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初恋の後悔  作者: お風呂かこ
幕間 過去編
33/68

七節 中学校編 三年生

 僕は部活ばかりに専念して、一切勉強をしなかった。部活中はバレーをして、部活後はバレー部の人たちと遊んでいた。そんな毎日は楽しかった。

 三年生でも倖成君とクラスが同じになり、またほとんどの時間を一緒に過ごしていた。


 そして引退を控えた最後の大会の直前に、キャプテン会議が行われた。

 各部活のキャプテンと副キャプテンが集まって、壮行会の打ち合わせをするためだ。

 その帰り道、僕はキャプテンになった人と話していた。


「まこってさ、なんで倖成たちと一緒にいるの?」

「どういうこと?」

「いやなんか、もっと上の人たちと仲良くならないの?」

「上ってなにが?」

「いや、なんというか、立場? まこならもっと上の人と仲良くできるでしょ」


 そこまできいて、僕は驚きを隠せなかった。


 こいつは、人付き合いをステータスか何かだと思っていたのだ。

 確かにこいつは三年生になってから、なぜか今までとは違うような人たちと一緒にいるようになった。僕は単純に、新しいクラスの人と仲良くなったのだと思っていた。

 だけど、そんな考え方をしていたなんて。


 つまりこいつは、今の今まで僕や部活の仲間のことを見下していたのだ。

 こいつは僕が大切に思っている仲間たちのことを、目の前でけなした。こいつの基準では、人間関係は損得勘定が伴うのだろう。

 僕はそんなことを思って誰かと一緒にいるわけではない。

 変わった僕を受け入れてくれたみんなのことを、僕は心から大切に思っているのに、こいつは……。


 僕は、このキャプテンのことも信用していたはずだった。だけど、その信用は一気に崩れ落ちた。

 それどころか、僕は怒りを通り越して悲しみさえ抱いていた。

 辛かった練習も、一緒に頑張った日々も、試合に勝ったときの喜びも、部活を通して得たたくさんの思い出を、すべて否定された気分だった。


 仲間だと思っていたのは、僕だけだったのだろうか。思い返せば、三年になってすぐのころ、倖成君が一度このキャプテンと喧嘩をしたことがあった。

 倖成君は、気づいていたのだろうか。


 僕は最後の試合が終わるまで、表面上だけでも取り繕うつもりだったが、無理だった。

 僕はあからさまにキャプテンを避けた。正直に言えば、二度と顔も見たくなかった。そうしてあまりいい空気ではないまま、最後の大会は始まり、僕たちはあっさりと負けた。


 大会が終わってからの最後の言葉も、上っ面をなぞるだけになってしまった。僕が部活に費やしてきた情熱は、たった少しの会話であっさりとなくなった。

 僕は、負けた悔しさも味わえなかった。



 部活を引退してから、クラスが一緒の倖成君とはさらに仲良くなった。

 志望校も同じで、なんとなく一緒に勉強したりもした。だけど、いつもすぐに脱線してしまって、遊んでばかりいた。

 この頃からかさも加わって、一緒に遊ぶようになった。かさと倖成君はお互いを知ってはいたが、そこまで仲良くはなかった。だけど、僕と一緒にいる時間が増えてくると、二人はいつの間にか仲良くなっていた。

 誕生日会もして、残りの中学校生活を一緒に楽しんだ。

 そうして僕たちはみんな無事志望校に合格して、高校生になった。




 嫌なことまで思い出してしまった。

 僕の過去は、いつ思い返しても楽しいことばかりではなかった。


――――登場人物――――

玉木悠太たまきゆうた 僕

 中学時代はバレーボール部。

 父親と兄との三人暮らし。


永野司ながのつかさ かさ

 小学校からの付き合い。

 僕をまこと呼ぶ。

 京都に住むために勉強をしているらしい。

 人との接し方が似ている。

 小学生のときに転校してきた。

 僕にとっては貴重な、家のことを話せる関係。


前川倖成まえかわこうせい 倖成くん

 中学時代は、僕と同じくバレーボール部。

 二年間クラスも同じでよく話をした。

 僕をまこと呼ぶ。

 高校でもバレーボール部に入った。

 最初だけは僕を玉木くんと呼んでいた。


中里佳世なかさとかよ 佳世ちゃん

 小学三年生のときに知り合った。

 いつもくだらないことで笑わせてくる愉快な人。

 一緒にコスモスを見に行った。

 中学二年生の終わり頃から話さなくなった。


浅羽慎二あさばしんじ 慎ちゃん

 中学一年生のときに同じクラスだった。

 やさしい言葉をかけてくれた。

 僕はそんな慎ちゃんのやさしさの在り方に、憧れを抱いている。


今井俊いまいしゅん 今井くん

 僕と似た空気を感じる。

 親戚の家で暮らしており、少しだけ僕と境遇が似ている。

 曜子という人ともめたらしい。

 一年生の文化祭のときに、曜子という人ともめた話を聞いた。

 それからは、距離が開いてしまった。


小林正樹こばやしまさき 小林くん

 昔やっていたゲームの話をした。気が合わないわけではない。

 勉強に打ち込んでおり、部活もしている。

 高校一年生のときは室長もしていた。

 修学旅行のときから、僕をたまちゃんと呼ぶようになった。


田原友貴たはらともき 友貴

 中学は同じだが、話したのは高校受験の日が初めて。

 部活をやっている。坊主頭。

 修学旅行のとき、急に僕のことをたまちゃんと呼んできた。


森島もりしまさん

 今井君のことを教えてくれた人。

 冷静な人のようだが、意図はよくわからない。

 曜子という人の友人。


伊藤恵いとうめぐみ 伊藤さん

 吹奏楽部。フルートが上手らしい。

 わかりやすい感情表現をする。

 気さくな人でクラスの中心的存在。

 随分と、僕を気遣ってくれていた。

 僕の字を褒めてくれた。

 何事も一生懸命に取り組むことができる。


江口えぐち先生

 高校一年生のときの担任。担当科目は国語。

 役者めいた話し方をする人。

 表面を繕って核を守る振舞いが、僕に少し似ている。


中川なかがわ先生

 高校二年生のときの担任。担当科目は国語。

 やさしい笑顔が特徴。

 いろいろと見抜かれている気がする。

 あのやさしい笑顔は、葛藤の末に得たもののように見える。

 人にやさしくあれる強さをもっている。


渥美あつみ先生

 高校三年生のときの担任。担当科目は数学。

 弱さを隠さない人。

 だからこそ、信用できる。

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