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1. ゼロ
冬の陽射しが優しい。
小高い丘にある大きな白い邸宅。
その庭にあるガラス張りの温室は、静かに煌めく。
温室の扉を開いて、足を踏み入れる。
庭と同じ緑の芝生に白い敷石が奥へ続く。
種類様々な植物が並び、その花々に彩り豊かな蝶が舞う。
中央、開けた場所に、彼はいた。
白いハット。
白いスーツ。
白い革靴。
白い椅子に足を組んで座り、白い手袋に包まれた指先で白磁のティーカップを唇へ運ぶ。
その香りの余韻を楽しんだ後、静かにカップをソーサーに戻し、彼はこちらへ視線をゆっくり移した。
そして、微笑んだ。
「やあ、紅茶を1杯、いかがかな?」