カルレ領領地発展編。1話
「どうなされましたか?ミゲルスぼっちゃま。」
シャーリーがお茶の用意をしながら
「いや・・領地を発展させたいっていう気持ちはあるのだけどさ。僕ってただ提案するだけでなんも役に立ってないなあって。なんつーの、前世でさ某小説投稿サイトでの領地経営とかさ知識チート系とかの小説が好きで読み漁っていたからさ。転生した時にいよっしゃー!知識チート振るったるでー!領地経営やったるでーって喜び勇んでいたのだけどさ、実際はそうでもないなあって思ってさ。せっかくシャーリーもジョンも専属侍従にしたのにこんな主人でごめんってなってさ。」
シャーリーとジョンは僕の言葉を聞いて二人でくすくす笑って僕を抱きしめてくれる。
「ぼっちゃまはそのままでいいんですよ。適材適所ってあるじゃないですか?前世の記憶とかそういうのは一旦置いときましょうよ。前世は何歳で亡くなったかわかりませんが、今ぼっちゃまは8歳で、やっとギフトをもらって、そのギフトを使って、皆さんの食事をあっという間に改善したじゃないですか?皆さんの前でカレーを錬成してから6ヶ月ですよ?たった半年で、料理長がフライドポッテルとかポッテルチップスとかカツとかカラアゲとか見たこともない料理をこの世界ではない料理を作ったのですよ。ユリウス様マリユス様リリアス様の成長を今助けているではないですか?食べるのに困っていた領主様家族たちが食べるのに苦労しないで済むのはぼっちゃまのギフトのおかげなんですよ。なんも役に立っていないってそんなことを言ったらダメです。きちんと皆様のお役に立てているではないですか!」
「そうっすよ。坊ちゃんは先急ぎ気味っす。別に生き急いでいるのではないんですからもっとゆったり気構えていきましょうよ!俺とシャーリーは2年で専属侍女と専属騎士にならないといけないっすけど、坊ちゃんはもっとゆったり考えていいんすよ。兄様たちや姉様たちと遊びまわっていいんすよ。この世界で貴族に生まれるということは貴族の責任を伴う都合上どうしても年齢よりも大人ぶることになるのは俺も貴族の端くれだからわかるっす。
ですけどね。坊っちゃん。同じ年齢はもう二度とやってこないんすよ。8歳は一回だけなんす。だから坊ちゃんはもっと8歳で感じる感性をもっと養えばいいんすよ。」
5歳離れるってこんなに違うものなんだっけ?
僕はシャーリーとジョンの言葉を聞いてそんなことを思ってしまった。
そして僕はなんでこんなに人に恵まれているんだろうとも思った。
そうだよね。僕は僕のできることがあるよね!僕は思えば欲張りすぎたのかもしれない。勝手に物語の主人公だとも思っていたのかも。うっわー!恥ずかしい!!何様だよ自分を主人公だと思うのって何様だよ。自分で墓穴掘って墓穴に落ちてその墓穴の中でのたうち回るなって恥ずかしいーっ!!
僕がしたいことかあ・・・。
そういえば最近兄様とか姉様とか遊んでもらってないな。
ユリウス兄様は14歳で15歳までに王立アカデミーに行くための準備と領地を継ぐものとして学校行ったり執務室で父様の手伝いで毎日忙しいし。
マリユス兄様13歳だけど騎士になりたくって12歳から領の騎士団に入って鍛えてるから会うのは基本週一くらいだし。
リリアス姉様は10歳だけど、母様とアンジュからの淑女教育が忙しいのと、暇な時間は自分の趣味の時間に費やして滅多に僕と会わないし・・・。
あれ???あれれ?????まって!!
姉様と兄様と会って喋ったのって王都に行った時以来じゃない??
「シャーリー。ジョン。僕やりたいことできた!!僕領地を家族で巡りたい!!お兄様とお姉様とお父様とお母様ともっとお話ししたい!!」
そうだよ!みんなで家族旅行しよう!!みんなで領地を巡ろう。そうしたらいろんなことがわかるじゃん。
元々貴族って家族仲がすごくいいというのは珍しいと思うんだよ。僕の家もそうだし。でもさでもさやっぱり僕は家族ともっと仲良くなりたいもん!知りたいもん!!そういうのってやっぱり家族旅行が一番じゃない?
よし決めた!父様に会って家族旅行したいってわがまま言おう!!
だって僕8歳だもん!まだわがまま言ってもいい歳だもんね!!
うわあついさっきまで暗かった気持ちが一気に晴れたよー。やったね!!
ミゲルスくん。どうやらモヤモヤしていたらしいですが、侍従というお姉さんとお兄さんの優しい言葉を聞いて一気にモヤモヤが晴れたみたいです。
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