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ゲームの軍隊と異世界攻略  作者: RIGHT
第1章 Operation Labyrinths Breakers
28/88

第1章15 Operation Labyrinths Breakers Part.2

[3時間後]

〈ダンジョン 第3階層 前線基地〉

戦車大隊は順調に進み、第2階層の転移門に到着した。

転移門にはドラゴンがいたが、飛び立つ前に戦車大隊からキャニスター弾を浴びせられ、翼をディズニー映画のチーズみたいに穴だらけにされて墜落した所にAPFSDS弾やHE弾が撃ち込まれ爆散した。

今は戦車大隊は整備と武装の再装填の為侵攻は止まっており、偵察の為にRQ-4Aが離陸していた。


「グローバルホーク展開完了。偵察を開始します。」


「危険なポイントと最深部をしっかり調べるのよ。」


「わかっています。3機は細かく地面を精査しながら飛行中です。残った1機は先行して最深部に向かいました。もうすぐ到着です。……………来ました。」


「どれどれ。一緒に見させてもらうわね。」


モニターには城のような建造物が映っていた。


「1階層が野戦、2階層が防衛戦、最後は攻城戦とは。まったく飽きさせない造りになっているわね。」


「まったくその通りですね。………ん?フェアリー。城の最上階から何かが出てきました。」


「え?」


モニターを見ると城から小柄の人型の何かが出て来た所だった。


「翼?それにあれは尻尾?」


人型には尻尾と皮膜で出来た翼が背中から生えていた。

人型はグローバルホークを見ると翼を広げ、


「な!消えた?!」


「落ち着いて。飛んだのよ。ズームを解除して。」


「はい。」


カメラのズームが解除されると、グローバルホークに向けて猛スピードで迫っているのが映った。


「落とすつもりよ!回避!」


グローバルホークは逃げようとしたが、追い付かれてしまった。


《ん?人は乗っておらんのか。じゃが声は聞こえるじゃろう?

妾は悪魔族の…………何じゃったかのう?まあよい。妾がこのダンジョンを作った主じゃ。やっと人が来てくれて嬉しかったがまさかドラゴンが2分も持たずにやられるとは思っていなかったのじゃ。しかも見た事も無い武器に乗り物を使っておるな。

どうじゃ?妾と1対1で話でもせんか?

1時間後にこの城の中庭にあの飛ぶ箱に乗って降りてくるといい。それでは楽しみにしておるよ。》


そう言うと声の主はグローバルホークに拳を振り下ろし、叩き落とした。


「撃墜されました。どうします?」


「……………エイミーさんとシルキー隊の隊員に冒険者達をすぐに呼んで。悪魔族について聞きたいわ。」


[10分後]

冒険者達とシルキー隊の隊員はすぐに集まってくれた。


「七海姉さん。どうしたの?」


「私も気になるわ。急に呼び出したりして。」


「何かあったとですか?」


レン、エイミーさん、セシルさんが質問してきた。


「悪魔族って知ってる?」


私がそう聞くと何人かの顔色が凍りついた。


「ちょっと待って。悪魔族ですって?」


「エイミーさん何か知ってるんですか?」


「少しだけ。遥か昔に世界を支配していた種族だと。気に入った人間に加護や寵愛を与えて、その人物がどの様に生きていくのかを娯楽としていたとか。色々な噂があるわ。

最終的にはその力を恐れた様々な種族に討伐あるいは封印されたそうです。」


「王城の書物にも似た事が書いてあったな。

その本には確か、悪魔族は気まぐれな性格をしていて、民の為に国を作った者もいれば娯楽の為に1国を落とした者もいたとか。力と魔力が非常に高く、魔人族より大きな角と赤い皮膜の翼と尻尾が特徴だそうだ。

それと、今の魔人族は悪魔族と他の種族の間に出来た子供の子孫だそうだ。」


「なる程。つまり彼女はどこかに封印されていたが、その封印が解けて、ダンジョンを作ったと。」


「まさか、ここのボスは悪魔族何ですか?!」


「ええ。私と話たいそうよ。」


「危険です!止めた方が!」


「いや。行かせてもらうわ。聞きたい事もあるし。それに彼女、もしかしたら…………。」


「七海さん。」


「取りあえず皆ありがとう。ここからは私に任せてもらうわ。」


私はエプロンに出て、整備の終わったノリス大尉のUH-72を借り、城に向かった。


[50分後]

〈ダンジョン内 悪魔の城 中庭〉


私はUH-72を彼女に言われた通り、中庭に着陸させた。


「おお!まさか本当に来てくれるとは思っていなかったぞ!」


ヘリから降りると城の中から黒い立派な巻角を1対頭から生やし、赤い皮膜で出来た翼をパタパタと震わせ、尻尾を犬のように振っている身長140cm位の魔人族のような美少女が現れた。

少女の肌は空のように透き通るような青色で、髪は煌びやかな金色、目の白目の部分は全てを飲み込むように黒いのに対し、その瞳はダイヤモンドのように輝き、人を惹き付ける魅力があった。

少女はヘリに近付き、あちこち触り出した。


「へぇ。可愛いわね。」


彼女の仕草に思わずそう呟くと、


「か、かか可愛いって、妾がか?!」


少女が顔を真っ赤にしながら詰め寄ってきた。


「ええ。あなたは可愛いわよ。」


「そんな事を言われたのは初めてなのじゃ!人間共にとって妾達悪魔族は違いすぎて恐れられたり気持ち悪がられる事はあったが、誉められたのは初めてじゃ!感謝するぞ!」


「え、ええ。どういたしまして。

それで、ここに呼んだのはどうして?」


「それはお主が信用出来ると淡い希望を抱いたからじゃ。」


「………じっくりと聞かせてもらいたいわね。」


「それでは椅子にでも座りながら話そうかのう。着いて来るのじゃ。」


私は少女に続いて城に入った。


〈ダンジョン内 悪魔の城 応接間〉

私と悪魔の少女は豪華な席に向かい合って座っていた。


「それで、どこまで話したかのう。お主が信用出来ると言う所までじゃったな。

まずお主等はこの世界の住人ではないな?」


「ええ。今から半年くらい前にこの世界に転移したわ。」


「そして、お主等の世界には妾のような異種族はいない。違うかのう?」


「いえ。その通りよ。私達の世界だはあなたのような異種族は空想の産物だったわ。」


「それなのに偏見や差別無くお主等が接していられるのは何故じゃ?身近にいるこの世界では未だに差別が無くならないと言うのに。」


「私達の世界では実在こそしないけど小説とかの娯楽には頻繁に出ていて人気もあるからね。特に私の国では。

それと差別が無くならないのは多分恐れているのよ。人は自分と違う物に恐怖を覚えるのよ。しかも相手が自分より強いとなるとさらにね。

そしてそういう時には数の暴力で排斥しようとする。

そう言うものよ。」


「なる程のう。」


「私からも質問良いかしら?」


「ん?かまわんぞ。」


「あなたは封印される前は何をしていたの?」


「………………妾は、いや、妾の家族は一国の王をしておった。」


「なる程。そしてあなた達の力を恐れた民衆と部下に裏切られたのね。」


「ああ。その通りじゃよ。

妾達は民の為に仇なす者共を駆逐していった。じゃが、ある時から民達は妾達の力を恐れ、国に伝染病が流行したのをきっかけに反乱が始まった。

妾の両親は不意をつかれて首を跳ねられた。まだ力の弱かった妹は奴等の慰み物にされた挙げ句殺された。

妾はその時城を出て伝染病の薬を探しておったおかげで無事じゃった。

薬になりそうな薬草を見つけて戻ってきた時にはちょうど妹が力尽きる所じゃったよ。

妾はその後怒りに任せて城内にいた者共を殺した。

我に返った時には城は血の海、妾の周りには家族の死体と父上が守るべき者と言った民達の死体。そしてその返り血を浴びて狂った笑い声をあげる妾がいた。」


「……………………その時あなたとあなたの妹さんは何歳だったの?」


「妾が16歳、妹が10歳じゃったかのう。

城で殺戮をした後は復讐心に駆られて街や人を襲った。そんな生活が200年くらい続いた頃、その時妾が隠れていた森に小さな獣人種の子供が傷だらけで迷い込んできた。

妾は気まぐれにその子を治療して寝床に泊めてやった。今思えば血にまみれた生活に嫌気がさしていたのかもしれんのう。

怪我はすぐに良くなり妾は子供を家に返した。

じゃが子供はそれから妾の寝床に通うようになった。子供は色々な話をしてくれた。家族の事、村の事、仕事の事。最初は話半分だったが段々子供と触れ合う時間を楽しみにするようになっていた。

じゃが1年程した頃に妾を探していた賞金稼ぎが森に現れ、妾と子供が話している所を見つけ、襲いかかってきた。妾は子供を守ろうと戦った。戦いが終わった時、子供の胸には賞金稼ぎ共の放った矢が刺さっていた。

私は子供に駆け寄り、必死に治癒の魔法をかけたが、矢が対魔法用で魔法がうまくかからず、子供の命の灯は消えていった。

子供は最期に、

『僕の分まで…幸せに……ぃ…』

と言い死んだ。

私はその後叫んだよ。

『もし神様がいるのなら何故私の周りに不幸をもたらすんだ!私が憎いなら私を殺せよ!何で……!』とね。

その後私は自分で自分に封印の魔法をかけた。

これが私、いや、妾が封印されるまでの話じゃよ。」


「……………………」


私は彼女のあまりに悲惨な人生に言葉を失っていた。


「言葉も出んくらいおかしな話じゃろう?全て身から出た錆じゃというのに。

じゃが、妾は、いや、私は今まで生きてきて、この世界で私は必ず不幸になる定めにあると確信したよ。今だってそう。あなた達の目的は私を殺すことでダンジョンを制圧する事でしょう?」


「それは…………………」


「ほらね?この世界はやっぱり私を不幸にして殺したがっているのよ。

もう疲れたのよ。あなた達の武器なら苦しまずに私を、妾を殺してくれるじゃろう?

殺してくれ。そうすればお主等の目的も達成出来る。」


私はゆっくりと席を立ち上がり、草薙を抜いた。


「それでいいんじゃ。太古で悪事を働いた悪魔はここで死ぬのがお似合いじゃ。」


少女は決意したような、それでいて非常に悲しそうな顔を浮かべていた。


私は刀を振り上げた。


少女は静かに目を閉じ、首を切りやすいようにした。


「次に生まれる時は、普通の家に普通の人として生まれて、結婚して、普通の幸せな、家庭を作りたいな。」


私は刀を振り下ろした。

えー、新キャラ登場です。

彼女は過去のトラウマから乖離性同一性障害となり、主人格は心の傷を癒やす為、眠りについていましたが、自分に好意を持ってくれた子供を失った事で、治りかけ眠っていた主人格が無理やり目覚めてしまい、殺したくない、死にたいと願う主人格、殺したい、生きたいと言う第2人格が混ざりあい、非常に不安定になってしまいました。

今の彼女は異種族を殺したいと思っていると同時に自分を殺して欲しい、自分のした事から解放して欲しいと願っている状態です。


さて、優香は彼女をどうするのでしょうか?彼女の望み通りに殺すのか?それとも生かすのか?


次回で第1章Operation Labyrinths Breakersは終了です。投稿は明日の予定です。


乖離性同一性障害については詳しくないので間違いだらけだと思いますが、勘弁してください。


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