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初恋の後悔  作者: お風呂かこ
幕間 過去編
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四節 小学校編 六年生

 そして六年生の夏、ついに僕は仲間外れにされた。

 僕は、怒られなければいけない状況から逃げた。

 クラスの男子数人で一緒に悪さをしていて、その中で僕だけがただ一人逃げた。

 もちろん先生は僕のいうことを信じて疑わない。他の人も僕が悪いとは言わない。僕を敵に回すことがどれだけの面倒ごとかを分かっていたからだと思う。


 そうして一人逃げた僕は、ある日を境に遊びに誘われなくなった。次第に話しかけられることも減って、だんだんと人が離れていった。

 僕はここまできてやっと、自分の犯してきた罪の大きさを知った。自分が、嫌われるようなことばかりしていたのだということに気付いた。あまりに遅い自覚に、僕はもう何もかもの気力を失くした。


 それでも家には兄がいる。僕に学校を休むという選択肢はなかった。

 人から相手にされなくなるたびに、自分のした行為を悔やむ。どうしてあのとき、あんな事を言ったのだろう。僕からは、自分の唯一の楽しみでもあった友だちと遊ぶことさえもが、なくなっていった。


 僕は完全に孤立すると思った。僕の周りには、誰もいなくなると思っていた。



 だけど、それは違った。こんな最低な僕に、いつまでも付き合ってくれる人がいた。


 それが、かさだった。


 かさだけは、周りに人がいなくなっても一緒にいてくれた。どういう思惑があったのかはわからないけれど、ずっと話をしてくれた。

 親や兄はもちろん、先生にも他の友だちにも頼れなかった僕を、唯一支えてくれたのがかさだった。


 そうして僕は、おとなしく過ごすようになった。かさとはよく遊ぶようになり、お互いの家に遊びに行った。

 かさが遊びに来ているとき、兄は部屋にこもるのでそのときだけは家でも気楽でいられた。

 そして佳世ちゃんもまた、僕への態度を変えることはまったくなかった。クラスが違うので、そもそもほとんど会わないため、僕がしたことを知らない可能性もあるが、佳世ちゃんはいつもくだらないことで笑わせてくれた。



 そして僕がおとなしくなって一か月が過ぎたころ、かさ以外の何人かの男子がふつうに話しかけてくるようになった。僕と話すときはいつも腫物を触るようだったが、いつの間にかそれは終わっていた。

 少しうれしかったけれど、気まずかった。一度空いた距離を簡単に忘れられるほど、僕は単純にはなれなかった。

 その振る舞いが受け入れられなかった僕は、上辺だけの関係を保つようになった。


 僕は小学校を卒業するその日まで、相変わらずかさと一緒にいた。それまでに、かさは僕の誕生日にプレゼントをくれたり、映画に誘ってくれたりした。かさは、わざわざ自分の母に車を頼んで、映画館に連れて行ってくれた。かさの母もかさと同じく、僕にすごくやさしくしてくれた。

 かさがどうしてそこまでしてくれるのかは、考えたけれどわからなかった。


 だけど、本当にうれしかった。

 誰も信用できなかった僕だけれど、かさのことだけは心から信頼できていた。


――――登場人物――――

玉木悠太たまきゆうた 僕

 中学時代はバレーボール部。

 父親と兄との三人暮らし。


永野司ながのつかさ かさ

 小学校からの付き合い。

 僕をまこと呼ぶ。

 京都に住むために勉強をしているらしい。

 人との接し方が似ている。

 小学生のときに転校してきた。

 僕にとっては貴重な、家のことを話せる関係。


前川倖成まえかわこうせい 倖成くん

 中学時代は、僕と同じくバレーボール部。

 二年間クラスも同じでよく話をした。

 僕をまこと呼ぶ。

 高校でもバレーボール部に入った。


中里佳世なかさとかよ 佳世ちゃん

 小学三年生のときに知り合った。

 いつもくだらないことで笑わせてくる愉快な人。

 一緒にコスモスを見に行った。


今井俊いまいしゅん 今井くん

 僕と似た空気を感じる。

 親戚の家で暮らしており、少しだけ僕と境遇が似ている。

 曜子という人ともめたらしい。

 一年生の文化祭のときに、曜子という人ともめた話を聞いた。

 それからは、距離が開いてしまった。


小林正樹こばやしまさき 小林くん

 昔やっていたゲームの話をした。気が合わないわけではない。

 勉強に打ち込んでおり、部活もしている。

 高校一年生のときは室長もしていた。

 修学旅行のときから、僕をたまちゃんと呼ぶようになった。


田原友貴たはらともき 友貴

 中学は同じだが、話したのは高校受験の日が初めて。

 部活をやっている。坊主頭。

 修学旅行のとき、急に僕のことをたまちゃんと呼んできた。


森島もりしまさん

 今井君のことを教えてくれた人。

 冷静な人のようだが、意図はよくわからない。

 曜子という人の友人。


伊藤恵いとうめぐみ 伊藤さん

 吹奏楽部。フルートが上手らしい。

 わかりやすい感情表現をする。

 気さくな人でクラスの中心的存在。

 随分と、僕を気遣ってくれていた。

 僕の字を褒めてくれた。

 何事も一生懸命に取り組むことができる。


江口えぐち先生

 高校一年生のときの担任。担当科目は国語。

 役者めいた話し方をする人。

 表面を繕って核を守る振舞いが、僕に少し似ている。


中川なかがわ先生

 高校二年生のときの担任。担当科目は国語。

 やさしい笑顔が特徴。

 いろいろと見抜かれている気がする。

 あのやさしい笑顔は、葛藤の末に得たもののように見える。

 人にやさしくあれる強さをもっている。


渥美あつみ先生

 高校三年生のときの担任。担当科目は数学。

 弱さを隠さない人。

 だからこそ、信用できる。


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