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WizardZ~異端者~  作者: みしぇる
2/3

2. 高速飛行(1)

吹き付ける風が冷たくて痛い。

耳の奥まで轟音で痛い。

目を開けているのも辛い。


だけど、飛ぶスピードは緩められない。


真正面に現れたガラスの壁面を蹴って、直角に曲がる。

蹴り去ったあとは、銃弾の嵐で粉々に砕け散っている。

こんなビル街の中で容赦なく撃ってくるし。

私には当たらないけど、景観くらいは守って欲しいよね。


絶えない射線の元へ、右手に生み出した火球を投げる。

着弾後そこに大きな爆発が起きる。

それでもまた、射線は再び伸びて来る。

何言ってるのか分からないけど、多分、

「私を撃ち落とせ!」みたいなことを叫んでる。


流線形姿勢でさらに加速する。

正面のビルへ火球を放ち、貫通させ、そのまま抜ける。

ちょっと熱い。

私を包む風のヴェールは、まとわりつく火の粉を弾く。


通り抜けて来た30階位の高層ビルへ振り向いて、両手で大きな火球を投げつけた。

ぶつかった瞬間に爆ぜて、数階分を吹き飛ばし、私の前に建っていたビルは轟音を響かせて崩れ落ちた。


立ち込めた砂埃の中にそっと降りて、私は右耳に右手を当てた。


「こちら、ジュリ。取り敢えず、こっちは予定通り遂行中。そっちはどう?」


テレパシーなのにスマホの仕草をしてしまう。

私だけじゃないけど。


「こちら、エド。飛んでんだから、話しかけんな」

「連絡は密にって言ったよね!」

「…目標まであと5分。終わりゃ連絡すっから!以上」


切った!

ムカッとしたから、薄っすら見えたビルにまた火球を投げて爆発させた。

離脱するためだよ!

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