カルレ領地発展編 ユリウス視点
ミゲルスがシャーリーとジョンを連れてもう眠る時間だからと言って部屋を出て行ったあと、僕たちははあ〜ってため息をついた。
リリアスはまだ10歳だからかことの重要性がよくわかっていないみたいだけど、それを遠回しに聞いたら「え?ユリウス兄様ったら、それくらいのことわかりますよー。うちの弟がすっっっっごい!!ってことですわよね?」
うん。うちの弟すっっっごいってことなんだけど、なんかその軽さが気になるなあ・・。
「もう・・兄様ったら。わたくしだってこのカルレ辺境伯の娘ですよ。ミゲルスの前世とやらの記憶がとんだ爆弾だってよーくわかってますわ!ですけれど、わたくしは辺境伯の娘よりも良き姉でいたいのです。兄様も辺境伯の息子よりもミゲルスの良き兄でいるように心がけてくださりまし。マリユス兄様もそうですわよ!それではわたくしも10歳ですのでそろそろお部屋に上がらせていただきますわ。」
僕とマリユスはリリアスの言葉に顔を見合わせる。
「なあ・・兄様。あいつももしかして前世の記憶持ってるんじゃないの??」
「いや・・そうではないだろう。あいつは長女としての責任が強いんだよ。少しでもこの家にとっていい縁談が来るように気を張っているんだ。ほら。うちは血筋だけはいいからね。」
「な!じゃああいつは自分が政略結婚のコマになってもいいって考えてるのかよ?」
「マリユス・・。女は生まれた時から女なんだよ。」
いや。でもこれから領地が発展するって仮定したらリリアスの今までの努力がもっといい方向へ転がるのではないのだろうか?僕はリリアスが選んだ道が少しでも険しくないように自分ができることをやるだけだ。
そう彼女は一人前のレディーになることが自分の幸せの道だと固く信じてる節があった。
だけれど、今日彼女は新しい世界を知ってしまった。そして彼女はその世界に魅力を感じたのだろう。
今までなら、良き姉という言葉なんて出てこなかった。辺境伯の娘ということに自分の立場を重きを置いていたのに、ミゲルスの前世の話で日本という国の女性の話をシャーリーから聞いていて自分なりに感じる事があったのだろう・・。母様も熱心に話していた。
それにしても日本という国はすごい。義務教育というのがあってさらに高等教育を受ける学校がある。しかも学校という選択肢もさることながら、教育レベルがあまりにも違いすぎてびっくりした。
そして、ミゲルスの前世の話を聞いた時、僕は自然と拳を握りしめてた。マリユスなんて拳を壁に打ち立てていた。
それを聞いた時、僕たちはミゲルスをもっと愛してやろうっと誓った。
ミゲルスがギフトを貰って以来、うちの領地は徐々にだけど微々たるものだけど豊かになって行ってる。
それが僕たちにとってどんなに嬉しいことかわからないだろうなあ。
つい最近まで、父様の手伝いで領地の帳簿整理をしていたときにどうやっても赤字だと父様とマンクと僕の3人でうんうんと唸っていたんだ。
何せ。うちは明日のものを食べるのに苦労する貧乏領地だしね。
それが、ミゲルスのカレー錬成で初めてご飯をたらふく食べるっていう贅沢を知ったんだ。
まさかミゲルスが王都でギフトをもらって、タウンハウスに戻ってから試しに錬成したあのカレーがあんなに美味しいものだとは知らなかったんだ。見た目がちょっとアレと似ていて美味しいそうなにおいでも拒否反応が強かったんだ。
でもミゲルスのカレー錬成でええいままよ!って勢いで一口入れたら・・。知らない間にからになっていたんだ。
あまりにものおいしさ僕は気がついたらおかわりをしていたんだ。
そう人間食わず嫌いはいけない。
そしてミゲルスが父様にカレー錬成を領地発展に使ってくださいと言ってると聞いたとき、うちの弟健気すぎるって思ったね。
それ以来。ミゲルスはカラアゲやらカツやらフライドポッテルやらポッテルチップスやらを半年の間に次々と披露していった。
まさか家畜の餌だと思っていたポッテルがあんな美味しいものになるなんてって驚いていたら、ミゲルスはこんなの序の口ですよ。まだまだありますって言っていたから、僕は次のポッテル料理が出てくるのが楽しみなんだ。
そして領地を家族旅行しようからのついさっきまでの前世の話までの流れ・・・。
本当ミゲルスは飽きないなあ。多分旅行中もいろんなことをしでかすと思うけどお兄ちゃんとしては楽しみなんだよ。そして王都の王立アカデミーに行ったらうちの弟はすっっごい!!って自慢してやろうと今から密かに思ってるんだ。
今日は2話投稿させていただきます。
ユリウス視点どうでしたでしょうか??
もうちょっとブラコン色を出したかったです笑
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