鳥に手がないわけ その2
お父さんスズメが言いました。
「スズメは、何を食べて生きているのか?」
子スズメがいいました。
「お米とか、パンくずとか、虫とかなどです。」
「いいか、それが、猿のような手があったら、コメ粒を摘まめるか?パンくずを、摘まめるか? 嘴はなんと便利だろう。どんな小さな食べ物より、正確に米粒をつまめ、パンくずだって、食べられる。人間にも、手があるけれど、人間の手で、米粒なんて、パンくずなんて、摘まめない。で、ピンセントなるものを考えているんだが、あれは、スズメの嘴を真似したものだな。それでも、その性能は、スズメの嘴の、10分の1,いや、100分の1,1000分の1の性能しかない。」
「スズメはすごい。」
「そうだ、手があれば、それで、餌を摘まんで、口にもっていかなければならないので、時間当たりに食べられる量は、5分の1,10分の1の効率になってしまう。のんびり、餌を手で拾って食べていたら、のろまな猫でも、スズメを捕まえてしまうそ。しかし、嘴で、餌をたべれば、見つけた餌は、すぐ食べ、また、次の餌を見つけてすぐ食べ、猫がきたら、さっさと逃げる。いいか、嘴で、餌を食べるので、猫になんか捕まらないのさ。」
「そうだね。」
「だから、手なんか必要ないのさ。むしろ邪魔。素早く飛び立つのに、手があれば、翼の邪魔になって、素早く飛び立てない。いいか、手なんて、邪魔なだけだ。わかったか?」
「うん」