第1章6 暗殺未遂と条約締結
遅くなって申し訳ありません。
それと、これから諸事情により更新速度が週1~2回程に落ちますが、しっかり続けていきますので、今後ともよろしくお願いします。
〈アメックス王国 フォート・ディール 中央区画 司令部 総帥執務室〉
フェンリル軍 特務派遣軍集団 七海優香
会議が終わって2時間程すると王様が2人の文官と軍人、王子達の合計7人が私の執務室にやってきた。
「どうかしましたか?」
「いや、先程の正式な謝罪と友人と子供の紹介をしにきたのだ。」
王がそう言うと王も含めた全員が深々と頭を下げた。
「この度は我が国の軍人が大変失礼した。何卒許していただきたい。」
「頭を上げて下さい。この件は彼等の責任で陛下や国自体に責任を問うつもりはありません。
そんなことよりお連れの方の紹介をお願いします。」
7人は安堵の表情を浮かべ顔を上げた。
「感謝する。
それでは気を取り直してわしの友人から紹介しよう。
まず宰相のエドワード・モールトンじゃ。」
50代程の赤髪の男性が紹介され、自己紹介を始めた。
「エドワードです。陛下とは子供のこらからの付き合いでしたがまさか異世界から来た国と条約を結ぶようになるとは思っていませんでしたよ。」
「次は財務卿のペトラ・フィールダーじゃ。」
20代程の黒エルフの女性が紹介された。
「ペトラです。種族は黒エルフ族で、趣味は読書で、弓が得意ですす。」
「次に軍務卿兼親衛軍軍団長のギャレン・アーデルハイトじゃ。」
白い軍服を着た狼の耳を持つ銀髪の50代程の男性が紹介された。
「ギャレンだ。種族はフェンリル族だ。人付き合いが苦手でな。失礼な事が多いだろうが容赦していただきたい。」
「この3人はわしが子供の時からの付き合いでのう。家族の次に信頼しておる。
続いて家族の紹介をしよう。
第1王子のライリー・フォンテ・アメックスじゃ。ライリーは今軍事について学ぶ為に親衛軍の部隊に所属しておるのじゃ。」
青い鎧の20代後半ほどの男性が一歩前にでてポーランド式敬礼をした。
「ライリー・フォンテ・アメックスです。七海殿下のお話はミハエルより聞いております。お会いできて光栄です。」
「次にミハエルじゃな。既に知っていると思うがミハエルは今冒険者として活動中じゃ。」
鎧ではなく軽装に身を包んだミハエル王子が軽く礼をした。
「お久しぶりです。こうして七海殿と再びお話出来て嬉しいです。」
「最後に第1王女のジャンヌ・エル・アメックスじゃ。ジャンヌも親衛軍所属じゃな。わしは止めたんじゃがどうしてもと聞かなくてのう。」
赤い鎧を着た、私と同じか、年下位の女性が一歩前に出て、ライリー王子と同じポーランド式敬礼をした。
「ジャンヌです!私と同じくらいの年齢で軍の総指揮官をなさっているとミハエル兄様から聞き、お会いできる日を心待ちにしておりました!お会いできて光栄です!」
「これで全員の紹介も終わったな。それでは用も済んだことだし、部屋に戻るとしよう。それでは七海殿また明日もよろしく頼むぞ。」
「本当に謝罪と紹介が目的だったんですね。こちらこそよろしくお願いします。明日の会議は8時から始めます。部下が食事と会議の時間に伺うので、彼等の指示に従って下さい。」
王様は6人を連れて退室していった。
「……嵐みたいな人ね。」
[深夜3時]
仕事を終え、執務室のベットで眠っていると、廊下に仕掛けられた監視カメラがお客さん4人の到着を知らせてきたので、枕の下に隠してあったフラッシュライトとレーザーサイト、レッドドットサイトが付けられたUSP. Tacticalとナイフホルダーから小振りなナイフを抜き、無線を手に取った。
「ガーディアン・アクチュアル、こちらフェアリー、こちらに接近中の4名を捉えているな?」
ERTの隊長に連絡を取り、状況を確認した。
《こちらガーディアン・アクチュアル。アファーマティブ。査察団にいた軍人達の一部ですね。フェアリーにやたら噛みついてきた男とその取り巻きで。剣で武装しています。こちらはいつでも制圧可能です。既にカウンタースナイパーも配置完了しています。》
「フェアリー了解。4人が執務室に入った後私が隙を作るから、隊長格以外の3人の右肩を狙撃して無力化して。隊長格は私が直々に叩き潰してやるわ。制圧が完了したら4人を確保しにきて。」
《了解。お気をつけて。》
さて、差を見せつけてやりますか。
[4分後]
机に腰掛けて待っていると扉がそっと開き、4人が入ってきた。
「女性の部屋にこんな遅くに剣を持って入ってくるなんて、礼儀がなってないわね。何の用かしら?」
4人は私が待っていたのを見て驚いていたが、好都合とばかりに横隊で近付いてきた。
私が丸腰と見たのか、隊長格が余裕の笑みを浮かべて目的を話し始めた。
「何、簡単な事だ。貴様はこの国の王に相応しくない。だから優秀な軍人である我々が貴様を殺し、王になろうと言うことだよ。」
「………はぁ。馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、ここまでだとは…」
「何だときさっ!」
隊長格が怒った所でUSP. Tacticalのフラッシュライトを最大出力のストロボモードで点灯し、4人に向けた。
4人は突然の強力な光の点滅に怯んだ所で私は無線に告げた。
「撃て!」
私の命令の直後、
ガシャン×3
「ウグッ!」「グガッ!」「ウワッ!」
と、同時に3発の銃弾が部屋の窓を破って飛び込み、隊長格を除く3人の右肩を撃ち抜いた。
3人は突然訪れた肩が千切れかける痛みに右肩を抑えて倒れた。
私は3人が倒れると同時に駆け出し、状況が把握できずにいる隊長格の右肩をUSP.Tactical で撃った。
バンッ!
発射された45.ACP弾は狙い違わず右肩を砕いた。
右後方にバランスを崩したので、駆け出した勢いを利用し、隊長格を背中から地面に叩きつけた。
「グハッ!」
隊長格は右肩を砕かれた痛みと、地面に叩きつけられた衝撃で気絶した。
「ガーディアン・アクチュアル、こちらフェアリー。4人は無力化された。回収をお願い。」
《了解。直ぐに人員を送ります。》
直ぐに回収班が到着し、4人は連れて行かれた。
「全く。あんな阿呆どもが軍の上層部にいるんじゃこの国の軍隊は相当ヤバいわね。」
私はこれからも起こるであろう厄介事を思い浮かべ、溜め息を吐いた。
[翌日 午前8時]
〈アメックス王国 フォート・ディール 中央区画 司令部 会議室〉
昨夜の4人を除く全員が集まった所で、私は会議を始めた。
「それでは会議を始めますが、その前にこの場にいない4人をここに連行してきますか。デイビッド大佐、彼等をここに。」
私はシークレットサービスの指揮官のデイビッド・ジョンソン大佐に4人を連れてくるように言った。
「はっ!おい、奴らを連れてこい!」
会議室の警護任務についていたシークレットサービスの隊員が無線に何か告げると、5分程で4人が倍以上の数のシークレットサービスに拘束されて連れてこられた。
「七海殿下!これはどういう事ですか!何故彼等が貴国の兵士に捕らえられているのですか!?」
残った5人の軍人達が勢い良く私に質問してきた。
「そいつ等は昨夜3時頃私の部屋に剣を持って乗り込んで来たんですよ。どういう事か聞いてみると私を殺してこの国を奪おうとしていたようですね。そうですよね?暗殺者さん?」
私の言葉に隊長格が騒ぎ出した。
「俺達はそんな事使用としてなどいない!朝気がついたら捕らえられていたんだ!第一俺達がやったという証拠も無いだろうが!」
あまりの往生際の悪さに呆れつつ、私は告げた。
「証拠を見せればいいんですね?突然ですが皆さんに問題です。天井に付いている黒い半円は何だとおもいます?」
私の言葉に査察団の面々は”飾りでは” ”魔術的なもの”など各々の考えを言い出した。
「それでは正解発表です。あれは監視カメラと言い、映像や音声を記録し、危険人物などの接近や周辺の様子を遠隔地から確認出来る装置です。
暗殺者さん、あなたの言葉が事実なら昨夜の映像にあなた方は映っていないはずですね?それでは皆さん確認しましょうか。」
モニターが起動し、昨夜の映像が映し出された。
「こちらは昨夜3時頃の会議室前の映像です。どこかで見た覚えのある軍服の4人が剣を抜いて私の執務室に向かっているのが良く分かりますね。
続いて私の執務室の監視カメラが記録した映像と音声です。」
《女性の部屋にこんな遅くに剣を持って入ってくるなんて、礼儀がなってないわね。何の用かしら?》
《何、簡単な事だ。貴様はこの国の王に相応しくない。だから優秀な軍人である我々が貴様を殺し、王になろうと言うことだよ。》
《………はぁ。馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、ここまでだとは…》
《何だときさっ!》
《撃て!》
ガシャン×3
《ウグッ!》《グガッ!》《ウワッ!》
バンッ!
《グハッ!》
「以上がこの件の真実です。陛下、彼等の余罪をここで明らかにしてもよろしいですか?」
「余罪?」
「はい。昨日各貴族の邸宅から私の部下が重大な犯罪、誘拐、奴隷の強要、殺人、多額の金銭の横領、反逆などの証拠を確保してきました。」
「「「「「なにっ!」」」」」
「ああ、当然ここにいる方のことも調べてあります幸いここにいる方の殆どは有っても軽いので放置で大丈夫と判断しました。ですが、残念ながらそこの4人は完全に真っ黒です。では陛下、こちらを。」
私は陛下に証拠が大量に記録されたタブレットを渡した。
「?これは?」
「真ん中に触れて下さい。」
陛下は私の言葉に従った。
すると、
《はじめまして。フィリップ陛下ですね?私はサポートAIのティターニアです。》
「うわ!妖精が出てきてしゃべり出しおった!」
「陛下、彼女に4人の犯罪の記録を出すよう言ってください。」
「あ、ああ。証拠を出してもらえるか?」
《分かりました。こちらが証拠になります。》
「っ!これは!」
タブレットには4人が領主を務める街の領主軍が村を略奪する映像、横領の証拠書類、領主館の牢に捕らわれ、兵士や領主の慰み者にされる女性の画像などが記録されていた。
「貴様等!民を護るべき貴族が民を殺し、辱めるとは何事だ!」
王が激怒し、タブレットを見た査察団の面々も眉をしかめた。
「貴様等は一族の者共と共に犯罪奴隷として北部山岳地帯の開拓に行ってもらうぞ!」
4人は顔を真っ青にし、俯いてしまった。
「略奪に参加した領主軍は解体し、捕らえられた女性を救出せねばな。この資料に載っているのは全部で12人か。こいつらの領主軍も抵抗するだろう。内輪もめで貴重な兵を多く死なせる事になってしまうな。」
「陛下、その件について私に提案があります。」
「何かな七海殿下?」
「まず、条約を結びましょう。この条約で我々がギルドの依頼を受けて行動することを認めていただきます。そして、軍の指揮権が我々にあると確約してください。」
「その程度なら良いだろう。」
「では、この書類にサインを。」
私と陛下はサインをし、条約は締結された。
「それでは、私の策を話します。まずギルドを通して私達に依頼を出して下さい。その後領主館に侵入している部下に女性達を救出し街を脱出させます。その後伝令を送り、国王の勅命で領主軍の鎮圧作戦が3日後に実行されると市民に伝え街から避難させます。3日後私の軍が街を強襲し、領主軍を鎮圧します。これならそちらの軍に被害は出ません。」
「だがそれでは。」
「私達の心配なら無用です。誇りも無い奴らに負けはしません。」
「………そうか。報酬はどうすれば?」
「そちらに任せます。ギルドと相談して決めて下さい。幸いギルドマスターは今この基地にいますので後ほど相談してください。」
「わかった。七海殿下の策に乗ろう。だが最後に聞かせてくれ。何故この国の為にそこまで出来る?」
「単純な話しです。無実の民が傷つけられていたのが気に入らなかっただけです。」
「……そうか。では七海殿下に任せよう。」
「必ずご期待にそえますよ。それでは作戦準備に入りますので失礼します。」
誇りも無く私利私欲の為に苦痛を与えている悪徳貴族に地獄を見せるため、異世界の軍隊が再び動き出した。
次回は基地にいる大量の部隊が作戦を行いますが作者は素人ですので、読んで頂いた後こうした方が良いなどの意見があれば、参考にさせてもらうのでどしどし意見を送って下さい。
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