解しました!」
《こちらダスター1-2左舷の砲台を攻撃する。》
ダスター・リードのSH-60が右舷に移動した。
「サンドラ!M134で砲台を潰して!」
「了解!ぶちかますぜ!」
SH-60のガンナー席についているラミリスがミニガンをスループアップさせ攻撃を始めた。
[グヴォーーーー!]
「ヒャッハーー!」
右舷の砲台に大量の7.62mm弾が襲い掛かり、砲台と操作の船員達をミンチにした。
「なんだ、もう終わりか。」
「今平賀さんがあなた達の装備を作ってるから期待していなさい!
フェアリーよりダスター1各機並びにシルキー各員!降下準備!スナイパーと観測手、ガンナーはヘリに残って援護を!」
《《《《《了解!》》》》》
4機のヘリが一際巨大な帆船の上空でホバリングした。
「降下開始!」
全員がヘリから順番に降下し、帆船に乗船した。
〈セレス海 レイシス帝国海軍第2艦隊 旗艦 ヴォラーエン〉
フェンリル軍GDU 1stIB 七海優香 TACネーム:フェアリー
私は船に降下すると、銃を向けながら言った。
「フェンリル軍指揮官の七海だ。言った通りに強行手段を執らせてもらった。既にこの艦隊は私達の支配下にある。今すぐ投降する事を薦めるが、どうする?五体満足で捕まるか、大怪我するか。選ばせてやろう。」
私がそう言うと、船員達の中から一人の男が歩いてきた。
「レイシス帝国海軍第2艦隊司令の ジョグレン・マドレだ。貴様等わかっているのか?これは紛れもない帝国への反逆だぞ!」
「それがなんだ?第一、
それは貴様等が本国に無事戻れたらの話だ。
まさか戻れると思っているのか?」
「もちろんだ。この艦には300人が乗っている。対して貴様等は20人ほどだ。負ける訳が無い。」
「試して見るか?今、貴様等の命は私が握っているんだぞ?」
「そんな訳があるか!」
「なら、見せてやろう。」
私は指で銃を作り、船員の1人に向けた。
「ばーん。」
「?何のおまじない[ターンドチュ!]は?」
司令が何か言った直後、私が指を向けた船員の頭に穴が空いた。
「何が!魔力も魔術もなかったと言うのに!」
「ばーん。」
私は別の船員の足に指の銃を向けた。
[ターン ドチュ!]
「ぐぁぁぁあぁぁ!」
船員の足に穴が空き、船員は足を押さえてのた打ちまわった。
「ばーん。」
のた打ちまわる船員に再び指の銃を向けた。
[ターン ドチュ!]
「あがぁぁぁあぁ!あ…ぁぁぁ……。」
船員の反対の足に命中し、あまりの激痛に船員は気絶した。
「上にいるでかいのが見えるな?貴様等はあそこから狙われている。下手な事をしようとすると、」
[ターン]
「うわぁぁぁ!」
弓を引こうとした船員の手が吹き飛んだ。
「次は頭が無くなるぞ。」
「くそ!」
その時、
[ボーー!]
警笛が響いた。
「な、何だ!あの化け物は!」
「船…なのか?!」
「何て大きさとスピードだ!」
船長や船員達は私の背後を見て叫び声をあげた。
「まさか、あれが貴様等の船か?!」
「半分正解だ。あそこにいるのはほんの一部だ。本隊はあの5倍いる。」
私の言葉に、船長と船員達は青ざめた顔をし、中にはへなへなと膝をつく者もいた。
「もういいな?死にたく無いなら抵抗するな。武器を捨て、両手を頭の上に挙げろ!」
私が叫ぶと、船員達は武器を捨て、両手を頭の上に挙げた。
「拘束しろ!」
隊員達が一斉に動き、船員達は抵抗も無く拘束された。
「もう大丈夫よ。助けに来たわ。檻を壊すから離れて。」
私は人魚達の檻に近付き、草薙で檻を切断した。檻の中には、小学生くらいの人魚が2人、中学生くらいの人魚が1人、高校生くらいの人魚が1人の合計4人がいた。
「あ、ありがとう。あの、私達はこれからどうなるの?」
エメラルド色の鱗と緑の髪の高校生くらいの人魚が質問してきた。
「話を聞かせてもらったら帰って良いわよ。他の船の娘達も全員無事よ。」
私の言葉に、4人は安心したようだった。
「このままこの艦隊を曳航して私達の艦隊と合流するわ。それまで、お話でもしましょう。」
私は自己紹介をし、人魚達と話を始めた。
[15:40時]
〈フェンリル海軍第1艦隊 旗艦 航空母艦 あかぎ フライトデッキ〉
帆船を曳航する第1艦隊第1水上戦闘群と第2艦隊第2水上戦闘群はすぐに艦隊と合流し、私は人魚達をヘリに乗せ、あかぎに戻ってきた。
「人魚の皆さん、フェンリル海軍第1艦隊旗艦あかぎへようこそ。さっきも言った通り話が聞きたいんだけど、結構な時間艦内にいることになるけど大丈夫?水か水槽って必要?」
「魔法があるから大丈夫だけど、お水があると嬉しいね。」
「それなら手配しておくわ。行きましょうか。」
私がヘリを降りると、彼女達もフライトデッキに2本の足で降り立った。
「本当に凄いわねその魔法。」
「魔法と言うより能力ね。私達マーメイド族は陸上でも生活するから皆下半身を足に変える能力を持ってるのよ。」
「なるほど。」
私は人魚達と話ながら艦内の会議室に向かった。
〈フェンリル海軍第1艦隊 旗艦 あかぎ 会議室〉
私は会議室に入る前に近くの隊員にミネラルウォーターを買ってくるように頼み、会議室に入った。
会議室には既に多紀をはじめとした艦隊の首脳陣が揃っていた。
「私達が1番かしら?」
「そうね。席に着いてもらえるかしら?全員揃ったら始めるわ。」
「了解。それじゃあ皆、座って。」
私達は席に座り、残りの到着を待った。
10分ほどすると救出した部隊の隊長に連れられて人魚達が会議室に入ってきて、全員が揃った。
「全員揃ったので始めましょうか。まずは私達の事を教えるわ。
私達は異世界からこの世界に転移してきた国、フェンリルの軍隊よ。
私は山口多紀、階級は中将。第1艦隊の司令官を務めているわ。多紀さんでも、中将さんでも好きなように呼んで。
そして、そこで何故か戦闘服を着て、船に乗り込んで行ったのが、」
私は立ち上がった。
「七海優香よ。フェンリルの総帥、国王みたいなものね、を務めているわ。」
「「「「えぇ?!」」」」
まさか、自分達を助けたのが国王だとは夢にも思っていなかったようで、人魚達は驚きの声をあげた。
「まあ、総帥と言っても、私は軍の指揮ばかりして前線に出ているから、国の事は副官に任せているけどね。だから、あなた達も変にかしこまる必要は無いわ。私の事は好きなように呼んでいいわ。
それじゃあ、多紀、続けて。」
私は席に座り、隣に座る人魚達にいたずらが成功した子供のような笑みを向けた。
「それでは、次に私の隣にいるのが、第2艦隊の司令のリリア・ハミルトン中将よ。」
「リリアです。大変だと思うけど、もう少し我慢してね。」
リリアは立ち上がってそう言った。
「残りの人には後で各自で自己紹介をしてください。それでは、聴取を始めます。緊張せずに、ゆっくりと答えてください。」
そう言って多紀は人魚達に質問を始めた。
[16:20時]
「質問は終わりです。ご協力に感謝します。」
聴取が終わり、多紀達首脳陣が立ち去ると人魚達は力を抜いた。
彼女達から得られた情報は簡単に言うと、次のようになった。
1.これまでも何人もの人魚が行方不明になっている。
2.帝国に限らず、見目麗しい人魚の奴隷は高値で取引される。
3.人魚達の国は迷いの海と呼ばれる海域にあり、この世界の船で抜ける事は不可能
4.人里との取引の帰り道を襲われた事から、取引先の人里に裏切り者がいる可能性がある。
「これはよろしくないわね。」
「そうですね。帝国の根は至る所にあるようです。」
私が呟くと、レオナが近付いてきてそう言った。
「レオナ、これから私達は第2戦備体制で待機よ。私達は帝国の艦隊を潰し、貴族や商人も捕らえている。因果応報だと思うけど、そんな事を聞くような国には思えないわ。今度の会議で間違い無く一波乱起こるわ。」
「起こす、の間違いじゃないですか?」
「フフ、そうね。とにかく、何時でも出られるように準備はしておいて。もうすぐ湊が新装備を完成させるからその完熟訓練もしておいて。後で全部隊に正式な命令を送るわ。」
「了解。」
私達が話していると、それぞれが助けた人魚達が近付いてきた。
「あの、今日は助けていただき、ありがとうございました!そ、それと馴れ馴れしい口調で話してすいませんでした!」
私が助けた緑の鱗の人魚、マリナ・ミストレスちゃんがそう言って頭を下げると、他の人魚も頭を下げた。
「別に良いのよ。あなた達を助けたのは私達がそうしたかったからだし、私は口調に関しては全く気にしないタイプだから。さっきのように話し掛けて良いわよ。」
「そ、そうなの?良かった~。」
マリナちゃんはそう言って胸をなで下ろした。
「それより、あなた達の話を聞いた限りだとあなた達が取引している村には裏切り者がいるようね。」
「そうなんだよ。これからどうやって薬とか手に入れようかと思っていたんだよね。」
「だったら私達の所に来なさい。歓迎するわ。」
「でも、皆と話さないと。」
「でしょうね。だから、これをあげるわ。」
私は板のような機械を渡した。
「?これは?」
「真ん中を押してご覧。」
マリナちゃんが恐る恐る真ん中を押すと、光が放たれ、この世界の地球がホログラムで投影された。
「こ、これ何ですか?!」
「それはこの世界全体の地図と思ってくれればいいわ。青く光っているのが現在地で、緑に光っているのがこの大陸の私達の拠点よ。これがあれば迷わずに私達の拠点に来れる筈よ。あなた以外使えないようになっているから無くさないように。」
「あ、ありがとうございます!私、頑張って長を説得します!」
「頑張って。それじゃあ、上に戻りましょう。」
〈フェンリル海軍第1艦隊第3ヘリコプター飛行隊『ダスター隊』 ダスター・リード SH-60〉
フライトデッキに出て少しすると、そろそろ帰ると言うので、人魚達をヘリに乗せ艦隊から少し離れた所で超低空飛行をして、人魚達と別れる事にした。
「優香!今日は本当にありがとう!」
「もう捕まっちゃ駄目よ!」
「また今度!あなた達の拠点で会いましょう!」
「楽しみにしているわ!じゃあね!」
「ありがとう!兵隊さん!今度一緒に食事しましょう!」
「おう!楽しみにしているぞ!元気でな!」
「「「「「バイバーイ!」」」」」
私達は人魚達と別れ、艦隊に戻り、フォート・ディールに帰還した。
[19:00時]
〈フォート・ディール 中央区画 上級職員宿舎〉
3日に渡る基地祭が終わり、隊員達が片付けをしている中で、私は基地祭最後の報告会議を終えた。最終日と言うこともあり、些細な喧嘩はあったが今日は憲兵による逮捕者はなかった。
海軍区画で行われた料理大会は、やまとの豪華カレーが優勝を果たし、やまとの乗員全員に臨時休暇が与えられた。
「さあ皆。着いたわよ。」
私はいつものように3人を車に乗せて、宿舎に帰ってきた。
「今日は疲れたの。」
「本当だよ。レイシス本当に勘弁して欲しいよ。」
『許せません!』
「それは近いうちに決着をつけましょう。今日はもう休みましょう。」
『はい。』
「はーい。」
「はいなの。」
私達は宿舎に入り、着替えや入浴を済ませ、眠りに着いた。
今日、忙しいのでやれるかは別として、コールオブデューティーアドヴァンスドウォーフェアを買いました、が!
PS4があるのにPS3版を買ってしまいました。開封してしまったので返品も出来ませんでした。はぁ~。
皆さんは何か買う時はしっかりチェックしましょう。
アドヴァンスドウォーフェアのアメリカ版はアメリカの方のプレイ動画を見ましたが、凄いですね。見ていて色々出したい装備があったので、次回あたりで出すと思います。
それでは今週の名言を。今回は実在した人物の名言です。
山本五十六「人は神ではない。誤りをするというところに人間味がある。」
まさしくその通りだと思います。何でも完璧にこなす人って少し不気味だと思いませんか?少し出来ない所がある方が好感が持てる気がします。
次回はマッドサイエンティスト再びになります。
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