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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2章 亜人連合国騒乱編
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ドルイド族の貴族

更新が1日空きましたが更新します。



「思いの外、……厄介なことになっておる。

としか言えん。」

気だるげに体を起こしながらミレドが説明してくれる。


 頭が痛むのか先程から頭を抑えている。

ミレドも頭痛を引き起こすんだな。



「まず、反乱者共じゃが、予想しておった通り

結界外の森の何処かに潜んでおるそうじゃ。

それに、じゃ。

奴等の指導者が『ナザラ・ツェリア・ペルメス』という人物らしい。」


「また"ペルメス"か。」

腕を組みながらネスクは考える。


(ペルメスということは‥‥‥‥。)

クーシェの横に腰かけたポーアに視線を送る。その視線に気付いたポーアが口を開く。


「‥‥‥‥ナザラ・ツェリア・ペルメスは、

私とお兄様の叔父。

お父様の兄弟にあたる人物です。叔父様は最高責任者の次に責任重要な職、『外務』を担当しておりました。」


「そんな人物がなぜ、内乱なんか起こしたんだ?」


 考えられるとしたら――、


外務という職に不満を持っているか、


それか国その物の乗っ取り、か。



「‥‥‥‥‥‥そうですわね。

皆様にもお話しておきましょう。

お父様が亡くなった後、元々は、叔父様が後を継ぐ筈でした。

‥‥‥‥‥しかし、叔父様の性格を知っているドルイド族のほぼ全員がお兄様を推しました。

 その結果、民衆に対して横暴で乱暴な叔父様が上に立つより、お父様の仕事を少しでもお手伝いをして目にしていらしたお兄様が必然的に選ばれました。

 そして、叔父様は反感を持っていた一部の貴族と民衆を束ねて内乱を起こしたということです。」


「ドルイド族にも貴族と平民があるのか?」

話の中に出て来た事を聞く。


「はい、ございます。」


その昔、

ペルメス王国と聖王国イブとの戦の際、

ドルイドは、"その独特な魔法"でその戦にて多大な功績を残したそうだ。

―――女神セレネが教えた古代魔法をドルイド独自の魔法へと改良をしたドルイド族の一部を戦後、貴族としたそうだ。


今のドルイドの比率でいうと、

戦後当時のドルイドの貴族が三割、

残りがドルイド族の繁栄を支えている平民上がりの貴族が七割といったところだ。

 当然、平民上がりの貴族と元々貴族だった者との中は悪い。


「お父様と伯父様は元々の貴族ですが、

お兄様と私は、母が平民育ちでしたので

その血を継いだ私達は

―――叔父様から忌み嫌われておりました。

そんな中でお兄様が選ばれました。

後の事は‥‥‥‥。」


何となくだが、

後の事は察することができる。


平民の血が入ったポーアやお兄さんを当然、元々貴族だった者が認める筈がない。

 その二人が自分達より上の立場に就くなど論外。しかし、自分達では最高責任者の地位には就けない。

 そんな連中と彼女の叔父が次に起こすことといえば反乱、である。


しかし、貴族共だけですれば当然、数で負ける。


―――そこで恐らく、不満や反感を持っている平民を焚き付けることでその差を埋めるようにして、内乱を起こした。

 貴族だけならともかく、平民の人達があちら側にいるためお兄さんも手をこまねいた。

その結果、

 此方が弱くなり、あちらが強くなっているといったところだろう。


「何となくだが、分かった。

それで、俺達はこれからどうするんだ?」


「こちらに着く前にお伝えした通り。

ミレド様は我々にお力を、ネスク様とクーシェ様には、もっと別の事をお任せしたいのです。」

「別の事、ですか?」

「はい、クーシェ様。その事につきまして明日、お二人にお任せしたいと存じます。宜しいでしょうか?」


「ああ」「はい」

顔を見合わせてクーシェと一緒に即返事を返す。

「では、明日の朝にお迎えに上がります。」


*****


木のほのかな香りと温もりがある部屋に

設置されたベッドに寝転がる。


夜も更けてきたため、

明日に備えて休むことにした。


 階段を上がって直ぐにある部屋がネスク、

その上にある部屋がクーシェ、

その更に上をミレドが使うことになった。


 ポーアは自分の家にある部屋に一度、

戻ることになった。


 天井を見上げながら、

今日の出来事を思い返す。


 ポーアの魔法、一角狼との戦い、ドルイドの村、会議、憎悪の視線、そして、襲撃。

1日がとても長かった。様々な思いが今日1日で沸き上がった。


「‥‥‥‥疲れた。」

 外の光が木の一部を切り抜き作られた窓から微かに漏れて入って来る。


 頭の上に腕を置き、顔を隠す。


(久しぶりにクーシェやミレド、ポーア以外の人にあったな。でも、あまり良くは思われてない、か。)


目を瞑ると皆の顔が浮かび上がる。そして、ふと彼女の顔が浮かび上がる。

(俺が亡くなって()()、泣いてないといいな。)

かつての自分が唯一、心の片隅に残し、全てに絶望しても捨てなかった人物の心配をする。

 もう戻ることの出来ない別の世界を思い描きながらその人物を想う。

小夜って誰?

と思う方いらっしゃると思いますが、次回登場します。因みに次回は一度、ネスクから離れて別の人に視点が切り替わります。

この話は前々から考えていた話なのですが、何時話を出すか悩んだ結果、ドルイドの話の切りが良い所で出すことにしました。次回をお楽しみにしていて下さい。

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