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ゲームの軍隊と異世界攻略  作者: RIGHT
第2章 Operation Dragon Slayers
40/88

第2章4 基地祭1日目と体験搭乗

[10:00時]

〈フォート・ディール 空軍区画 〉


七海優香


私達はヴェイロンをゆっくりと走らせて空軍区画を陸軍区画に向けて走っていた。


「何か気になる物があったら止めるから遠慮無く言ってね。」


『「「は~い。」」』


しばらく進むと、


「優香。綿菓子って何なの?」


「綿菓子は私の国の祭りの定番のお菓子ね。食べて見る?」


『「「食べる[の]!」」』


私は車を止め、4人で綿菓子の屋台に向かった。


「綿菓子4つお願い。」


「4つですね。すぐに作ります。」


女性隊員は機械の中心に砂糖を入れ、機械を動かすと溶けた砂糖が糸状になり、それを素早く集め、綿菓子を作った。


「まずは1つどうぞ。」


「ありがとう。」


私は完成した綿菓子を受け取った。


『「「お~!」」』


3人は雲のようにふわふわとした綿菓子を見て感動しているようだった。


「良かったら自分で作って見る?」


『「「作る[の]!」」』


隊員の提案を受け、3人は屋台に入っていった。



七海有希



「それじゃあ最初は銀髪の君からにしようか。まず、この機械の真ん中に砂糖を入れるの。その容器1すくい分にしてね。」


私達は屋台の中で女の隊員さんにわたがしの作り方を教わっていた。

私は彼女の言うとおりに砂糖1すくいを機械の中央に入れた。


「そしたら、横のスイッチを入れるのよ。そうすると砂糖が糸みたいになって出て来るから、そこの棒にグルグル巻き付けると完成よ。」


私がスイッチを入れると機械が回転しだし、糸みたいになった砂糖が沢山出てきた。私は棒を機械の溝に入れ、棒を回して砂糖を棒に巻き付けていった。砂糖で出来た綿はだんだん大きくなっていき、私の顔と同じ位の大きさになった。


「はい。完成よ。」


『ありがとうございました!』


「喜んでくれて何よりよ。さあ、次は青い肌の君ね。」


私は出来たばかりの綿菓子を持って優香姉さんの所に向かった。


『優香姉さん!このお菓子凄いですね!ふわふわです!』


「それが綿菓子の1番良いところだからね。甘くて、すぐに口の中で溶けちゃうから食べてごらん。」


『はい!いただきます!』


私は綿菓子を1口食べた。綿菓子は私の口に入るとあっという間に溶けて口全体に甘さが広がった。


『本当に美味しいです!』


「喜んでくれて良かったわ。他にも美味しい物はあるから今日は目一杯皆で楽しみましょう。」


『はい!』


私達はシャルちゃんとアナトちゃんが来るまで綿菓子を食べながら話をしていた。



七海優香



私達は綿菓子を食べ終え、車でゆっくりと移動していた。


「何か見たい物はある?」


私が4人に聞くと、


『演奏が見たいです。』


「私は船をもっと良く見てみたいの。」


「戦闘機に乗ってみたい!」


と全員バラバラの答えが返ってきた。


「それじゃあまずは陸軍区画に向かいましょう。」


私は車両専用道路に入り、フルスピードで陸軍区画に向かった。


[10:20時]

〈フォート・ディール 陸軍区画 大規模演習場〉


私達が大規模演習場に着いた時には既に多くの人が集まっていた。


『結構いますね。どうします?』


「私達はわざわざ観客席から見る必要は無いし、もっと近くで見られる所に行くわよ。」


私は車を演習指揮所に止め、指揮所に入っていった。


「ガリソン少将首尾は?」


「上々と言った所です。観客も多いですし、これは気合いが入ります。」


「それは良かったわ。私達はこのままここで演習を見させてもらうわ。」


「椅子を持って来させますか?」


「私はいらないわ。」


『私も大丈夫です。』


「大丈夫なの。」


「私も。」


「わかりました。……開始時刻です。通信士。マイクを観客席のスピーカーと部隊の無線に繋げろ。」


「了解。…繋がりました。始めます。

ご来場の皆様。ただいまより総合火力演習を開始いたします。この演習は、私達陸軍の装備や能力を知ってもらう目的で行われます。まずは陸軍の主力戦車をご覧下さい。」


通信士がそう言うと、観客席の右の林から、9両の戦車が砂煙を巻き上げながら現れた。


「ただいま現れた車両達は強力な大砲で敵を吹き飛ばす、陸軍の地上戦の要である戦車です。先頭の車両から、M1A3エイブラムス、レオパルト2A7+、チャレンジャー2、10式戦車、メルカバMk.4、ルクレール、T-95、オプロートM、アリエテです。

それでは彼等の能力をご覧下さい。これより蛇行運転をしながら3の台の目標群を攻撃します。」


少将が部隊へ命令を出した。


「こちらTCP。敵目標群を3の台に確認。スラローム射撃でこれを撃滅せよ。」


《こちらTTU・アクチュアル。了解。全車撃ち方用意。撃て!》


演習戦車隊の指揮官を務める第3機甲師団第32連隊連隊長のリーナ・プール大佐の命令の直後。9両の戦車が一斉に発砲した。


[ズゴォン!]


ほぼ同時に発射された砲弾は、3の台に吸い込まれる用に突き刺さり、大量の土煙をまいあげ、爆発した。

9両の戦車はスラローム射撃をしながら前進し、ある程度進んだ所で停車した。


「撤退行動。かかれ!」


戦車がバックしながらスラローム射撃を行い、林の方に戻っていった。



「あの威力は実際に自分の目で見ると改めて凄まじいと実感出来るね。」


「私が全力で障壁を張っても防げなさそうなの。」


「防がれたら困るけどね。ほら次が来たわよ。」


私達は話をしながら演習を眺めていた。


[13:00時]

演習は滞りなく進み、無事終了した。

観客達は修辞鳴り響く爆発音と硝煙の臭いに完全に萎縮してしまったようだった。


「どうだった?」


「「………………」」


私は来たばかりの2人に感想を聞いてみた。


「仲間になれて良かったの。改めて、本当に、そう思ったの。」


「ダンジョンの時に戦わないでお姉ちゃんと話が出来て良かったよ。本当に!」


2人は涙目でそう言っていた。


「まあ、戦闘になったとしても有能な人は無力化して説得[物理?]をして仲間に引き込むつもりだけどね。………[その過程で殺して欲しいと望むほどの激痛や挫折を一旦は味わってもらう事になるけどね。]」


小声で最後にそう呟き、3人に向き直った。


「さて、次はどうする?」


『戦闘機に乗ってみたいです!』


「「賛成[なの]!」」


「それならそうねえ。……よし。あかぎに行きましょう。」


私達は指揮所の面々にお礼を言ってから車に乗って海軍区画のあかぎに向かった。


[13:20時]

私達は海軍区画まで半分程の所まできていた。

私はHUDの時間を見て、


「おっと。時間ね。皆空を見てご覧。」


私はルーフを操作して3人に空を見るように促した。


3人が空を見上げていると、8機で1チームの飛行隊4隊合計32機の戦闘機達が、雲を引きながら基地の上空を轟音と共に切り裂いた。

戦闘機達は衝突直前に上昇し、その軌跡を空へと伸ばし、衝突スレスレのパフォーマンスを始めた。


『流石です!凄いです!』


「うわー!」


「凄いの!」


3人は空を高速で飛び回り、極限まで高められた技能を華麗に披露するパイロット達に感動しているようだった。

彼等はインメルマンターンやスプリットS、プガチョフコブラ、クルビットなどの特殊機動を披露し、最後には一斉に散開し、空中に巨大なFAF[フェンリル空軍]SOAF[特殊作戦航空団]の文字を描いた。


『「「おおー!」」』


3人は歓声をあげた。


「気に入ってもらえたようで何よりよ。さて、あかぎに着いたわ。今度は私達が空を飛びましょう。」


私達は車を降りてあかぎに乗り込んでいった。


〈フォート・ディール 海軍区画 航空母艦”あかぎ”〉


私はあかぎ艦長の多紀とリッジバックスの許可を取り、あかぎに搭載されていたASF-XCmod.Rbを借りる事が出来た。

私が3人に耐Gスーツを渡し、着方を教えて、機体と一緒にエレベーターで飛行甲板まで上がってくると、


「あれ?フェアリー達じゃないですか。これから飛ぶんですか?」


あかぎがクルーと一緒に近づいてきた。


「ええ。音速を超える感覚を味わってもらおうと思ってね。」


「気を付けてくださいよ。私達空母にとって最も嫌なのは出撃と帰還でパイロットの数が少なくなる事ですから。」


あかぎは心配そうな瞳で私を見つめた。


「大丈夫よ。私の操縦の腕はトップエース級よ。それにこんな所で死ぬ訳にはいかないしね。

それじゃあ、誰から行きたい?」


シャルが真っ先に手をあげた。


「シャルからね。行きましょう。あかぎ、有希とアナトに空母とか色々教えてあげてね。」


「おまかせを。お気をつけて。」


『「行ってらっしゃい。」』


私はシャルにピンクの妖精のエンブレムが描かれたヘルメットを渡し、頭にかぶり、ハシゴを登って震電Ⅱに乗り込み、風防を閉めた。


「あかぎ、こちらフェアリー。これより発艦準備に入る。」


《こちらあかぎ。了解。クルーの誘導に従い発艦準備を行え。》


あかぎのコントロールルームに連絡した後、黄色い服に黄色いヘルメットをかぶった航空機誘導士官の指示に従い震電Ⅱをカタパルトに運んだ。

カタパルト到着までの間に 白の服に緑のヘルメットの航空機検査官が機体の目視点検を行った。

カタパルトに着くと黄色の服に緑のヘルメットを着けた射出・着艦装置士官、緑の服に緑のヘルメットの射出・着艦装置員、紫の服に赤のヘルメットの給油員が素早く準備を始めた。


《こちらあかぎ、尾翼と主翼のチェックを行え。》


「フェアリー了解。」


私は後ろを向き、尾翼と主翼の動きを確認した。


「尾翼と主翼のチェック確認。計器チェック。……確認。HMDバイザーチェック。……確認。」


チェックが終わるとカタパルトクルーが機体重量をボードに書き、私に確認を取り、重量に合わせてカタパルトの出力を入力した。別のクルーがトレイルバーを着けたので、私はランチバーを下ろし、これをカタパルトクルーがシャトルのスプレーダーにくわえ込ませた。

ジェット・ブラストディフレクターが上がった。


「こちらフェアリー。発艦準備完了。」


《了解。フェアリー、発艦を許可する。》


カタパルトオフィサーがアフターバーナーの合図を出したので、エンジンをアフターバーナーに点火した。

異常が無い事を確認し、カタパルトオフィサーに敬礼を送った。


「さあ、シャル。いよいよ発艦よ!発着艦の時と飛行中は目の前の計器に着いてるハンドルを掴んでいてね。」


《はいなの!》


カタパルトオフィサーがカタパルト操作員に合図を送り、カタパルト操作員が射出ボタンを押した。

機体はリニアカタパルトにより、2秒程で時速300km以上に加速され、空に打ち出された。

機体が無事射出された事を確認し、アフターバーナーを解除し、操縦桿を握った。


《こちらあかぎ。貴機の発艦を確認。良いフライトを。》


「ありがとう。1時間程したら戻ってくるわ。」


私はあかぎとの通信を切り、シャルにオーダーを聞いた。


「シャル。どこをどう飛ぶかはあなたが指示して。出来る限り叶えるわ。」


「……この戦闘機で行ける限界の高さからの光景を見て見たいの。」


「いいけど、着くまでかなり苦しいわよ。」


「大丈夫なの。」


「わかったわ。それじゃあいくわよ!」


私はアフターバーナーを点火した。

機体は瞬く間に音速を突破し、機体の尾翼が高速用に変形し、速度は直ぐに最高速度のM2.1に到達し、私は操縦桿を引き、一気に上昇に転じた。


「ぐ………ぅ……!」


《うぅ……く……!》


体が座席に押し付けられ、血流が止まらないように耐Gスーツが足を圧迫した。

高度計の値は目まぐるしく上昇し、あっという間に高度20,000mに到達し、機体を水平に戻した。


「ふぅ。シャル。着いたわよ。ここが高度20,000mの光景よ。」


《うぅ?……!!凄い!》


そこには青い地球と、漆黒の闇が広がる宇宙との境目がはっきりと確認出来る唯一この場所でのみ見ることの出来る絶景が広がり、あらゆる生物が生存することの出来ない死と、絶景の美しさの2つのみが存在する空間が広がっていた。


「この光景を見ると毎回思う事があるのよね。」


《?》


「ここから見れば国境線も人種も何も変わらない。皆一様に美しい。こんな小さな星で互いに殺し合いをする私達は何てちっぽけ何だろうってね。」


《……………》


「さて、そろそろ降りましょう。ゆっくりとあかぎにるわね。」


《はいなの!》


私は機体をゆっくりと降下させ、あかぎへの帰路についた。



帰路についてしばらくするとあかぎが見えてきた。


「あかぎ、こちらフェアリー。着艦許可を。」


《こちらあかぎ。着艦を許可する。》


許可が出たので、進行方向を真っ直ぐに固定し、高度を少しずつ下げ、着艦用のアレスティングフックを下ろし、機首をあげた。


《進入コース適正。そのままのコースを維持せよ。》


私は機体の姿勢を維持したまま、速度を落としていき、甲板に設置された4本のアレスティングワイヤーの内の3本目にフックを引っ掛け、無事着艦した。


《完璧です!フェアリー。既に給油員と整備員がスタンバイしています。誘導員の誘導に従ってください。》


私は航空機誘導員の指示に従って機体を動かした。


エンジンを切り、給油と簡単なチェックが終わるのを待つために機体を降りた。

シャルも機体を降りてきたが、腰が抜けてしまっているようで、転んでしまった。


「大丈夫?」


「凄い体験だったの。」


私はシャルに手を貸し、2人とやまとの所に歩き出した。


3人は直ぐ近くにおり、回復したシャルから色々話を聞きだした。

私は艦橋を背もたれにして少し休憩をする事にした。


しばらく休んでいると整備員が、整備と給油が終わったと報告してきたので立ち上がった。


「さて、次は誰が乗る?」


「はい!」


私が聞くとアナトが勢い良く手をあげた。


「アナトね。あなた用のヘルメットを持ってこないと。」


私が新しいヘルメットを取りにいこうとすると、


「大丈夫だよ。角はこうすれば。」


そう言ってアナトが指をパチンと鳴らすと角がスッと消えた。


「おお!消えた!」


「今までは必要無かったけどあると色々楽だし、覚えたんだよ。」


アナトは私からヘルメットを受け取り頭にかぶった。


私達は機体に乗り込み、私は再び空に飛び出した。



「さて、何をして欲しい?お望みのとおりに飛ばすわよ!」


「それならさっき見たアクロバットをやって欲しいな。」


「いきなりアクロバットを?初心者にはきついと思うけど、まあ何事も経験ね。わかったわ。それじゃあ、いくわよ!歯を食いしばって気絶しないようにね!」


私は機体を加速させ、クルビットなどのアクロバットのフルコースを行った。

訓練を受けていない人ではあっという間に気絶してしまうであろう機動を行ったが、


《イヤッフー!》


と、歓声を上げて楽しんでいた。


「満足してもらえたかしら?」


《大満足だよ!翼だとこんなに速く複雑な動きは出来ないからね!》


「そんなに気に入ったなら今度操縦を教えてあげようか?」


《本当に!?やった!》


アナトは相当嬉しいのか、両手を上げて喜んでいた。


「ふふ。それじゃあそろそろあかぎに帰りましょう。」


《うん!》


私は機体の進路を変え、帰路に着いた。



あかぎに着艦すると先ほどと同じように整備員達が機体の点検、給油員が給油作業に入った。私達は邪魔にならない所で話をしていた。


『え?!操縦を教えてもらえるの?!』


「アナトだけずるいの!?優香!私達にも教えて欲しいの!」


アナトが戦闘機の操縦を教えてもらうと2人に話すと、2人も相当興味があったのか、凄い勢いで詰め寄ってきた。


「わ、わかったわ!全員にしっかり教えるから!」


『「やったー!」』


「でも、いきなり戦闘機に乗れる訳じゃないわよ。まずはしっかり勉強しないと。」


「あ。それは大丈夫だよ。お姉ちゃんの知識もあるし、私の魔法に本とかに書かれている内容を全て完璧に理解して、定着させるっていうのがあるから、それを使えば3000ページ位の本なら3人含めて3分で終わらせられるね!内容の割に使う魔力が多いし疲れるけど、一晩で治るレベルだしね。

知識とかが完璧なら、教育にかかる時間はかなり短縮出来るでしょ?」


「確かにそうだけど……。わかったわ。後で各種参考書、各種用語辞典、様々な機体の教本、機体のデータ、地形図、とかの本を全て用意してもらいましょう。」


「そ、そんなにいっぱいあるの?」


「そうね。基礎的な科学や数学の本とかもあるから凄い数が増えてるわね。単純に操縦関連の本も多いのに、他のもあるからね。

いやー。本の内容を完璧に理解させて定着させるなんて魔法があって正直助かったわ。全部教えてたら10年以上はかかったからね。」


「ちなみに全部合わせると何ページ位になるの?」


「そうね。2m以上かしらね。」


「単位がおかしいよ!?」


「いやいや。中には1冊で20cm位のもあるし。」


「何だか物凄い墓穴を掘った気がする!」


アナトが打ちひしがれていると、整備が終わったので有希を乗せて今日最後の飛行に出発した。



「さて、有希。あなたは何をして欲しい?リクエストがあるならその通りに飛ぶわよ。」


《『それなら、編隊飛行をして欲しいです。』》


「編隊飛行?」


《『そうです。さっき見たのが凄く格好良くて。』》


「ふむ。少し待ってね。」


私は近くを飛行する他の体験搭乗中の機体にコンタクトを取った。


「ブルー2、4、リッジバックス6、こちらフェアリー。応答を。」


返事は直ぐにきた。


《こちらブルー2。何でしょう?》


《こちらブルー4。現在貴機より方位326、距離10km地点を飛行中。用件は?》


《こちらリッジバックス6。何かありましたか?》


「後ろのお姫様が編隊飛行をご所望なのだけど、そっちの後席がOKなら一緒にどうかしら?」


私が聞くと少し間が開いてから返事がきた。


《こちらブルー2。後席も是非との事なので参加させてもらいます。》


《ブルー4。後席のOKが出た。貴機と合流する。》


《リッジバックス6もお供させてもらいます。》


「それでは基地上空で合流よ。私がリードを務めるわ。」


《《《了解。》》》


私は無線を切り、有希に話し掛けた。


「有希。お望みの編隊飛行は無事出来そうよ。」


《『やった!』》



基地上空で待機していると、2機の青と白でカラーリングされたT-4 2機と漆黒のボディに白い1本線が引かれたASF-XCが合流し、私の後ろに着いた。


《こちらリッジバックス6。これより編隊に加わる。》


《こちらブルー2。お待たせしました。》


《ブルー4到着。編隊に加わる。》


「全機揃ったわね?それじゃあ始めましょう。」


4機揃った所で、ダイヤモンドの形に編隊を組み、極端に狭いダイヤモンドや、一斉に散らばってから再び集まるなどの様々な編隊飛行を行った。

有希は珍しいくらいハイテンションで修辞歓声をあげていた。


「さて、もうそろそろ時間ね。各機協力してくれてありがとう。」


《こちらのお客さんも大満足だそうです。それではリッジバックス6は編隊を離脱します。》


《こちらブルー2。こちらこそ感謝します。ブルー2編隊を離脱します。》


《貴機と飛行出来て光栄でした。ブルー4、編隊を離脱。》


戦闘機が1機ずつ離れていき、再び単機になった。


「さて、私達も帰りましょう。」


《『はい。…………あの、優香姉さん。』》


「ん?」


《ありが…とう。》


それはかすれていて小さな声だったが、紛れもない有希自身の喉から出た声だった。


「!有希!あなた、声が!」


私が驚きのあまり声を荒げると、


《『まだほんの少しですけど、だんだん声が出るようになってきました。これからも頑張るから応援してくれますか?』》


「もちろんよ!それに有希もアナトみたいに砕けた話し方でいいのよ。私達は仲間であり、家族なんだから。」


《『はい!』》


私はヘルメットのバイザーを上げ、涙を拭い、太陽が反射する青い海を見ながら帰路についた。



[16:50時]

〈フォート・ディール 中央区画〉



私はあかぎに着艦した後、無理を聞いてもらった多紀とあかぎのクルー達、あかぎ自身にお礼を言ってから車に乗り込み、中央区画の私の駐車場に車を止めた後、祭りを楽しむために制服から私服に着替え、徒歩で祭りを周り始めた。


『ベビーカステラおいしいです。』


「私は水飴が気に入ったの。ねっとりしておいしいの。」


「私はやっぱり綿菓子かな。フワフワしてて甘いし。お姉ちゃんは何が好き?」


「そうね。私は、うん?」


私達が話ながら歩いていると、この近くの裏手で警備AIが警報を発令したのがHUDに表示された。

私達が最も近く、他の隊員では到着まで早くても5分はかかりそうだった。


『優香姉さん。』


「優香。」


「お姉ちゃん。」


3人はスイッチを変え、腰の拳銃に手をかけながら私を見た。


「ええ。行きましょう。不届き者を成敗するわよ。」


私達は何時でも銃を抜けるようにしながら建物の裏手に入っていった。



???



私は偶然立ち寄ったアメックス王国の街から空を飛ぶ何かに乗って、フェンリルという国の軍隊の基地のお祭りに来ていました。

そこでは他の国では見た事もない事ずくめで、私はひさびさに楽しい一時を過ごしていたけど、注意が散漫になったせいで、弱体化の魔法をかけられ、不埒な男達に捕まってしまった。


「うーー!ううーーーー![何よあんた達!これを解きなさいよ!]」


私が猿ぐつわをはめられた口で叫んでいると、


「うるせー!」


男の1人が私を殴った。


「うっ!」


「おい!そんな事よりとっととやっちまえ!」


「落ち着けよ。こんな裏の方にいるんだ。気付くもんか。」


「そういうこった。そんじゃあ、嬢ちゃんの胸を見せてもらおうか!」


「うーー!うーーー![いやー!誰か助けて!]」


男が私の服を破こうと力を込め、私が悲鳴を上げた時、


「全員動くな!」


彼女達はやってきた。



七海優香



私達が裏手に入って少しすると、


「ぅぅーーーー!」


女性の悲鳴がわずかに聞こえてきた。


「急ぐわよ!」


『「「了解!」」』


私達が急いで裏手に進んでいくと、7人の男が1人の少女の服を無理やり破こうとしていた。


「全員動くな!」


私はP320を抜き、大声で怒鳴った。

3人もすぐに追いつき、それぞれ銃を抜いた。


「人の基地でよく犯罪を起こそうと思ったものね。今すぐ彼女を解放すれば命は助けてあげるわ。死ぬか犯罪者として牢屋で過ごすか。今すぐ決めなさい。」


「なんだとこの女!」


「おい!こいつ等もやっちまえ!」


男達が向かってこようとすると、


「まて!」


金髪の偉そうな男が出てきた。


「そこの女。僕達はこれから彼女で楽しむんだ。こいつをやるから、とっとと失せろ。」


そう言って男は紋章の入った巨大なダイヤの付いた指輪を投げ渡してきた。


「………一体何のつもりかしら?」


私が怒りを含ませながら言うと、


「その指輪はレイシス王家の9男である僕が作らせた物だ。それがあれば奴隷の4、5人は余裕で買えるぞ。どうだ?それでこの事は見逃してもらえないかな?」


私は怒りを何とか抑えながら返した。


「お断りよ。私達の信条に反するのでね。」


「そうかい。残念だよ。お前達、好きにして良いぞ。」


「へへ!待ってたぜ。」


「俺達の相手をしてくれよ!」


男達が道を塞いできた。


「…………死にたく無いなら道を開けろ。」


「へ!嫌だね。」


「……交渉決裂だな。全員殺っていいぞ。」


男達が欲望に満ちた目で近付いてきた。


「おもしれえ!殺ってみ[パン!]」


「え?」


近付いてきた男の膝に向けてシャルが発砲した。

シャルのFive-seveNから発射された5.7mm弾は男の右目に正面から飛び込み、眼球を潰し、脳をかき混ぜた後、後頭部に風穴を空けて、後ろに抜けていった。


「ひぃ!これはあいつらと同じ!」


「だがこいつ等はあんなデカいもん持ってねぇぞ!」


男達は突然仲間の頭に穴があいたのに驚き、注意を私達からそらした。


「おい!何をして……!?」


レイシスの貴族の男は男達が一向に動かない事に業を煮やして怒鳴ろうとしたが何かを感じ取ったのか、すぐに口を閉ざした。


「……………貴様等。私は最初に説明したはずだ。この基地の中で犯罪を犯すと命の保証はしないと。」


私は左足の太腿のホルスターから2丁目のP320customを抜いた。


「それにもかかわらず、少女を犯そうとし、私達もだと?」


2丁のP320customのスライドを引き、初弾を装填した。

男達は私の尋常ではない様子に完全に怯んだようで軽く後ずさりをしていた。


「貴様等は彼岸の向こうへ送ってやる。楽に死ねるんだ。感謝しなさい。」


「う、うわー!」


男達は私からの重圧に耐えられなくなったのか、貴族の男と2人が奥に逃げ出した。


が、


[パパパン!]


私が素早く発射した9mm弾に2人は太腿を撃ち抜かれ、貴族の男は臑を撃たれ転び、痛みと衝撃で気絶した。


「さぁ、慈悲深い私がもう一度聞いてあげるわ。」


残った3人の男達は歯をガチガチ鳴らし、真っ青になっていた。


「生か死か激痛か。どれが良い?」


もう男達の答えは決まっていた。



男達を制圧してすぐにMPが到着し、3人は取り調べ室に、貴族の男は最低限の処置をするため医務室に、1人の死体は火葬場で丁重に弔う為にそれぞれ連れて行かれた。


「もう大丈夫よ。今解くわ。」


私は少女を落ち着かせるようにゆっくり話ながら、猿ぐつわを外し、手のロープを解いた。


「ぷは。あ、ありがとうございます。もう、本当に、グス、お終いだと思いました。」


少女は助かって安心したのか、泣き出してしまった。


「ごめんなさい。怖い思いをさせちゃったわね。もう大丈夫。悪い男達は皆捕まったからね。」


私は少女が落ち着くまで一緒にいる事にした。



[17:30時]

〈フォート・ディール 中央区画 憲兵隊指揮所〉



基地の門が閉ざされ、一般客以外が帰った後、私達は落ち着いた少女を憲兵隊指揮所に連れて行き、話を聞いた。


「なるほど。能力を封じられたせいで撃退出来なかったと。」


「はい。」


「能力って事は亜人種よね?種族と名前を教えてもらえるかな?」


「私は、レヴィア・グラシアです。妖魔種竜人族で17歳です。」


「弱体化の魔術って言うのはそんなに簡単に使える物なの?」


「私も詳しくはないですけど、基本的には高価な魔術触媒が必要なので、従軍魔術師やかなりの資産がある魔術師でないと使えないはずです。

ただ、あくまで噂ですが、レイシス帝国は古代のダンジョンから発見されたアーティファクトを解析して、簡単に使えるようにした物を奴隷商人や貴族向けに大量生産しているとか。」


「なるほど。その情報はどこで?」


「お父さんが竜人王様と話していました。」


「と言う事は、あなたはドラコグレイスの貴族の娘さんって事ね?」


「と言っても4女ですけどね。竜人族は竜人族以外とは特殊な魔法を使わないと子供は出来ませんが、竜人族同士なら多産なので。

そのおかげで2年前からこうして世界を見る旅をしていたんですけど。もっと気を付けないと駄目ですね。」


「それは同感ね。もう充分よ。今日はこの基地の部屋を貸してあげるからゆっくり安心して休んでいってね。

あなたの腕輪に特別パスを入れたから、明日以降の祭りでは半額になるわ。

それじゃあ私はこれから会議があるから行くわね。

有希、車のキーを渡すから3人を私の部屋に連れて行ってあげて。私の部屋で待っていてね。部屋にあるゲームとかは好きに使っていいからね。」


『「「はい!」」』


私は3人にレヴィアのことを任せ、基地祭報告会議が開かれる会議室に向かった。



シャルル・オラトリエ



優香が部屋を出ていった後、私達は有希の運転する車に乗って上級職員宿舎に向かっている間、レヴィアに話かけていた。


「さっきも自己紹介したけど、私がシャルルなの。シャルって呼ぶの。」


「あ、それなら私もレヴィで良いよ。」


「敬語じゃなくて良いの。レヴィは今日1日回ってみてここをどう思ったの?」


「そうだね。う~ん。とりあえず思ったのはここの人達と戦争はしたくないね。

ドラコグレイスが滅亡する未来しか見えないよ。

それ以外だと、ここの人達は異種族に差別意識は無さそうに感じたかな。あなた達以外にも灰色の服を着た魔人族の娘が同じ服を着た人と話していたし、泣いてる迷子の猫人族の子供にお菓子をあげてあやしながら母親を探している人も見たよ。

不思議な人達だと思ったね。」


「やっぱり不思議に思うよね。でも、これがここの人達の普通なんだよ。基本的には困っている人には無償で手助けして、理不尽を与える奴には理不尽を持って相対する。沢山の屍の上に立つ事になっても、自分の守りたい物や自分で手をかけた者達の事を無駄にしない為に、自らを犠牲にしてでもその信念を貫く。そう言う人達なんだよ。」


私もアナトに賛成するように頷いた。


「へぇ。面白い人達だね。」


『怒らせるととてつもなく恐いですけどね。

着きました。鍵はあるので、中に入りましょう。』


有希が車を止めたので、私達は宿舎の優香の部屋に向かった。



[19:30時]

七海優香



報告会議が終わったので、私はダートバイクを借りて宿舎まで戻ってきた。

会議では今日の売り上げや、逮捕者が報告された。

売り上げは、食べ物ではやまとの超贅沢カレーが一番の人気で、各艦対抗料理対決でも最も票を得ていた。会議に着た艦魂達からは次は負けないと言う意思を込めた視線がやまとに向けられていた。

お土産などを出した隊は殆どが完売で、最も売れたのはグローブやサングラス、Tシャツ、ズボン、などの服を売りに出した所で、その中でもオリジナルのキャラクターの描かれたTシャツは飛ぶように売れたそうだ。

犯罪については今日1日で15人が憲兵隊に逮捕された。スリが1人、喧嘩4人、レイプ未遂10人。

レイプ未遂の主犯はいずれもレイシス帝国の貴族を名乗っていて、王国に確認した所、各街に駐在武官として派遣されてきたれっきとした貴族だそうだが、事件を起こしては帝国の力で揉み消しをさせるなどやりたい放題だったらしい。

どうやらこの基地の中でも他の街と同じように出来ると思っているようだ。これからまた増えるかもしれないだろう。

そんな事を考えていると、宿舎に着いた。私はバイクを駐輪場に止め、部屋に向かった。


「ただい…ま。」


私が部屋に入ると、


「あ!またやられた!有希はどこにいるんですか?!」


『内緒。そしてもう1人。』


「今度は私?!くそう!荒野のエリアにするんじゃなかった!ギリースーツにサプレッサー付きスナイパーライフルは全然見つからないよ!」


「こ、今度こそ!あ、あれ?!何か空飛ぶのが撃ってきました!」


「それは私なの。」


「またやられた。」


「勝てる気がしない。」


4人はテレビでFPSをやっていた。


「好きに使って良いとは言ったけど順応し過ぎじゃない?」


私は思わずそう呟いていた。


『あ!姉さんお帰りなさい。』


「ただいま。もうすっかり仲良くなったみたいね。」


「レヴィはもう友達なの。」


「一緒に戦ったしね!」


2人はレヴィアの手をとり、そう言った。


「それじゃあ新しいお友達を連れて皆で食事に行きましょう。」


『「「はい!」」』


「その、私は、」


レヴィアは少し戸惑っているようだったので、


「遠慮はしなくて良いわよ。私の仲間の友達は私にとっても大切な人だからね。

それと別に敬語じゃなくても良いわよ。私の部下も作戦中以外ではタメ口の人の方が多いしね。」


「………わかりました、いえ、わかったよ。それじゃあお言葉に甘えさせてもらうね。」


私達はレヴィアを連れて食堂で食事をし、入浴などを済ませて、各自の部屋で睡眠をとり、明日に備えた。

今日11月6日は私の誕生日です。と言うわけで、早めに投稿しました。


今回のセリフも誕生日にちなんだものです。エースコンバット04より。もうわかった人もいますよね?


スカイアイ「今日は俺の誕生日だ。勝利をプレゼントしてくれ!」


このセリフはエースコンバット04の中で2回聞けます。


私はエースコンバットならZEROが一番好きです。次に5、04ですね。ピクシーは最高にかっこいいです。名言も多いですし。エースコンバットはシリーズ通して名言が多いですね。


次回は空軍と海軍航空隊の見せ場になります。


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