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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2章 亜人連合国騒乱編
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ネスク、ドルイド族のために

 

(時間が無い。さっさとやるぞ。

 ソフィア、お前も頼む!!この空間にいる全員を対象に、症状・合併症の進行状況!!)


『‥‥‥はあ、了解。概要と連携して進行状況のスキャンを開始します。』


  何故か呆れのため息が響く。


―――というか、あの無機質の声。概要の声だったのか。

(今考えるのは後にしよう。さて、次だ。)

  頭をぶんぶん振って切り替える。


「【探知(サーチ)】」

【探知】を使い、この空間にいる全員の人数を把握する。

「100、‥‥‥‥150、‥‥‥‥217、そこから動き回っている人とクーを除いて‥‥‥198人か。

……多いな。けど、やるしか…道がない。」


(魔力を細く伸ばすイメージ‥‥‥‥『糸』!)


  見えない魔力の糸がネスクの体から伸びて行く。

探知(サーチ)】で引っ掛かり動きを止めている反応。患者の体の一部に触れて繋がる。


『スキャン完了しました。結果を表示します。


 ヒュドラの毒[擬]

 198人中145人感染


 合併症による進行状況

 重症者 53人(内、40人が『汚血』による者)

  (残りの13人が細胞の腐敗進行による物)

 軽症者 92人(全員『汚血』症状の一歩手前)


 その他

 傷口から細菌による化膿 23人

 バジリスクの毒 30人

 』


「バジリスクの毒って何だ?」

  首を傾げて問うと表示が切り替わる。

『バジリスクの毒

 蛇の魔物・バジリスクの毒。

 強力な毒でくらうと高熱を発症し、意識、魔力、体力、水分を奪い、三週間の間に患者を苦しめ死に至らしめる。ヒュドラ毒[擬]と違い進行が早い為、

早急な対応が必要である。』


「不味いな、これは‥‥‥‥」

  この30人と重症者を早くどうにかしないと死人が出る。

(ソフィア、対処法と解毒剤の作り方を頼む。急ぎで。)


『今まで使わないと思ったら、急にコレです。貴方は全く、書庫遣いが荒いですね。‥‥‥では、対処法を探しますので少々持たせて下さい。』


(ハハハ、悪いな。けど、彼等の為に頼む。)

  ソフィアの愚痴に思わず笑ってしまう。

 そして、忙しなく動く白服の彼等を見る。その姿には疲労が蓄積しているのか皆動きが鈍くフラフラしているように見える。


「こっちも始めるか。」

  目を閉じて体の中心の魔力を先程、患者に付けた全ての糸の管に流す。ゆっくり、焦らずに。

  あまり多い量を流してしまうと自分の魔力に変換する前に体を壊してしまうため細心の注意を払いながら流していく。


「ネスク様!!この糸は一体なんですか?」

  クーシェが駆けて戻ってきた。


「クーか。この糸が見えるのか、流石だな。」

  五感が鋭い彼女にはこの極細の糸が見えるようだ。

「ネスク様大丈夫なのですか?顔色があまりよろしくないようですが‥‥‥‥。」

  心配そうにこちらを見つめる。


(ぐっ、流石に魔力の減りが早いな……)

  200人近くいる人へ魔力を流すことは、"自殺行為"に等しい。通常の人であれば2、3人が限度だ。

 それを一人で行っているのだから通常の人の何倍も自身の体に負荷掛けているのだ。


 ピコンと音が頭の中に流れる。



  目の前の画面が切り替わる。


『バジリスクの毒対処法

 1.熱いお湯に全身を付ける。

 2.そのお湯に魔石か、他の人の魔力を流す

 3.お湯から引き上げて回復魔法と状態回復魔法、又はそれに類する物を使用。』


(これは‥‥‥‥)


 これが今出来る者は、今のこの中では一人しかいない。

「それよりクーシェ、こっちに来て蹲んでくれ。」

  クーシェは首を傾げて近付いて蹲む。

探知(サーチ)】と書庫でバジリスクの毒の患者と重症者の患者にマーキングを付ける。


「ふぇ!?」

  おでことおでこをくっ付ける。

 その行為にクーシェは何事かと動揺をし、心無しか顔が赤くなっている。

  今はそんな余裕が無い。目を閉じて必要な情報の整理をしていく。

(対処法と【探知(サーチ)】によるマーキング。重症者の処置、ついでにその他の症状の人、っと)

  そして、クーシェへと情報を流す。

「【接続(コネクト)】」


「これ、は!」

  クーシェが流れ込んでくる情報に驚いている。

 さっきの真っ赤になっていた顔が一気に冷えたようだ。


「この人達を頼む。俺は此処から動けないから。」

 空いている片方の手でクーシェの頭を優しく一撫でして笑い掛ける。

「分かりました!この人達の事はお任せ下さい!!」

  クーシェが走って戻っていく。

(さて‥‥‥‥、早くしてくれよ、ポーア。俺もこのままではかなり……ヤバイ。)



 それから1時間、

  徐々に減っていく魔力、それにより段々力が抜けていく。それを感じていると、後ろの石扉が開く音がする。

「はあ、はあ、お待たせしました!!持って参りました」

  振り替えると額に汗を出しながら、ポーアが大量の薬草を籠に詰めるだけ詰めて戻ってきた。


「こっちも調合する準備が出来ました。」

 声がした方を振り向くとヘイズさんとその部下の人達、数人がやって来た。


「‥‥‥‥やっとか、さて、こっちも動くかな。」

  触れている女性にも魔力の糸をくっ付けて立ち上がろうとする。


「っ!」

  立ち眩みのようにフラッとくる。

 何とか立ち上がるも、膝はガクガクする。

まるで生まれたての子鹿である。

「ネスク様?!大丈夫ですか?」

  駆け寄ってきたポーアが咄嗟に肩を貸してくれる。


「ああ、それより材料は集まったのか?」


「はい!集まりました。ほら!」

  籠の中を見せてくれる。頼んでおいた薬草なのか大量の草が入っている。


  ピコン!

 再び頭の中に音が流れる。


『マスター、ご指示通り解毒剤の作り方のレシピを用意しました。どう致しますか?』


(ヘイズさんとその部下の人に頼む。後、ポーアにも一応頼む。)

『了解しました。マスターの発動中の【接続(コネクト)】のリンク先を拡張、リンク先にレシピを添付します。』


「何ですか?これは?」

 ヘイズさんがプレートに首を傾げている。

  自分の周辺にいる人達の前にプレートが表示される。

「ネスク様、これは何ですか?」

  ポーアが尋ねて来る。その表情には驚きと興味の色が窺える。


「‥‥‥‥解毒剤の作り方だ。」


  ネスクのその言葉に一斉にこっちを見てくる。


 いや、驚いているのは分かるが早くしてくれ。

 俺が持ちそうに無いんだが。


  ネスクのぼやきを知るものはいない。口に出す余裕が無いからだ。

今回はここまでにします。大分長い話になってしまいました。

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