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プロローグ

僕が住んでるカルレ辺境領は、半円形に広がるカルレ山脈が連なっているおかげで周りから断絶されている。

ユーデリア王国の王家を連なる血筋を持っているとはいえ、

一応海も山もあるし、景観がいいっていえばいいかもしれない。

でもそれは住んでいる人間たちの欲目っていうこともよーく分かってる。うん。よく分かってるさ!

だってだってさ。うちまがりにも貴族なのに侯爵っていう血筋なのに毎日食べるご飯に苦労してるもんね!!

まあそんな苦労話はおいおい話すとして、僕が前世の記憶を思い出したっていうところから話を始めようかな?


ユーデリア王国には6歳になると貴族は王城へ平民は教会へ行くことになる。

何をするかっていうと、ギフトを見てもらうんだ。だ。

貴族が王城に出向くのは”貴族同士の繋がり”っていうのがある。同い年の子供がいるから親同士も気兼ねなく、婚約者とかなんとかやらを見つけることができるでしょ?まあその繋がりの前に”ギフト”っていうのが関係してくるんだけどね。


この世界さ、御託に漏れず魔法と剣のファンタジー世界なんだよ。

で、その魔法と剣に関わってくるギフトがやっぱり当たりギフトな訳。

貴族様はそりゃあ当たりギフトに執着するのよ。例えば治癒魔法系統なら聖女聖人になれる可能性も出てくるし、

剣系統のギフトなら騎士とかになれる可能性が出てくる。

特に貴族の三男以下は騎士とかのギフトを貰えるかもらえないかで自分の立ち位置が変わってくるから結構本気でみんな欲しがってるし、女の子なら聖女になれるっていうことは”より良い結婚”ができる保証になるからこっちも本気なわけ。。

だから必然的にって言っていいのかな?6歳の男の子女の子のなりたいものランキング上位が騎士とか聖女とかが多いんだよね。

そんな流れの中。僕がギフトにもらったのはまさかの『カレー錬成』え?は??ってなるよね!!

わっかるー。僕もなったもん。最初。

ギフトを見る教会の方も、王族の方も、一緒に並んでいた両親も、貴族の方もみーんな「は?何それ??」っていう表情になったもんね。

いやあ。あの時の両親、王族、宰相一家以外の周りの見下した顔見ものだったわー。みんな侯爵家の三男がハズレギフトをもらったって思ったんだよね。

確かに、他の貴族ならこのギフトはハズレだったし、なんなら家を追い出されていただろうね。

うちの場合は、両親がのんびり屋というかマイペースというか、他の領地から断絶されている立地からかほんっとうに周りの目を気にしない。自分のペースを崩さない。

父親のジョセフも母親のユーリもおやおやとかあらあらとか呟いて全く気にしない素振りで耳打ちしたんだ。

「なんかここの雰囲気悪いからさっさと出ようか。ユーリはどう思う?」

「その方がよろしいかと思いますわ。だって皆様のお顔ったら・・・。」

母様は扇で顔を覆って小声でうふふっと笑っていた。

何か楽しいことあったのかな??


その場を離れると言っても何かを言ってから離れたりしたら、それは”貴族的の逃げ”になって大変不名誉なことになるらしい。だから両親と僕はいつでもこの場を離れられる準備をしてから、会場をフェイドアウトした。

そうそれを戦略的撤退って言うんだよ!多分きっと知らんけど。


で、王都のカレル辺境伯のタウンハウスに戻ってきてから、みんながいる前でギフトを早速使ってみた。

不思議なことにギフトをもらった時点で使えるようになるから不思議だよね。さすが魔法と剣の世界。


「カレー錬成」

(カレー錬成かしこまりました。数量は一個でよろしいでしょうか?数個欲しい場合は➕を押して数量を増やしてください。減らしたい場合は➖を押して数量を減らしてください。なおトッピングは錬成レベルが上がっていないためなんもトッピングがないことをご了承ください。)

へえ。ギフトってこんな感じなんだ。トッピング??数量??よくわからないけど試すだけだから一個でいいや。

(カレー錬成一個のオーダを承りました。数秒お待ちください。)

僕の手が急に光って、みんながおーって目を輝かしていたら、出来上がったんだ。

茶色いどろどろとしたものにみんな顔を顰めた。

僕も見たときなんじゃこりゃってなった。

でもさ、、漂ってくる匂いがなんともいえなくって・・・

「ミゲルスが持ってるもの見た目はアレだけど漂ってくる匂いはこうお腹が空いてくるなあ・・・。

不思議な匂いだ。」

そういって長男のユリウス兄様が僕が持っているものを覗き込んで匂いを嗅いでいる。

周りのみんなもうんうんとうなづいて、僕の持っているものを持っている。

「そしてこのカレー?って言うものはとても暖かいみたいだね。持っているものから

湯気が立ち込めているよ。ミゲルス熱くないのかい?」

今度は次男のマリユス兄様が聞いてくる。

「ユリウス兄様。僕もそう思いました。お腹空いてくるんですよ・・

マリユス兄様とても暖かくて気持ちいいです。」

「ねえミゲルス。早速味見してみたらどうかしら?せっかくのギフトだし、あなたが試してみなさいな。」

優しい口調で、でも絶対に逃げることができない微笑みを浮かべながらリリアス姉様が言ってきた。

そうだよね。試すしかないよね。僕は侍女のアンジュにスプーンを持ってくるように伝えた。

アンジュは畏まりましたと一礼してから立ち去ってスプーンを持ってきてくれた。

僕はみんなが固唾を飲んで見守る中、一口カレーとやらを食べた。


「うっっっっっっっまーーーーーーーーーーーい!!カレーじゃん!!カレーライスじゃん!!まじかまじかまじかー!!!」

そうカレーライスを一口食べた瞬間。

僕は日本に生まれて転生してきたことを思い出したのだ。

周りにいた人は突然訳のわからない言葉を話して叫んでから、泣きながらカレーライスを食べてまた叫んでカレーを食べてを繰り返して完食した瞬間倒れたらしい。

(やっとカレーライスを思い出したのですね。カレー錬成スキルがアップしました)

さっきから流れるこの謎声が気になるなか僕の意識はシャットダウンした。









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