その頃、ミレドは・・・
仕事で1日、投稿を空けしましたが、更新します。もう1話、書き終え次第、投稿します。
朝、
ミレドは西側にあるもう一つの封鎖されたゲートの前にいた。
全てはこのゲートから始まったそうだ。
「さあて、薮から何が出るやらのう。」
ゲート付近の家からは誰の気配もしない。
そんな中でポツンと一人でいる。
この仕事は自分がしなければならない。
―――なぜならネスクに頼むとまた厄介事を引き連れて二次災害が発生するからだ。
二ヶ月前、
ゲートで突如、魔物が溢れ出したそうだ。
まだ強固な結界を発動させていなかった為、被害を多大に被った。
街への被害は大きく、入口付近の住宅は未だにその爪痕を残しているようだ。
ここに近付く途中人っ子一人、誰とも会っていない。どうやら、住居を移しているようだ。
住民にも被害がおよび、更に急な出撃で戦った兵士の約四割が重傷、又は死亡。
なんとかゲートを封鎖したがそれ以降、封鎖されたままである。
そして、今から一ヶ月前、魔物の襲撃の傷跡が残る中、内乱者による暴動が発生。
何とか退け強固な結界を張ったものの、
その際の毒ガスが巻き散らかされ、飲料水、食料は全てその時の毒ガスで食べれない。
更に外の森に出れば内乱者の襲撃に遭い、八方塞がり。
保存食は多少残ってはいるが残りも少ないらしい。衰弱の一途をたどり今に至るようだ。
今の食料でもって七日、
その間に何とかしなければならない。
「封鎖は‥‥‥‥脆いのう。こんなの力を使うまでも無いのう。」
ゲートと外界の境界である結界へと指をちょんっと、突つく。すると、
バリンッ!
砕けた音と共にゲートが光り出す。
そのまま中へと入る。
南のゲートの先の森と同様
光の無い薄暗い森が広がっている。
「【探知】」
【探知】を使い魔力を探る。やはり、といってくらい、魔物がうろうろしている魔力を感じる。
「どうやら、薮から蛇じゃったのう。」
多数の魔力が反応する。
その数は数え切れない。頭の中のマップが赤い点で埋め尽くされマップ上が真っ赤に染まる。
「ゲート内に入られるのも面倒じゃし、封鎖しておくかのう。」
振り返りゲートの前で魔法を発動する。
「【光の湾曲・隠】」
ゲートが光の粒子に包まれる。
―――そして、消えた。
【光の湾曲・隠<フォトン・ハイド>】
光でねじ曲げて物体を隠す封印魔法の一種。
物体を光の粒子が包み込み、物体その物を透明にさせて人が触れないようにする。
「これでよかろう。
‥‥‥さて、やるかのう。」
肩や手をゴキゴキならして体を解す。
凄い速さで赤い点が近寄ってくる。
どうやらこちらの気配と強い魔力を察知して押し寄せて来ているようだ。
魔物は強い魔力を持つ者を襲う性質を持っている。そしてその魔力を喰らい、更に強くなっていく。赤い目がそこら中に現れた。
前方、後方。
全ての方向からミレド目掛けて飛び掛かる。
「【雷電】」
ミレドを中心に高電力の雷が発生して飛び掛かる魔物を無へと帰す。
押し迫った魔物は先程の攻撃で全て居なくなったが直ぐに迫って来ている。
頭のマップ上が再び赤色に染まる。
「数が多いのう。‥‥‥‥はあ、仕方ないのう。少しあやつの真似をするかのう。」
深いため息を溢して全身に魔力を巡らせる。
ミレドの体からバチバチと雷が走る。
「【纏・雷】」
黄色の雷がミレドの体を包む。白銀の髪の毛が電気に当てられて毛先が針のように鋭く尖る。
キーンという音がする。
それと同時に雷が白に変わる。
「【迅雷】」
再び魔物がミレドに飛び掛かる。
しかし、
飛び掛かった魔物が縦に真っ二つに切れる。
白い雷の閃光が魔物の群れを一匹ずつ
一刀両断にしていく。
背後から飛び掛かる魔物は回し蹴り
左右から迫る魔物は左右の爪による空気の刃
前方の魔物は白い雷。
それらがほんの一コンマの間に起こる。
白い光の嵐が魔物を蹂躙していく。
飛び掛かる魔物を斬って、薙いで、千切って―――ありとあらゆる攻撃方法で潰していく。
スタミナも切れること無く、魔力も尽きること無く、全ての魔物を狩り尽くすまでその攻撃が止むことは無い。
飛び散る血がミレドの全身を覆う雷に触れると一瞬で蒸発される。
ミレドに触れる魔物は例外無くその身の雷で塵に帰る。
ミレド自身は【纏・雷】を使っただけ。
彼女自身は元から【聖】属性の魔力をその身に宿している。そのため、ネスクが使う合成魔法【聖雷】と同じように変化した。
魔力の消耗もネスクと比べると極端に低くネスクの【聖雷】より、更に速く力も倍以上の強さ。
「!!」
思わず、咄嗟に後ろへ飛ぶ。
受け止めることも恐らく出来たであろうが油断しないために体が勝手に動いた。
ズドンッ!という音。
地面が抉れ自分がいた場所に何かが撃ち込まれる。
先程から相手している魔物より一際巨大な魔物が現れる。
その攻撃はその魔物の腕による攻撃だ。
「どうやらコヤツが親玉のようじゃの。」
めり込んだその腕を引き抜いて再び腕を振るう。上へ飛び避けると、
もう片方の腕が自身目掛けて飛んで来る。
手でガードして後ろに吹っ飛ぶ。
宙でくるくる回り、体操選手のように地面に前傾姿勢で足を付けて着地する。
直ぐに魔力を巡らせて前方へと直ぐに踏み込む。
「【鋭爪】」
光が龍の爪のような籠手の形を作る。
【鋭爪<クク>】
龍の爪を模して光の籠手を形作る。現時点では聖龍であるミレドのみが使用する魔法で生み出した武器。
ヘヴラ戦で以前使った限定魔法【聖龍鋭爪】より威力は落ちる物の魔力を少量で制御でき、【纏・雷】と合わせる絶大な威力を発揮する。
デカい図体の割に早い動きで再び腕を振ってくる。
しかし、
ミレドの残像に当たるだけミレドを捉えることが出来ない。
徐々に詰められていき魔物の懐に入る。
「‥‥‥‥‥‥終いじゃ。」
光の籠手を振るうと、
ミレドの雷がその魔物を貫く。
「【紫電一閃】」
巨大なその魔物が崩れ落ち血溜まりに沈み、動かなくなる。
「さて、次は後片付けじゃな。」
指揮をしていた魔物を倒した事で周りに残っている魔物の動きが止まり逃げ出そうとしている。
だが、逃がすつもりなど毛頭無い。要らぬ面倒事を残さないために全てここで処理する。
残っている魔物へと歩みよって行く。
しかし、
「!?」
急に影が出来た為振り返ると、倒した筈の巨体の魔物の手が自分へと伸ばされていた。
ぎゅっと手で握り込まれて捕まり動けない。
「ぐっ、離さんか!!」
魔力を流して雷をバチバチと弾けさせて、
振りほどこうとするも緩めることなくそのまま。
「!!なんじゃ、一体!?」
急に魔物が風船のように膨らんで行く。
そして、
「!!!」
魔物の体が弾けると共に光と轟音に包まれる。
その日の昼頃、
ネスク達が患者の治療でバタバタしている中、ドルイドの西側の森の一部が大きなクレータを残して吹き飛んだ。
爆発に巻き込まれたミレドの生死は如何に!!
次回も読んで下さると幸いです。