十一節 クラスマッチ
三学期になり、僕は勉強をいっそう頑張るようになった。そしてそれは周りのみんなも同じで、期末テストのクラス平均は軒並み高かった。先月の模試も、以前より伸びている。
なんとなくで決めた志望校のラインも、かなり見えてきていた。
そうして恒例のクラスマッチが始まった。
友貴は去年と同じくサッカーにしていた。今年は強引な勧誘もなかったので、僕はバレーボールをすることにした。小林君も同じくバレーボールを選んでいたので、一緒に試合に臨んだ。
だが、体はなまり切っており、なんとかまだサーブは入れられたが、足がついていかなかった。
そしてまたも一回戦で負けてしまった僕は、隣でやっていた女子バスケの応援に行った。
たしか、伊藤さんはバスケだったはずだ。
伊藤さんは、お世辞にも上手いとはいえなかったが、一生懸命走っていた。他のメンバーにも経験者はいなかったようで、大差で負けてしまった。
だが、その一生懸命な姿は、素直に称賛に値すると思った。
伊藤さんはきっと、フルートも同じように練習したのだろう。だからこそ、人に褒められるほど上手なのだと思った。
何かに秀でている人は、相応の努力をしているのだということを見せつけられたようだった。
やっぱり、すごい。
伊藤さんも、みんなも。
二年生最後の登校日、終業式が終わった後、先生からの挨拶があった。
「みなさん。三学期も終わり、もう本格的に受験が近づいてきました。
勉強を頑張るのはもちろん大事ですが、根を詰めすぎて体を壊してしまうことのないように。受験は体力もいりますので、休むことも大事です。計画的にじっくり進めて行けば、点数は必ず伸びます。
「そしてみなさんはとてもやさしくていい人だということを、この一年を通して私自身、深く知ることができました。そんな素敵なみなさんが、万全の態勢で受験に臨めるように、ときには自分自身も労わってあげてください。
応援しています。一年間、どうもお世話になりました。みなさんの貴重な一年に、担任という立場でいられたことをうれしく思います。みなさん、ありがとうございました」
先生が深く頭を下げたのを見て、皆一様に同じく頭を下げた。しばらくして顔を上げた先生は、やはりやさしく笑っていた。
「みなさん、また来年、機会があれば授業で会いましょう。そのときはどうぞよろしくお願いします。では、室長さん」
「はい、起立。礼」
僕にとっても、このクラスは楽しかった。
居心地がよくて、みんなが温かい、いいクラスだった。
みんなの頑張りにあてられて、僕も少し頑張ることができた。
来年も、頑張ろう。
いつも、薄明かりに照らされていた。
周りはいつも、輝いて見えた。
二章 高校生編 二年生
――――登場人物――――
玉木悠太 僕
中学時代はバレーボール部。
父親と兄との三人暮らし。
永野司 かさ
小学校からの付き合い。
僕をまこと呼ぶ。
京都に住むために勉強をしているらしい。
前川倖成 倖成くん
中学時代は、僕と同じくバレーボール部。
二年間クラスも同じでよく話をした。
僕をまこと呼ぶ。
高校でもバレーボール部に入った。
今井俊 今井くん
僕と似た空気を感じる。
親戚の家で暮らしており、少しだけ僕と境遇が似ている。
曜子という人ともめたらしい。
一年生の文化祭のときに、曜子という人ともめた話を聞いた。
それからは、距離が開いてしまった。
小林正樹 小林くん
昔やっていたゲームの話をした。気が合わないわけではない。
勉強に打ち込んでおり、部活もしている。
高校一年生のときは室長もしていた。
修学旅行のときから、僕をたまちゃんと呼ぶようになった。
田原友貴 友貴
中学は同じだが、話したのは高校受験の日が初めて。
部活をやっている。坊主頭。
修学旅行のとき、急に僕のことをたまちゃんと呼んできた。
森島さん
今井君のことを教えてくれた人。
冷静な人のようだが、意図はよくわからない。
曜子という人の友人。
伊藤恵 伊藤さん
吹奏楽部。フルートが上手らしい。
わかりやすい感情表現をする。
気さくな人でクラスの中心的存在。
随分と、僕を気遣ってくれていた。
何事も一生懸命に取り組むことができる。
江口先生
高校一年生のときの担任。担当科目は国語。
役者めいた話し方をする人。
表面を繕って核を守る振舞いが、僕に少し似ている。
中川先生
高校二年生のときの担任。担当科目は国語。
やさしい笑顔が特徴。
いろいろと見抜かれている気がする。
あのやさしい笑顔は、葛藤の末に得たもののように見える。
人にやさしくあれる強さをもっている。




