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ショートショート9月~

つかれている

作者: たかさば
掲載日:2020/09/21

ずいぶん、疲れている。

このところ、頭の使いすぎなのだ。


ずいぶん、疲れている。

このところ、気の使いすぎなのだ。


ああ、疲れた。


これは風呂に浸かって、体を癒さねば。


…ああ、疲れた。



ざぶりと熱い湯に浸かり、ぼんやり蛇口のしずくを見送る。


疲れが、取れてゆく…?


ざぶりと熱い湯に浸かり、ぼんやり洗面器のふちを見つめる。


今日も頭、使ったなあ…。


ざぶりと熱い湯に浸かり、ぼんやり湯をすくい…顔に叩きつける。


今日も、気を使ったなあ…。


僕は、今、疲れを落としている。

今、この熱い湯の中は、僕の疲れでいっぱいだ。


180リットルの、39度のお湯の中に、僕の疲れがわんさか浮かんでいる。

180リットルの、39度のお湯の中に、僕の疲れがわんさか沈んでいる。


疲れを落とした僕は、爽やかな気持ちで風呂を出た。



疲れの落ちた体を、やわらかいタオルで包み込む。


明日は疲れませんように。

明日は変なところで突かれませんように。

明日はおかしな人になつかれませんように。

明日は落ちこぼれ認定の鐘が撞かれませんように。


願いを思い浮かべながら、疲れていた体から水分をふき取ってゆく。


全身さっぱりとした体には、疲れなど…微塵も残っていない。


疲れは取れた、しかし。


…この、えもいわれぬ様な、脱力感は何だ、疲れているとしか思えない。

…この、えもいわれぬ様な、圧し掛かる様な重さは何だ、疲れているとしか思えない。


ため息をひとつ、つきながら…ドライヤーを使って、髪を乾かす。


おかしいな、疲れは取れたはずなのに。

つかの間の入浴では…疲労感は落としきれないとでも、言うのか?


髪が乾いたので、使い終わったドライヤーを定位置に戻し…ふと、洗面台の鏡を見た。

…湯上りの、疲れた顔をした…素っ裸のおっさんが、一人、二人、三人…。


「…つか、人、多くね?」


…僕は、ずいぶん派手に、憑かれて、いる。


疲れは取れたのに、憑かれたままだ。



僕は背後の肉体を持たない人々を引っさげて、裸のままつかつかとキッチンに向かい、冷えた牛乳をごくりと飲んだ。

開きっぱなしの冷蔵庫の棚に見えるのは、…うん、朝方漬け込んだキュウリと白菜も、いい感じに漬かってるな。

粗塩と出汁醤油をふんだんに使った、僕特製の漬物。


疲れた日の湯上りには、旨いつまみで晩酌、それが結局、一番なのさ。


疲れは取れた、あとは後ろの奴らを酒の力を借りて吹き飛ばすだけ。

疲労感に負けて憑かれてはいるけれど、本来僕はこんなの付く筈もないくらい漲ってる筈なのさ。


…とっておきの日本酒を棚から出して、とっておきの徳利とお猪口を使って飲んでやろう。




・・・ツッカツッカツッカツッカ、ツツツツ♪


僕のスマホがいつの間にか鳴っている…いつから鳴ってたんだ、着信音が聴いたことのない旋律を奏でている。


「やあ、大塚君、久しぶり。」


気を使わずともよい友人との会話を楽しみながら…酒飲みの夜は、更けていった。





翌朝、僕は気分爽快で目が覚めた。

「疲れ」も「憑かれ」も取れた僕は、ずいぶんすっきりとしている。


今日も一日、がんばれそうだ、いや、がんばろう、がんばるのだ!!


・・・「つか」に付かれた僕は、いないのさ!!

さ、顔洗ってこよ!!



僕はどかどかと洗面所に向かい…下の階の人から天井アタック(僕にとっては床攻撃)を受けてしまったので、あった。


なお、下の階から…つつかれた訳ですよ(。>д<)

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― 新着の感想 ―
[一言] ほぉほぉ。 疲れも憑かれも取れてよかったですね。 風呂と酒! いいですよねぇ。風呂で疲れが取りたいです。湯船に浸かったのはいつのことか……。
[良い点] うまい! [気になる点] 最近お疲れ様のようで… [一言] 自分も重いですね。ぐぐぐぐぐ
2020/09/21 21:31 退会済み
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