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初恋の後悔  作者: お風呂かこ
四章 大学生編 一年生
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三節 大学生活

 大学生活が始まって一か月が経つころには、貴久と僕はお互いの家に遊びに行くようになっていた。

 共通の空きコマがある日や、部活がない日はたいてい一緒にいた。

 サークルにも部活にも入らなかった僕は、この関係が楽しみだった。



 その日も僕は、貴久の家に遊びに行っていた。そこで料理を教えて欲しいと言われたので、僕は貴久と一緒に肉じゃがを作った。


「玉木くんってバイトしないの?」


 できあがった肉じゃがを食べながら、貴久が言った。


「まだいいなかって。お金はあるし」

「貯金いっぱいあるの?」

「贅沢しなければ、二年くらいはこの生活できるかな」


 僕の出費のほとんどは生活費だけだ。教科書もほとんど買っていないし、特に欲しいものもない。

 家賃も安いところなので、切り詰めさえすれば、貯め込んだお金だけで二年は生活ができそうだ。


「あと僕は、せっかくの大学生活をバイト漬けで終わらせたくないのもある」

「和也までとはいかなくてもさ、お金は欲しくない? 何か欲しいものとかないの?」


 和也は部活だけでなく、バイトもしている。いつも部活終わりに夜まで働いているらしい。そのせいで授業はほとんど寝ているが、本人はバイクが欲しいから仕方ないと言っていた。


「僕は欲しいものとかないからね」


 僕の部屋にはゲームはおろかテレビさえもない。娯楽になりえるのは、こっちに来るときに親がくれた少し古いノートパソコンくらいだ。


「玉木くんの家ほんとになんにもないよね。いつも何してるの?」

「特に何もしてないよ。寝るか、たまにパソコン見るかかな。貴久は?」

「テレビ見たりゲームしたりかな。ねえ暇ならさ、バイト一緒にしない?」


 貴久は食べる手を止めて聞いてきた。


「僕はとりあえず春学期の間はいいや。テストとかレポートとか、難しいのかもよくわからないし」

「あーたしかに。じゃあ僕も春学期はやめとこうかな。そういや和也って授業全部寝てるけど、単位大丈夫なのかな?」


 貴久は笑いながら言った。


「どうだろうね」


 僕たちは二人だけの部屋で笑い合った。

 普段は静かな僕の夕食は、今日は少しだけにぎやかだった。


――――登場人物――――

玉木悠太たまきゆうた 僕

 中学時代はバレーボール部。

 父親と兄との三人暮らし。


永野司ながのつかさ かさ

 小学校からの付き合い。

 僕をまこと呼ぶ。

 京都に住むために勉強をしているらしい。

 人との接し方が似ている。

 小学生のときに転校してきた。

 僕にとっては貴重な、家のことを話せる関係。


前川倖成まえかわこうせい 倖成くん

 中学時代は、僕と同じくバレーボール部。

 二年間クラスも同じでよく話をした。

 僕をまこと呼ぶ。

 高校でもバレーボール部に入った。

 最初だけは僕を玉木くんと呼んでいた。


中里佳世なかさとかよ 佳世ちゃん

 小学三年生のときに知り合った。

 いつもくだらないことで笑わせてくる愉快な人。

 一緒にコスモスを見に行った。

 中学二年生の終わり頃から話さなくなった。


浅羽慎二あさばしんじ 慎ちゃん

 中学一年生のときに同じクラスだった。

 やさしい言葉をかけてくれた。

 僕はそんな慎ちゃんのやさしさの在り方に、憧れを抱いている。


今井俊いまいしゅん 今井くん

 僕と似た空気を感じる。

 親戚の家で暮らしており、少しだけ僕と境遇が似ている。

 曜子という人ともめたらしい。

 一年生の文化祭のときに、曜子という人ともめた話を聞いた。

 それからは、距離が開いてしまった。


小林正樹こばやしまさき 小林くん

 昔やっていたゲームの話をした。気が合わないわけではない。

 勉強に打ち込んでおり、部活もしている。

 高校一年生のときは室長もしていた。

 修学旅行のときから、僕をたまちゃんと呼ぶようになった。

 思っていたよりも、ずっと仲良くなれた。


田原友貴たはらともき 友貴

 中学は同じだが、話したのは高校受験の日が初めて。

 部活をやっている。坊主頭。

 修学旅行のとき、急に僕のことをたまちゃんと呼んできた。

 おせっかいだが、悪い人間ではない。


森島もりしまさん

 今井君のことを教えてくれた人。

 曜子という人の友人。

 友貴と付き合っていたらしい。

 冷静な人のようだが、友貴に似ておせっかいな面もある。


伊藤恵いとうめぐみ 伊藤さん

 吹奏楽部。フルートが上手らしい。

 わかりやすい感情表現をする。

 気さくな人でクラスの中心的存在。

 随分と、僕を気遣ってくれていた。

 僕の字を褒めてくれた。

 何事も一生懸命に取り組むことができる。


江口えぐち先生

 高校一年生のときの担任。担当科目は国語。

 役者めいた話し方をする人。

 表面を繕って核を守る振舞いが、僕に少し似ている。

 気を許せる先生。


中川なかがわ先生

 高校二年生のときの担任。担当科目は国語。

 やさしい笑顔が特徴。

 いろいろと見抜かれている気がする。

 あのやさしい笑顔は、葛藤の末に得たもののように見える。

 人にやさしくあれる強さをもっている。

 尊敬できる先生。


渥美あつみ先生

 高校三年生のときの担任。担当科目は数学。

 弱さを隠さない人。

 だからこそ、信用できる。

 人間味あふれる先生。


山瀬貴久やませたかひさ 貴久たかひさ

 大学からの友人。柔道部所属。

 一人暮らしをしている。語学のクラスが同じ。


出口和也でぐちかずや 和也かずや

 大学からの友人。空手部所属。

 実家通い。語学のクラスが同じ。


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