第1章11 護衛依頼2日目~3日目と菜園都市
[2日目 08 :00時]
フェンリル軍ギルド派遣部隊第1独立大隊 七海優香 コールサイン:フェアリー
朝早くにマッドデビルスと盗賊を近くで偶然訓練をしていたブラックバーズのCV-22に押し込み、基地に強制送還した。
ギルドマスターに既に連絡をしてあるのですぐにこの国の法に従って処罰されるだろう。聞いた所ではほぼ100%死刑だそうだ。これも身から出た錆だろう。
私達は既に食事を終え、野営地点を片付けて街道を進んでいた。
散発的に魔物が襲ってきたが最初のオーガ程強力かつ大量には出て来なかったため、冒険者達に全て撃退されていた。
「優香ちゃん。」
隣のストライカーのキューポラから八重が顔を出して話しかけてきた。
「どうしたの八重?」
「暇だね。」
「同感だけど、昨日みたいにこられるのも嫌よ。」
「それもそうだけど~。」
八重はそう言って頬を膨らませた。
「私より年上なんだから我慢しなさいよ。」
「う~。…………そうだ!商隊を楽しませて私達の科学力とチームプレイを見てもらうために、航空隊に曲芸飛行をやってもらうのは?」
「近くにいて、彼等の燃料に余裕があって、その隊の隊長が許したらいいわよ。」
「よっしゃー!なんとしても確保してやる!」
八重はそう言って車内に戻っていった。
恐らく車内にいるコンバットコントローラーに詰め寄っているんだろう。
「まあ私も曲芸飛行を見せるのは反対じゃないけどね。」
[08:10時]
「よっしゃー!」
そう叫びながら八重が顔を出した。
「その様子だとうまく行ったようね。」
「1時間後の09:10時に第19特殊作戦飛行隊が編隊飛行を披露してくれるって!」
私は思わずむせてしまった。
「ゴホ!リッジバックスの許可がよく出たわね。」
「フェアリーと異世界の戦闘のプロとエルフ達にあなた達の腕前とチームプレイを披露するいい機会だって熱弁したら副隊長のハンナ少佐が許可してくれた。」
「それでよくうちのトップエースの1人が動いたわね。」
「なんでも丁度編隊飛行の訓練をするつもりだったし丁度良いって言ってたよ。」
「まあ異論はないし私も楽しめるから良いけどね。
それじゃあ八重、商隊が驚かないように事前に伝えて置いてよ。」
「りょうか~い。」
八重の乗ったストライカーが馬車に近づいていった。
『え~、商隊と冒険者の皆様!1時間後に空軍の精鋭部隊がこの車列の上空で曲芸飛行を行います!』
「空軍ってさっきのとか昨日のがくるんですか?」
『いえ!もっと速いです!音と同じかそれ以上に!』
「「「「「それは凄い!」」」」」
『という事で是非楽しんで下さい!』
どうやら冒険者達のつかみは良いようだ。
[09:09時]
予定の時間が近づき、車列は停止して馬には耳栓を付け到着を待っていた。
「ん?」「何の音?」
辺りにキーンと言うかん高い音が聞こえてきた。
「キター!」
八重が興奮して音の聞こえる方を見上げた。
私もそちらを見ると、8機の戦闘機が編隊飛行で接近してきた。
8機は私達の上空をフライパスし、一気に急上昇を行った。
ある程度上昇すると4機ずつの編隊に別れた。
ぶつかるのではないかと心配する程近くを飛んだ状態でスプリットSやインメルマンターンを披露し、2機編隊に更に別れた。
先頭の1機がバレルロールをし、その中心を後ろの1機がナイフエッジで抜けていき、再び8機編隊に戻ると、2機が編隊を離れ、空中を見事な飛行で飛びハートを描き、残った6機がその中心を貫いた。その後2機が合流し8機編隊に戻ると、再びぶつかりそうなほど密着しだんだん速度を落としていき、VTOL状態に変形した。
空中でのホバリング中でも高い機動性を得るようにカスタマイズされた機体は隊長機を中心に花のように非常に近い距離に広がった。中にはバレルロールをして仲間の機体を飛び越えていく者もいた。
その後ゆっくりと距離を開けると車列の近くの平地に着陸した。
「素晴らしい!」「かっこよかった!」「なんて腕だ!」
と冒険者や商隊、部隊の兵士達から賞賛の声と、盛大な拍手が沸き起こった。
着陸したASF-Xのハッチが開き、中から8人の隊員が降りてきた。
彼等は1列に並ぶとそれぞれが抱えていたヘルメットを頭上に掲げた。
すると再び歓声と拍手が沸き起こった。
「さぁ、彼等に会いに行きましょう。」
私がそう言うとヴァンパイア3姉妹やエッタなどの異世界組や好奇心の強いバスターズの2人やエルフ達が我先にと近づいていった。
「有希、私達も行きましょう。」
『はい!』
私達はストライカーを降り、着陸地点へ走り出した。
着陸地点ではリッジバックスの隊員達が既に取り囲まれていた。
「お綺麗ですね!」
「ありがとうございます。」
「どれ位の間乗っているんです?」
「7年位ですね。」
「今度食事でもどうですか?」
「既婚者の私で良ければ。」
「そ、そうですか…」
リッジバックス隊の女性隊員達の所には若い男性冒険者達が集まっていた。
「ハンナ!エディさん!」
私が声をかけると冒険者達が道を開けた。
「久しぶりねフェアリー。」
「ええ。元気そうで何よりよ。エディさんも。」
「ええ。今日は良い訓練になりましたよ。」
私達が話しているとセシルさんとジョナサンさんが近づいてきた。
「あの。もしよろしかったら紹介してもらえませんか?」
「そうね。それじゃあエディさん。よろしく。」
「了解。俺はフェンリル空軍第19特殊作戦飛行隊『リッジバックス隊』の隊長のエディ・バルクホルン中佐だ。エディかスラッシュと呼んでくれ。
そっちの茶髪がハンナだ。」
「リッジバックス隊の副隊長のハンナ・イェーガーです。ハンナと呼んでね。」
「隣の小柄な黒髪の男が慎二だ。」
「リッジバックス隊3番機の岩本慎二だ。慎二かランスと呼んでくれ。」
「その隣の同じく黒髪が広之だ。」
「リッジバックス隊4番機を務める西沢広之です!広之かフェンサーとお呼びください。」
「そんで隣の茶髪がリーシャだ。」
「リッジバックス隊5番機のリーシャ・ルーデルだ。空対地攻撃が専門だ。よろしく。」
「隣の金髪がヘレナだ。」
「リッジバックス隊6番機のヘレナ・フィッケルよ。ハンクのバディでもあるわ。ヘレナと呼んで。」
「最後に金髪の双子がリッキーとリエルだ。」
「僕はリッジバックス隊7番機のリッキー・ボングだよ。リッキーかリックって呼んで。因みに女だよ。」
「私が最後ですね。リッジバックス隊8番機のリエル・ボングです。リックの双子の妹です。」
「以上が俺達第19特殊作戦飛行隊の隊員だ。
他に何か質問はあるかな?」
エディさんがそう聞くとセシルさんが質問してきた。
「あの。あなた達の乗り物はへりこぷたーとは違うみたいですけど、どう言う目的で使うんですか?」
「軍事作戦に使われる事は変わりませんが、この機体は主に空中戦で使われます。」
「空中戦?」
「はい。味方の上空から敵に攻撃を仕掛けたり、空飛ぶ敵を撃ち落とす為に使われます。」
「なるほど~。」
「他には?………無いようですので、我々はもう出発したいと思います。それではフェアリー。幸運を。」
リッジバックス隊の面々は機体に乗り込み、垂直にある程度上昇したあと、基地の方角へ飛び去っていった。
[12:30時]
リッジバックスが帰投してから2時間が経過したが皆の興奮はまだ収まらないようだ。
「やっぱりパイロットって良いよねぇ~。」
私の近くでビーフシチューを食べている八重が言った。
「確かに格好いいけど、私は私に剣で勝てるくらいの人って決めてるし。」
八重の横で肉じゃがを食べていた良美が返した。
「もう。そんなんじゃ行き遅れちゃうよ?」
「余計なお世話よ。あなただって、そんなチンチクリンのままじゃ同じよ。」
「私は需要があるし、人気もあるから平気だよ!」
「そっちの需要があるのって全然羨ましく見えないんだけど。」
「無いよりはましだよ…うん。」グス
「…なんか、ごめん。ほら、肉じゃが分けてあげるから元気出して。」
「ありがと。」
「良いのよ。これからも頑張りましょう。」
「うん。」
そこでは刀を持った女性がゲテモノ狙撃銃を持ったちびっ子を慰めていた。
[3日目 12:00時]
〈アメックス王国 菜園都市ファーブル南門〉
あれから特に問題も起こらず順調に進み、無事、菜園都市ファーブルに着いた。
菜園都市ファーブルは中央に生えた巨大な木を中心に東西南北に大通りが伸び、緑に覆われた美しい街だった。
「みなさ~ん。ここまでの護衛~ありがとうございました~。」
「今日は宿を取ってあるのでゆっくり休んでくれ。商隊は明後日の朝08:00時にフィールに向けて出発する。それまでは各自自由に過ごして欲しい。
それでは帰りもよろしく頼む!」
カレンさんとプリムちゃんが解散を宣言し、冒険者達は各々好きなように行動を始めた。
「それじゃあ私達も解散にしましょう。」
「やったー!」
「ただし、フェンリルの名前に泥を塗るようなことをした奴は、」
中身の入ったジュースの缶を取り出し、
[ブシュー!]
握力で握りつぶした。
「こうしてあげるわ。」
「「「「「イェス、マム!」」」」」
「いい返事ね。それと侮辱されて黙ったままでいるような奴も同じよ。
その事を心に刻み込んだら私達も自由行動にしよう。」
「「「「「心に刻み込みました!」」」」」
「それじゃあ解散よ。各自自由に過ごしなさい。それともしもの為に武器を携行してバディで行動するように。」
最後に私が敬礼をし、部隊の面々もそれに返して敬礼をし解散となった。
●七海優香&七海有希+宮元良美&シェスカ・ローザングル
解散した後、私は良美とシェスカの近接コンビに声をかけた。
「良美!良かったら街を一緒にまわらない?」
「ええ。良いですよ。どこに行きます?」
「取り敢えずギルドに行ってこの街でオススメの料理屋でも教えてもらおうと思うわ。」
「それは良いですが、この街にきたフェンリルの人間は私達が最初ですから冒険者に絡まれると思いますよ。」
「うちの兵士の半分は女性で綺麗な娘が多いからね。まあここの冒険者には綺麗な花には猛毒があることを教えてやりましょう。」
私は悪い笑みを浮かべた。
「トゲの間違いですと安易に否定出来ないですね。」
〈菜園都市ファーブル 冒険者ギルド〉
私達はギルドに入り、受け付けに向かった。
因みにこの街の地図は衛星写真から既に出来ていたので迷うことも無かった。
「菜園都市ファーブル冒険者ギルドへようこそ!今日はどういったご用ですか?」
「私達今日ここに着たんですけど、オススメの料理屋とか教えてもらえます?」
「それでしたらユラの木広場の北にある『パンツァー』と言うパスタのお店がオススメです。この街で採れた野菜を使ったオリジナルソースと特製のパスタが凄くあっていて絶品です!この街の名物でもあります!」
受付の少女は興奮気味に教えてくれた。
「そうですか。ありがとうございます。行ってみます。」
私は少女にお礼を言い立ち去ろうとした。
「おい!俺達がこの街を案内してやるぜ!」
「女だけじゃ不安だろう?」
と3人の男が立ちふさがった。
「……どこのギルドにもこういうのはいるのね。」
「元々腕っ節のある無職の方に仕事を回す組織でしたからああいうのが紛れ込んじゃうんですよね。」
私の言葉に受付の少女が付け足した。
「はぁ。不要ですよ。どうしてもついて来たいなら、」
私はシェスカの頭に手を置いた。
「この子を倒してからにしなさい。」
シェスカは殺るきなのかファイティングポーズを取った。
冒険者達は驚いた顔をした後、下心丸出しの笑みを浮かべた。
{気持ち悪いわね。}
「そんなんで良いならやろうじゃねーか。」
「怪我しても知らねえぞ。」
「やれるもんならやってみてください。」
シェスカが挑発すると男達の顔が本気になった。
「いいだろう。訓練場に行くぞ。」
〈菜園都市ファーブル 冒険者ギルド 訓練場〉
訓練場には私達の他に野次馬も見学に着ていた。
賭けも行われていたので有り金全てシェスカに賭けた。
賭けを受け付けていた業者は驚いた顔をした後、鴨がネギを背負ってきたというような顔をした。
「それでは訓練試合を始めます。勝負は相手が参ったというか戦闘不能になるまで続きます。また、魔法が働いている為この訓練場で死ぬことはありません。死ぬほど痛いですけど。
審判は私ファーブル冒険者ギルドの花、ピナが務めさせていただきます。」
「良いよーピナちゃーん!」「頑張って~。」
「それではCランク、トム、ジョン、ザック対Fランク、シェスカの試合を始めます。
それでは、始め!」
試合が始まると3人組はシェスカを取り囲み攻撃しようとした。
シェスカは1本のナイフを右手にその刃をもう1本左手に持ち攻撃して来るのを待った。
「かかってこないのか?」
「お先にどうぞ。」
「それじゃあそうさせてもらうぜ!」
男の1人が大剣で切りかかってきたがシェスカは慌てずにその剣の軌道の上にナイフを合わせた。
殆どの人が金属同士がぶつかる甲高い音がし、大剣がナイフを弾き飛ばすと思ったが、
[サン]
と何かが擦れる音がすると、男の大剣が半ばから切断された。
「「「「「……………はぁーーー?!」」」」」
「そんなばk[ドシュ!]グエ!」
シェスカは唖然とする男の喉に向けてナイフの刃を発射した。
男は魔法の効果で死にはしなかったが、あまりの激痛に気絶した。
刃を発射したシェスカは左手に持っていたもう1本の刃を発射機に取り付け、腰のポーチから更にもう1本取り出した。
「きょ、距離をとれ!」
「遅い!」
男達は距離を取ろうとしたが、シェスカは瞬く間に距離を詰め、2本の刃で2人目の持っていた槍をバラバラにしながら詰め寄り、胸にナイフを突き立てた。
「こ、こうさ[パパパ!]グハ!」
3人目は降参しようとしたが、シェスカが背中に固定していたMP7の銃撃を浴び、倒れた。
「………はっ!しょ、勝者シェスカ!」
野次馬の冒険者達は未だに何があったのか理解出来ていないようだった。
なにせランクが3つ上の相手が3人がかりでかかったにもかかわらず、1分もかからずに全滅したのだから当然だろう。
私は真っ青な顔をしている業者から賞金を受け取ってから見物席を降り、シェスカに近寄った。
「凄かったわよ。いい腕ね。」
「ありがとうございます。それにしてもこのナイフ凄いですね。訓練の時に使ったのより魔力が通りやすいし頑丈です。」
「そりゃあなたのナイフには最近精製出来たヒヒイロカネとかオリハルコンとかミスリルとか大量に使ってるからね。その内あなたの魔法を再現した私達ようの高周波ブレードが出来るそうだけど。もう出来ているんだったかしら?」
「何なんですかその伝説の剣。」
「それにあなたのおかげで大儲け出来たしね。」
「なにしたんです?」
「賭けやってたからあなたに有り金全部1分以内に全滅させるで賭けたのよ。30倍だって。」
「…………いくら賭けたんですか?」
「ミスリル貨8枚(約8億)。30倍だから240枚(約240億)。」
「もう何も言いません。」
「取り敢えず食事に行きましょう。有希!良美!行きましょう!」
2人はすぐに降りてきたので、4人で出口に向かうと、モーゼの十戒のように冒険者達が道を開けた。
[13:30時]
〈菜園都市ファーブル ユラの大樹広場 パスタの店『パンツァー』〉
受付嬢の言っていた店は簡単に見つかった。
その店は街のシンボルのユラの大樹をあしらったエンブレムに、緑を基調としたデザインの落ち着いた小さめの店だった。
「ここね。」
『綺麗なお店ですね。』
「期待出来そうね。」
「楽しみです!」
私達は期待に胸を膨らませて店の扉を開いた。
[カラン]
「いらっしゃいませ!お好きな席にどうぞ!」
中に入ると背の高いエルフの女性が挨拶をしてきた。
「私達今日この街に着いて、ギルドの受付嬢からこのお店のパスタがオススメって聞いてきたんですけど。」
「それはありがとうございます!」
「それじゃあ、このお店のオススメのパスタ4人分お願い出来ますか?」
「わかりました!少々お待ちください!」
彼女は元気良く返事をしてキッチンに入って行った。
[13:40時]
「お待たせしました!」
10分後に彼女は4種類のパスタを持ってきた。
「まず、吸血族のあなたには疲労と魔力回復効果のある薬草を使ったソースと白身魚のパスタを!」
シェスカの前に白身魚の上に緑のソースが薄くかけられたパスタが置かれた。
「剣を持ったお姉さんにはネギと唐辛子と鶏肉のパスタ、唐辛子多めを!」
良美の前には鶏肉の周りを唐辛子が囲むように配置されたパスタが置かれた。
「銀髪の君には豚肉と疲労回復効果の高いハーブのパスタを!」
有希の前には豚肉の上に黄緑色のソースが薄くかけられたパスタが置かれた。
「最後に、銀髪のお姉さんにはミートソースとチーズのパスタを!」
私の前にはミートソースに粉チーズとハーブがかけられたパスタが置かれた。
「うわぁ~。」
「へぇ。」
『美味しそうです!』
「やるわね。」
私達はそれぞれ自分のパスタを食べ始めた。
「ふぅ。ごちそうさまでした。」
「ごちそうさま。」
『美味しかったです!』
「確かに凄く美味しかったわ。ごちそうさま。」
「ご満足いただけたようでなによりです!」
私は気になったことがあったので彼女に聞いてみることにした。
「すいません。どうして私達の好みがわかったんですか?」
「ああ!お気づきになりましたか!実は私何となくですけど皆さんが何が好みで何を必要としているかがわかるんですよ!そのお陰で皆さんの好みのパスタを的確に出せるんです!」
「なるほど。凄いですね。
ありがとうございました。とても美味しかったですよ。お代はこれで良いですか?」
私は貨幣を入れていた袋から金貨を2枚取り出した。
「いえ!多すぎますよ!大銀貨5枚位です!」
「またきた時の先払いって事で。」
「そう言う事でしたら…」
「今日は美味しいパスタをありがとうございました。私はフェアリー・ウインドの七海優香です。何か依頼があったら指名していただければフィールの街から駆けつけますよ。」
「それじゃあ困ったら依頼しますのでその時はお願いします!私は森エルフ族のラザニア・エルトリアです!
それでは皆さん!またのご来店をお待ちしています!」
私達はパスタの味に大満足して店を後にした。
[14:00時]
「さて、食事も終わったし、どうしましょうか。」
『昨日カレンさんがこの街のシャルルさんの庭園は一見の価値があると言っていましたよ。』
「それは良いわね。アリア、場所はわかる?」
『大丈夫です!皆さんのHUDにARで道を表示します!』
AIのアリアの声の後HUDに薄い青で道が示された。
「それじゃあ行きましょうか。」
『「「はい。」」』
[14:30時]
〈菜園都市ファーブル 『シャルルの庭園』〉
その庭園は北門を出て少しした所にひっそりと佇んでいた。
私達は青い薔薇で出来た庭園の入り口に着ていた。
庭園は決して大きい訳では無いが、様々な色の花で色鮮やかに飾られ、持ち主が花をとても大切にしている事が伝わってきた。
「これは凄いわね。」
『綺麗です!』
「見事な青い薔薇ね。初めて見たわ。」
「綺麗…。」
私達が花に見とれていると、
「変わった人達なの。私の庭園を見に来たの?」
と庭園の中から頭にパンジーのような小さな花の生えた身長150cm位の緑の肌の少女から声をかけられた。
「私達は今日この街に着いたんですが、ここの庭園には一見の価値があると聞きまして。あなたがシャルルさんですか?」
「そうなの。私がこの庭園の持ち主の植人種アルラウネ族のシャルル・オラトリエなの。あなた方は?」
「私はフェアリー・ウインドという集団のリーダーの七海優香です。彼女達は私の部下で、銀髪のこの子は七海有希、剣を持っているのが宮元良美、黒髪の吸血族がシェスカ・ローザングルです。」
『「「こんにちは。」」』
「そうですかなの。ここの事はどなたから聞いたの?」
「風の隊のカレンさんです。」
「あ~。カレンですの。取り敢えずなかにどうぞなの。お茶を出すの。」
「それではお言葉に甘えまして。お邪魔します。」
『「「お邪魔します。」」』
私達はシャルルさんのご厚意に甘える事にした。
庭園を一望出来るテラスに案内され、座って待っていると、シャルルさんがマグカップを5つ持ってきた。
「どうぞなの。特製レモンティーなの。」
「ありがとうございます。いただきます。」
『「「いただきます。」」』
1口レモンティーを口に含むと、口の中にレモンの酸味と紅茶の香りと蜂蜜の仄かな甘味が広がった。
「美味しいです。」
『甘味と酸味が丁度良いです。』
「紅茶も良いものですね。」
「香りが違いますね。」
「紅茶とレモンは自家製なの。誉めてもらえて嬉しいの。
蜂蜜は友人のビー族の方が分けてくれた物なの。」
「そうなんですか。
ところで、シャルルさんは風の隊のカレンさんとはどういったご関係何ですか?」
「タメ口でいいの。私の事はシャルって呼んで欲しいの。
風の隊のカレンとは幼なじみなの。昔は一緒に旅をした事もあるの。」
「そうなんですか、じゃなくて、そうなんだ。」
「そうなの。あなた達は?」
「風の隊の護衛の依頼を受けたのよ。」
「なるほどなの。」
「ここの花はシャル1人で育ててるの?」
「そうなの。」
「大変じゃなかった?」
「植物は私達植人種の体の1部みたいな物だから問題ないの。」
彼女はそう言うと右手を庭園に向けると庭園からツルが伸びてきて、彼女の手にじゃれつくように巻き付いた。
「ほらなの。」
「種族特性の固有魔法ですね。植物に意志を吹き込み自立して行動出来るようになるんです。私達の吸血で力を得たり、翼で空を飛んだりするのと同じですね。」
シェスカが彼女の魔法を説明してくれた。
「へぇ。凄いわね。」
「植物達もあなた達の事を歓迎しているの。お近付きの印しに贈り物をしたいの。」
「贈り物?」
「手を出すの。」
私達が言われた通りに手を出すと、ツルが私達の手首に巻き付き、淡く緑に光り出した。
すぐに光は収まり、ツルが離れると、手首に緑色の花の紋章が出来ていた。
「これは?」
「それは加護なの。」
「こ、これが!」
「これってそんなに凄いの?」
「凄い何て物じゃないです!加護は最強クラスの存在が認めた相手に与えられる証明のような物で、元の種族の種族特性が少し使えるようになるんです。」
「それは凄いわね。ん?と言うことは、シャルって物凄い強いって事?」
「100年位前はカレンと一緒にSSSランク冒険者だったの。
それより、あなた達からは優しい匂いと決意が見えるの。その決意は私も植物達も好きなの。優香、もう一度右手を出して。」
「ええ。」
言われた通りに右手を出した。
シャルが私の右手を両手で包み込んだ。すると私は右手から何かエネルギーのような物が流れ込んでくるような感覚を覚えた。
「今のは?」
「加護をアルラウネの寵愛に進化させたの。」
手首の紋章を見ると花からアルラウネに変化していた。
「寵愛ですか!」
「シェスカ。説明をお願い。」
「種族の寵愛は、加護の上位で、一時的に寵愛を与えた存在と同じになることができて加護の効果が強化されるんです。」
「どうやって使えばいいの?」
「ただ心の中で念じればいいの。そうすれば答えてくれるの。他の寵愛も受けることも出来るの。」
「そんな凄い物をくれてありがとう、シャル。何か困ったことや頼みたいことがあったらフィールの街のギルドに依頼をまわしてくれれば駆け付けるわ。」
「何かあったらお願いするの。それと、寵愛があればお仲間にも加護をかけられるの。」
「わかったわ。こんなに色々ありがとう。」
「気にする事無いの。私も楽しかったの。」
「それじゃあ私達はもう行くわね。また明日ね、シャル。」
『ありがとう!また明日!』
「バイバイ。」
「ありがとうございました!」
「バイバイ。また明日なの。」
私達はシャルと植物達にお礼を言い、庭園を後にした。
[19:00時]
私達は庭園を後にし、宿に向かった。
宿はRPGに出るような建物だった。
「ここね。」
「優香さん!この宿は温泉が湧いているそうですよ!」
「それは良いわね。後でうちの女性陣を連れて行きましょう。」
私達が宿に入ると、
「ああ。来たわね。あなた達が最後よ。」
カレンさんが待っていた。
「あなた達フェアリー・ウインドの部屋は3~4階よ。鍵は受け付けで受け取って。」
「わかりました。」
「所で、あなた達の右手のそれは…」
「アルラウネ族のシャルルさんにいただいたんです。」
「やっぱり!と言うことは首尾よく仲良くなれたようね!」
「理由はわかりませんが。」
「これであの子に新しい友達が出来たわ!これからもあの子のことをよろしくね!」
「何だかよくわかりませんが。シャルはもう大切な友人ですから。それより今日は疲れましたし、夕飯を食べてからお風呂に入りたいですね。カレンさんとシャルの昔の話も聞きたいですし。」
「……わかったわ。食堂に行きましょう。」
[19:30時]
私達は夕飯の野菜炒め定食を食べてから温泉に向かった。
「ここが温泉よ。もうあなた達のお仲間が入ってる筈よ。」
私達はさっと服を脱ぐと、浴場に入った。
「お~。フェアリーに良美達じゃない!お先に失礼してるね。」
「「「「「失礼していま~す!」」」」」
八重が私達に気付いて声をかけると、私達に気付いた他の隊員も挨拶をしてきた。
「観光は楽しめた?」
「勿論!絡んできた変態には地獄を見せてやったけどね。今頃不能になってるんじゃないかな。」
「あなたはほどほどにしておきなさい。」
「所でフェアリー。右手首のそれは?」
「シャルルって言うアルラウネ族の人に貰ったのよ。アルラウネ族に一時的に変身して特殊な力が使えるようになるそうよ。」
「へぇ~。使ってみてよ。」
「まあ何時か使うかもしれないし良いわよ。」
私は左手を右手首に当て、心の中でアルラウネの寵愛を、と念じた。
すると、紋章が輝き、私の髪と肌の色が黄緑になり、頭に髪留めのようにピンクの桜の花が咲いた。
「お~。凄い!変身した!」
「確かに凄いわね。力の使い方もなんとなくわかるわ。」
私は右手を木の桶に向けて、『芽吹け』と念じると、桶から芽が伸び、小さな木になった。『戻れ』と念じると逆再生のように元に戻った。
「これは便利ね。それじゃあ皆に加護を与えるわ。右手を頭上に掲げて。」
私の言葉に従い、全員右手を上げた。
私は目を閉じ、浴場の木を操ってツルにし、全員の右手首に巻き付け加護を与えた。
「ふぅ。上手くいったわね。」
私は加護を与えた後、ツルを元に戻し、心の中で戻れと念じると体も元に戻った。
「皆にあげた加護があれば、力の強い精霊を見て会話出来るようになるそうよ。」
「「「「「ありがとうございます!」」」」」
加護の配布に成功し、私達は力の強い精霊を見て、話すことが出来るようになった。
コンバットコントローラーはアメリカ空軍の特殊部隊です。様々な無線機を使いこなし、戦場の情報を統括し、航空支援の要請などを仕事としています。
次回はトンデモ兵器の搭乗です。ちなみに個人用です。
ご意見ご感想をお待ちしています。




