チェーン・キラー
いつものように、部活から帰った由実は、いつものように、家のドアを開ける。
「たっだいま〜」
ここまではいつもどうり。
「お帰り、由実。」
いつものように夕飯を作りながら母が返事をする。
「そういえば由実宛てに封筒届いてたわよ。」
「えっ!」
いつもは母宛ての荷物しか届かない。
珍しいな、と思いながら、由実は部屋に封筒を持っていった。
由実は、部屋で届いた封筒を見ていた。
…送り主の名前がない。
不安になるが、好奇心には勝てない。
由実は、おそるおそる封筒を開けた。
…中身は…
手紙……
と、わら人形。
「きゃっ!」
…由実はびっくりして、封筒を壁に投げつけた。
…何分かたって、由実はやっと気が落ち着いた。
…さっき投げつけた封筒を拾うと、中の手紙を読んだ。
―――――――――
チェーン・キラー
この封筒が届いた人は、一ヶ月中に、中に入っているわら人形で、友達を三人殺し、この手紙と、わら人形を、封筒に戻し、友達一人に送りましょう。
もし、一ヶ月の間に、友達を三人殺し、これを、友達に送れないと、一週間たつごとに、大切な人がいなくなり、二ヶ月たつと、死にます。
―――――――――
何これ?チェーンメール?ばっかばかしい!
…くだらない、と思いながら、由実は手紙を丸め、封筒と一緒にゴミ箱にすてた。
次の日、学校から戻ると、部屋に、確かに昨日ゴミ箱にすてたはずの封筒が…
あった。
「う…うそ…。」
五日後、学校から帰った由実は、わら人形と、家にあったかなづちと、五寸釘を持って、鍵をかけた部屋に閉じこもっていた。
…あれから、あの封筒を何回捨てても、翌日には戻ってきたので、さすがの由実も、怖くなってきたのだ。
「殺す、かぁ〜。」
…嫌いな人はたくさんいる。でも、殺すなんて考えたこともない。
しかし、やらなきゃ自分が死ぬ。
由実は決心した。
「…殺す…。」
…由実の一番嫌いな人は、クラスメートの神原くんだ。
私だけが嫌いなわけじゃない。
…神原くんは、男子女子関係無く暴力を振るう。しかも先生にもだ。
とにかく、神原くんは、みんなの敵だ。
「こいつなら…。」
(…わら人形で…人を殺す方法は…よく…わかんないけど…とりあえず…神原くんの事を考えながら…釘を打てば…いいのかな…。)
由実は、わら人形と釘を持ち、かなづちをかまえた。
コン、コン、コン…
まさかそうなるとは思っていなかった。
まさか…神原くんが…。
次の日、学校に行ったら、神原くんがいなかったのだ。
学校なんか休んだことのない、神原くんが。
…しかし、おかしい。
いつも学校に来ている神原くんがいないのに、クラスのみんなは、神原くんの話さえしない。
由実は、思い切って、親友の明日香に、話してみた。
「今日、神原くん来てないね。」
「神原くん?そんな人いたっけ?」
…まさかそうなるとは思っていなかった。
…私は、神原くんを…
…消してしまった。
…みんなに聞いても、誰一人として、神原くんを覚えている人はいなかったのだ。
………………………
…私は、それから二人の人を消した。
死ぬのは、嫌だったから。
…あとは、このわら人形と手紙を送るだけ。
そうだ、明日香にあげよう。
明日香だって嫌いな人はいるはずだから。
………………………
由実は自分では気づいていなかった。
由実は、実はクラスのみんなに嫌われていたことを。
もちろん、明日香にも。
…1ヶ月後、由実は消えた。
あなたも、もし、由実みたいになりたくなかったら、みんなに好かれる人になりましょう。
由実みたいに、消されたくなかったらね。
あ〜つかれた〜
もうしばらく小説は書けない〜