表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームの軍隊と異世界攻略  作者: RIGHT
第2章 Operation Dragon Slayers
37/88

第2章2 Operation Freedom Guardians

[7月6日]

〈アメックス王国 フィールの街 フォート・ベアード 大会議室〉

フェンリル軍 GDU 1stIB 七海優香 コールサイン:フェアリー


ダンジョン攻略戦から時間がたち、以前から計画していた作戦を実行する時がきた。


「親愛なる兵士諸君!とうとうこの日がきた!1ヵ月前に捕らえた奴隷商人を覚えているな?

奴が吐いたのは、違法奴隷の取引を行う裏奴隷市場の情報だ。これまで国王はこれを廃絶しようとしていたが軍部や貴族にお得意先がいた事で手が出せなかった。しかしその貴族共の中でも有力な者達は既に我々が捕らえている。

そこで国王は裏奴隷市場の撲滅を決め、既に我々が確保したのとは別に、それに関わる貴族が極秘裏に国王の親衛軍に捕らえられている。そいつらからの裏も取れた事で国王はこれに関わる者全ての捕縛を私達に依頼してきた。そう、全てだ。これには会場にいる他国の商人や貴族等も含まれる。

そこで私達はOperation Freedom Guardians(自由の守護者達作戦)を発動。私達ギルド派遣部隊(GDU)第1独立大隊(1stIB)は歓楽都市イーファンに急行し、会場であるキールカジノに潜入。裏奴隷市場を叩き潰す。今回はアメックス王国軍親衛軍の協力もある。

まず、私達は今夜HALOで街から2kmの地点に降下する。その後、光学迷彩を使って街に侵入する。

目標は街の中央に位置するキールカジノだ。警備ははっきり言ってザルだ。しかし、魔法や魔術的防御を持つ可能性もあるためカジノへの潜入は魔法が使えるシルキー隊の隊員を各隊につける。

メタル隊は裏奴隷市場会場の制圧、ウミドリ隊はキールカジノの支配人と副支配人の捕縛と奴隷取引先などの情報の入手、ヴォルフ隊は私と奴隷被害者を救出する。以上が作戦目標よ。

内部情報はCIAが既に入手しているわ。

情報によると裏奴隷市場の開催は18:00時。開始と同時に私達はカジノに潜入を開始する。それまではCIAのセーフハウスからカジノを監視する。

作戦中の発砲は各自の判断に任せるが、くれぐれも音は立てないように。

作戦目標達成後はアメックス王国軍親衛軍の部隊がブラックバード2と共に商人の確保と奴隷被害者の回収に来るので私達は王国軍の馬車に乗って撤収地点に移動し撤収する。王国軍は私達が脱出した後、カジノに入り、裏奴隷市場を制圧した、というのがカバーストーリーだ。つまり、今回の件では他国にはアメックス王国軍が裏奴隷市場を撲滅したと言うようにする。私達はそこにはいなかったんだ。わかるな?

それと今回以降の作戦では母さんが空軍のAWACSから指揮を取ってくれるわ。AWACSのコールサインは『プロビデンス』。本土で待っているのは相当暇なようね。

何か質問は?」


「CIAのエージェントは強襲に参加するんですか?」


ウィリアム大尉が質問してきた。


「彼等次第ね。エージェントには私達以上の自由が与えられているからね。ただ、彼等の実力は折り紙付きよ。信用出来るわ。

他には?」


「私達の存在を隠す理由は?」


エマ中尉が挙手した。


「手遅れかもしれないけど。ダンジョン攻略戦で目立った上に、極秘裏に潜入しての作戦が行えると他国に知られない為よ。

他には?」


手はあがらなかった。


「無いようね。

ダンジョン攻略戦以来の本格的な作戦よ。1週間みっちり訓練したパワードスーツの初の実戦だ!私達の新しい力を奴隷商人どもに見せてやるぞ!」


「「「「「応!」」」」」


「それでは各自準備を始めろ!」


隊員達が会議室を出て準備を始めた。

私と有希も部屋を出ようとすると、


「あの。お姉ちゃん。」


「ちょっと話したい事があるの。」


「?どうしたの?」


アナトとシャルが不安そうな顔をして私を呼び止めた。


「私、不安なんです。皆に迷惑をかけるんじゃないかって。」


「私もなの。知識はもらったけど、ちゃんとやれるかが不安なの。」


私は2人の顔に手を当て視線を合わせて言った。


「大丈夫よ。私も最初は不安で一杯だった。でもその時一緒にいた隊員がとても頼れる人で、その人のお陰で無事に作戦を終えられた。

だからあなた達も私を頼って良いのよ。」


『そうですよ。私も最初は優香姉さんに頼りっぱなしでしたから。』


「はい!ありがとう!お姉ちゃん!有希!」


「大分楽になったの。ありがとうなの。」


「どういたしまして。それじゃあ準備に行きましょう。」


私は3人を連れて準備に向かった。


[7月7日 03:00時]

〈アメックス王国 歓楽都市イーファン上空 MC-130W スピアー・リード〉

私とシルキー隊の隊員は降下の時を静かに待っていた。


《降下3分前。後部ハッチを開きます。》


後部ハッチが開き、夜の闇が現れた。


「全員気を引き締めて行くわよ。実戦でのHALOが初めての人もいるけど落ち着いて、訓練通りにやりなさい。」


「「「「「はい!」」」」」


《降下1分前。スタンバイ。》


「さあ。クズ共に人道をしっかりレクチャーしてやりましょう。」


「随分と高い授業料になりますね。」


「全部分捕ってやろうぜ!」


《降下地点に到着。降下開始。幸運を。》


私達は一斉に走り出し、夜の闇に身を投げ出した。



「ひえー。夜にこんな高さから降りた事無いから凄い怖いよ!」


降下を始めて少しすると無線からアナトの声が聞こえてきた。


「訓練と同じで腕のメーターが赤い所に入る前に肩の紐を引けば大丈夫よ。後は共有した私の経験が導いてくれるわ。」


私は高度計を見ながらアナトを励ました。


「もうすぐ開傘高度よ。準備して。」


高度計が開傘高度を示した。


「今よ。引いて。」


私の声を合図に一斉にパラシュートを展開した。


「良かった。ちゃんと開いた。」


「このまま真っ直ぐ降下して。降下したら、IRビーコンを着けるから、そこに集結して。」


「「「「「了解。」」」」」


地面が近付き、私は着地体制をとり、着地した。

着地し、パラシュートを外した後、私はIRビーコンを起動し、HUDを暗視モードに切り換えた。

隊員達はすぐに集まってきた。


「全員集まったわね。これから他の隊とコンタクトをとるわ。周囲を警戒して。」


「「「「「了解。」」」」」


警戒を仲間に任せ、私は無線に声をかけた。


「フェアリー・ウインド各隊、こちらフェアリー。シルキー隊は街の南1.7km地点に降下、集結した。そちらの状況を送れ。」


《こちらテンマ。ウミドリは街の北2.1kmに降下。集結完了。ゴーサインを待ちます。》


《こちらサンドマン。こちらは街の東側2.6km地点に降下。集結完了。待機中。》


《ドーラです。ヴォルフ隊は街の西1.4km地点に降下。現在待機中。》


「フェアリー了解。全員無事に降りられたわね。

私達はこれから街に向かい、外壁を登攀して侵入する。その後街に潜入しているCIAのエージェントのセーフハウスに向かう。セーフハウスは5ヵ所あり、それぞれ別の地点だ。そこから潜入の時間までカジノを監視する。位置はHUDに送ってある。

それでは各自移動開始。」


《《《了解。》》》


私は無線を切り、移動を始めることを伝えた。


「街まで光学迷彩を起動して、全速力で向かうわよ。」


「「「「「了解。」」」」」


「さあ。行くわよ!」


私達はパワードスーツのアシストを全開にして走り出した。

最大で80km/hにも及ぶスピードで走ったおかげで、1分程で街に着いた。


「グローブを登攀モードにして。静かに登るわよ。」


私達はグローブを壁に吸着出来る登攀モードにし、壁に張り付き静かに登り始めた。

下を見ると、全員光学迷彩を起動しているので肉眼では見えないが、HUDの補正によりしっかりと姿を見ることが出来た。

パワードスーツの力もあったので、10m程の外壁は苦もなく登る事が出来た。

登りきる前に、壁の上を見て、近くに誰もいない事を確認してから壁の頂上に上がった。

頂上に上がってから、壁の内側の近くに誰もいないと確認してから、私は壁から飛び降りた。


[スタッ]


と10mから飛び降りたにしては非常に軽い音と共に着地した。

私に続いて、仲間達も次々降りてきた。


「街に無事はいれたわね。これからセーフハウスに向かうわ。警戒は怠らないように。」


「「「「「はい。」」」」」


「それじゃあ行きましょう。アリア、ルートをARで表示して。」


『は~い。』


私の視界に青いルートが浮かび上がったのを確認し、私達は音を立てずに警戒しながら歩みを進めた。

イーファンは歓楽都市と言うこともあり、至る所に賭博場や、娼館などがあり中央に行く程豪華になっていった。

エージェントのセーフハウスは中央から少し離れていたが、目標のキールカジノの真正面にある3階建ての建物だった。建物には『NOCカンパニー』と書かれていた。


「NOCカンパニー。NoneOfficialCover(CIAエージェント)カンパニー(CIA)かしら?安直だけど、こっちの人には絶対にわからないから問題ないわね。」


私は扉をそっと開けて中に入った。

全員が中に入ると、


「時間通りだな。」


部屋の奥から1人の男が声をかけてきた。


「光学迷彩を使っているのに良く気づいたわね。流石だわ。」


「姿は見えなくても気配は感じるものだ。」


「流石、スネークのコードネームに恥じないわね。これから短い間だけどよろしく。」


「ああ。3階に監視用の設備は準備してある。2階と3階は好きに使って構わない。」


「恩にきるわ。」


「それと今回の作戦には俺も同行させてもらう。スーツはあるから心配する必要は無い。」


「それは心強いわ。それじゃあ早速上に行きましょう。

監視はシフトで、待っている間はゆっくり休んで頂戴。」


私達は上階に上がり監視しながら時間を待った。


[13:00時]

〈歓楽都市イーファン セーフハウス〉

フェンリル軍GDU1stIB ライリー・アメックス コールサイン:アーロン


「ライリーさん。また来ました。またレイシス帝国のお抱え商人です。」


バディのリンとスポッティングスコープでカジノへの出入りを監視していると、王国の大物商人から他国の大物商人などが数多く確認出来た。


「レイシスめ。ここで奴隷を仕入れて自国の貴族に売っている噂は本当のようだな。

リンは監視を継続してくれ。俺はフェアリーに報告する。」


「はい。」


スポッティングスコープから目を離し、無線に話かけた。


「フェアリー、アーロンです。新たにレイシス帝国のお抱え商人を確認しました。」


《了解。他の隊からも商人や大型の護送馬車を大量に確認したと報告がきているわ。間違いなく黒ね。

全員突入ルートを指示するわ。

メタル隊は商人を尾行、会場を特定し、職員通用口から侵入しろ。CIAの報告では会場は地下にある可能性が高いわ。HUDのマグネティックモードが役に立つはずよ。

ウミドリ隊は上から侵入しろ。支配人達の部屋はカジノ中央の塔の最上階にあるわ。

ヴォルフ隊は私と搬入口から侵入し奴隷被害者を救出し、メタル隊と会場を包囲し制圧する。

作戦目標を達成したら搬入口に集結して王国軍の到着を待ち、彼等の先導でブラックバード2と合流し、撤収よ。

全員監視を止めて準備を始めて。》


指示を受け、俺とリンは監視を止め、準備を始めた。



七海優香 コールサイン:フェアリー



[18:00時]

空が薄暗くなった頃に私とヴォルフ隊は搬入口に到着した。

各部隊の割り振りはこうなっている。

●救出部隊[ダイヤ隊]

♦指揮官:七海優香

◎シルキー隊

◦七海優香◦七海有希◦七海アナト◦シャルル◦ラミリス◦フラン◦ルー◦エリカ◦エッタ◦ベル◦ミハエル

◎ファルケ隊

◎CIA SAD

◦スネーク◦オセロット

●制圧部隊[スペード隊]

♠指揮官:ウィリアム・フィクナー

◎シルキー隊

◦レン◦ウィリアムス◦ジョセフ◦クライブ◦アンナ◦テッサ◦リム◦チェイシー◦トリエラ◦ジャンヌ◦シェスカ◦ミラ

◎メタル隊

◎CIA SAD

◦フィッシャー◦レイブン

●調査部隊[クローバー隊]

♣指揮官:斎藤重春

◎シルキー隊

◦ミリア◦メグ◦ジル◦ドロシー◦エル◦メヌ◦ライリー◦リン◦ラン◦マイク

◎ウミドリ隊

◎CIA SAD

◦ウルフ◦レイブン


「こちらフェアリー。ダイヤは配置に着いたわ。

各隊の状況を送れ。」


《こちらサンドマン。スペード隊は通用口に到着。》


《こちらテンマ。屋根に穴を空けて屋根裏に侵入しました。クローバー隊、準備完了。》


全員配置に着いたのを確認しプロビデンスに状況を報告する。


「プロビデンスこちらフェアリー。全隊位置に着いた。」


《了解。プロビデンスより全隊へ。自由への扉は開かれた。作戦行動に入れ。》


「了解。ダイヤ隊ムーヴ。」


《了解。スペード隊は突入を開始する。》


《クローバー隊侵入を開始。目標確保に向かう。》


作戦が始まり、全員が行動を開始し、私達ダイヤ隊も搬入口からカジノに入っていった。



クローバー隊 斎藤重春 コールサイン:テンマ



クローバー隊は隊を3つに分けて屋根裏に潜んでいた。


《プロビデンスより全隊。自由への扉は開かれた。作戦行動に入れ。》


《了解。スペード隊は突入を開始する。》


「クローバー隊侵入を開始。目標確保に向かう。」


全体への無線に行動開始を告げてから、部隊内無線に切り換えた。


「全員聞いたな?クローバー隊は行動を開始。」


《《《《《了解。》》》》》


「トモエはクローバー2を率いて副支配人室に、カイヒメはクローバー3を率いて資料室に向かえ。」


《了解だ。クローバー2移動開始する。》


《了解。クローバー3行動開始。》


天井を開ける音がして、無線が切れた。


「俺達も行くぞ。カザマ、下の様子はどうだ?」


聞かれた隊員はすぐにHUDをマグネティックモードに変更し、下の様子を確認した。


「周辺に人はいません。」


「よし。降りるぞ。」


俺がそう言うと、隊員が高周波ナイフを天井に斜めに差し込み、穴を空けた。

空いた穴から音を立てずに降り周辺の警戒をし、全員降りてくるのを待った。

最後の1人が天井を元に戻したのを確認し、HUDに投影された支配人室に向けて歩き出した。

たまに近くを通る者もいたが、光学迷彩により透明になっている俺達の存在に気付く事も無く通り過ぎて行き、支配人室にすぐに着いた。


「ここだな。突入用意。ソマリ[ミリア]、集音マイクで中の音声を拾ってくれ。」


「はい。」


ミリアは小型の集音マイクを扉に向けた。


『…軍の部隊が向かっているとの情報が。』


『なあに、相当な証拠が無ければ私達を逮捕する事は出来んよ。』


『ですが最近現れたフェンリルとか言う奴等の事もありますし。』


『ええい!何と言われようとこの奴隷市場は止めんよ!亜人や貧民を他国に売る場を用意するだけで大金が入るんだぞ!?こんな美味しい仕事はないだろう。それよりちゃんと護衛は会場に入ったのか?』


『はい。既に配置に着いています。』


『高い金払って雇った闇ギルドの人員だ。しっかり働いてもらわないとな。お前もとっとと持ち場に戻れ。』


『わかりました。』


会話が終わり、足音が扉に近付き、扉を開けようとした所で、扉を押し開け、一気に突入した。


「な!」


「何だ?!貴様等は!」


中には細身の男[副支配人]と太った金髪の男[支配人]がいた。

俺は近くにいた、驚き、のけぞった姿勢の細身の男首にラリアットを喰らわせた。

男は突然の衝撃で転び、受け身もとれずに後頭部と背中を強打し悶えていた。


「クソ!て」


金髪の男が仲間を呼ぼうとしたが、メグが猛スピードで男の背後を取り、口を押さえながら首に麻酔薬を注射した。


「黙れ。」


男はあまりの眠気に眠りこんだ。


「こちらテンマ。ターゲットマイクとシエラを確保。これより室内を調査し、Assy[集結地点]に向かう。それと先程支配人達の会話を録音した。そちらに送る。」


《プロビデンス了解。君達が1番乗りだ。クローバー1はAssyに向かえ。王国軍は既に到着し、ブラックバーズも待機中。》


「テンマ了解。調査を開始する。」


俺達は重要そうな書類等を確保し、男を背負って王国軍との合流地点に向かった。



ダイヤ隊 七海優香 コールサイン:フェアリー



ダイヤ隊は魔術の灯りに照らされた道を順調に進んでいた。


入って10分程すると先頭のシャルが止まるよう合図をし、全員が止まった。

シャルはハンドサインでこの先の曲がり角の先に扉と、ガードが2名いる事を伝えてきた。

私は有希と音を立てないよう慎重に進み、光学迷彩を起動したまま男達の股間を蹴り上げた。


「「!!!」」


男達は不意の激痛を受け、泡を吹いて気絶した。


「クリア。」


男達を無力化し、扉を開け、中に入ると、そこは監禁部屋だった。


「ビンゴね。プロビデンス、こちらフェアリー。監禁部屋を発見。これより救出作業に入る。」


プロビデンスに連絡を入れ、私達は扉を一つずつ開けて行った。


「さあ、もう大丈夫だ。」


「王国政府の依頼で助けにきたわ。」


「おっと。泣くのは後だ。まずはここを出るぞ。」


被害者達は最初は半信半疑だったようだが、徐々に現実を理解したのか、泣き出したり、互いに抱きしめあったりしだした。


「プロビデンス、ケージは開かれたわ。ヴォルフ隊からヴォルフ2を護衛に付けて被害者をAssyに向かわせて、私達はこのまま進んで会場を包囲するわ。」


《了解。スペード隊は既に展開し、合図を待っている。クローバー隊は目標を確保し撤退中だ。それからクローバー・アクチュアルが会場に闇ギルドの人間がいるという情報を入手した。気をつけるように。》


「了解。すぐに動くわ。」


ヴォルフ2の10名に被害者達を任せ、私達は奥の扉を開け、進み出した。



少し進むと向かい側から3人の男が車輪の付いた巨大な檻を押して歩いてきた。

私達はそれぞれ近くの部屋や物陰に隠れ、男達が通り過ぎるのを待った。


「はぁ~。ここは暗くてやな感じだよな。」


「ああ。だが最後に売れ残った奴隷とヤれるんだから我慢する価値はあるだろ。」


「全くだ。」


両端の男達はそんな事を話していた。


「貴様等俺を挟んでそんな話をすんじゃねえ。黙ってキビキビ働け。出ないと最後の楽しみは無しだ。」


「げっ。それは勘弁を。」


「キビキビ働きます!」


男達はそんな話をしながら私達の隠れている場所を通り過ぎようとした直後。両側の部屋から2人の隊員が腕を伸ばし、両端の男達の口を抑え、首をへし折った。


「!…グゥ!!」


「!…ゥァ!」


「な!何だ?!」


私は突然2人の仲間の首を折られ、驚愕するリーダー格の男の背後に回り、腕を抑えながら首にナイフを突きつけた。


「質問に答えろ。裏奴隷市場へ行く道はどこだ?」


「ひぃ!こ、この先にある坂の先だ。」


「事実だな?」


「本当だ!神に誓う!だから命だけは!」


「そうだな。眠っていろ。」


私はナイフのスタンガン機能を使い、男を気絶させた。


「行くぞ。」


私達は男達を放置し、前進した。


少し進むと男の言った通り坂があり、その先のカーテンをくぐると、舞台の裏のような場所に出た。

そこでは丁度3つの檻が出て行き、今は誰もいなかった。

私達は2手に別れ、一気に突入出来るように配置に着いた。


「ダイヤ1、スタンバイ完了。」


《ダイヤ2、配置完了。》


《スペード全隊配置完了。それと、護衛と思われる人員をカメラで確認。今マークしました。何時でもどうぞ。》


全員が配置に着いたのを確認し、合図を出した。


「ブリーチ!」


合図と共に舞台の両側から私率いるダイヤ隊が、客席の上部にある4つの出入り口を爆薬で吹き飛ばしてスペード隊が突入してきた。


「うわぁ!!」


「何事だ!」


突然現れた迷彩服を着た集団に、会場内は瞬く間にパニックに陥った。

スペード隊は冷静に、事前にマークした敵の頭を吹き飛ばし、制圧していった。

ダイヤ隊は檻を押していた剣を持った男達を、被害者に弾が中らないように注意しながら射殺していった。


しかし、何人かは素早く屈み、銃弾を避けた。


「クソ!よくもやりやがったな!こいつを喰らえ!」


近くにいた攻撃を避けた男が剣を抜き、スネークに切りかかった。


「避けた反射神経は見事だ。だが。」


スネークはそう言うと、男の攻撃を最小限の動きで避け、男の手に手刀を振り下ろし、剣を叩き落とすと、男を拘束し盾に取った。


「まだまだだな。フェアリー!手助けはいらない。こいつ等の相手は俺一人で十分だ。」


「何だと!なめるんじゃねええ!」


「そいつを離しやがれ!」


「落ち着け!そいつを取り囲め!」


銃弾をかろうじて避けた3人の男達は剣を抜いてスネークを取り囲んだ。


「威勢は良いな。そらこいつは返してやる。」


スネークは捕まえていた男を前の男に向けて蹴り飛ばした。


「「「な!」」」


蹴り飛ばされた男は前の男を巻き込んで転倒し、残りの2人の注意がそれた隙に1人を旧式一本背負いで投げた。

男は頭から床に叩き付けられた上、肘で胸に追い打ちを掛けられ、肋を数本へし折られた。


「ガッ!」


男は血と呻き声をあげ、頸椎と肋に深刻なダメージを負った男は意識を失った。


「何!」


仲間の1人を1秒程で無力化されたリーダー格の男は驚愕で動きを止めてしまった。


「戦場で気を抜くなとおそわらなかったかルーキー?」


そう言うとスネークは強烈な回し蹴りを顎に放ち、男の意識を一瞬で刈り取った。


「クソ!どけ!」


転倒に巻き込まれた男がようやっと立ち上がったが、


「眠ってろ。」


とスネークは立ち上がったばかりの男の顔面に蹴りを放ち、男は意識を失った。


「ひぃぃぃぃ!な、何なんだ!おまえ達は?!」


司会をしていた男が目の前で闇ギルドの男達3人が5秒程で倒されるのを見て、腰を抜かしながら聞いてきた。

私は全員に聞こえるように叫んだ。


「アメックス王国政府の依頼でこの場を制圧した!貴様等は違法奴隷取引の現行犯だ!身柄を拘束する!」


私の声を聞いて大半の人間は青ざめたが、レイシス帝国からきた商人達は怒りの表情で怒鳴り返してきた。


「おい!私達はレイシス帝国の商人だ!この国で商売をする許可は本国で得ている!それでも拘束すると言うのか?ここは大人しく私達に商品を渡し、解放した方が貴様等の為だぞ!」


「黙りなさい。この犯罪者が!ここはアメックス王国だ。ならばこの国の法に従ってもらう。それとレイシスだったか?知らないな。そちらこそ、どこの発展途上国かな?」


「貴様!」


男は私の挑発に乗り、剣を抜いて、近寄ろうとしたが、


[シュ!]


と小さな音がすると、男の膝に穴が空き、逆側に曲がった。


「ギャー!一体何が!」


男はアナトに膝を狙撃され、膝を押さえてのたうち回った。


「さあ。次は誰かな?」


アナトが静かな声でそう言うと膝を撃たれた男以外は静かになった。


「そのまま抵抗はしない事ね。こいつらを拘束しろ!」


私の命令をうけ、数人の隊員が商人達の腕をプラスチックの手錠で拘束していった。


「プロビデンス、こちらフェアリー。目標確保。これよりAssyに向かう。」


《プロビデンス了解。王国軍は既に搬入口に展開完了。すぐに移動開始されたし。》


「フェアリー了解。移動開始する。」


私達は商人達を連れて、搬入口に向かった。


〈歓楽都市イーファン キールカジノ 搬入口〉

搬入口に戻ると、知っている顔がいた。


「ギャレンさんじゃないですか。」


「ああ。久し振りだな。今日は色々伝える事もあったからそれを伝える為に俺が派遣された。」


「そうでしたか。それじゃあ後は親衛軍に任せます。」


「俺とこの5人があんた達をおすぷれいまで案内する。行くぞ。」


私達は商人達を馬車に詰め込み、ギャレンさんと馬車に乗ってブラックバーズと合流し、商人達を4機に押し込み、私達は無事基地に向けて飛び立った。

ソリッド「セイフティがかかってるぞ。ルーキー。」


このセリフは好きです。プロという事が一発でわかりますし。


SADはアメリカ中央情報局CIAの実戦部隊で、潜入捜査、特殊部隊員の救出など様々な作戦を行います。


次回は新キャラ登場です。実は結構前から出そうと思っていたんですけど。


ご意見ご感想をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ