書庫と白い少女と自分の情報
『情報を更新・・・・・・アップロード完了。
情報の上書き・修正を開始・・・・終了
使用者情報の上書きを開始・・・完了
ようこそ、我が主』
頭の中に無機質な声が響く。
光に包まれた後、
暗転していた視界が開けていく。
目の前に自分より高い棚が広がっている。
どこもかしこも、ずっしりとした本が所狭しと並んでいる。
―――天井はステンドグラスになっている。光がステンドグラスを通じて様々な光を放っている。 赤、青、黄、緑と様々な光だ。
‥‥‥‥さて、鑑賞に呆けてる場合ではない。
しかし、この中から探している情報を探すのは―――骨が折れそうだ...。
周りは何処を見ても棚に本。本。本。本。本。
この中から必要な本を探すというのは、
"沙漠の中から針を探す"様なものだ。
まともに探していては時間がいくらあっても足りない。
さてさて、どうしたものか・・・・。
その余りにも膨大な量の本の中から探す作業を前に、立ち眩みすら覚える程である。気が遠くなりそうだ。
「何かお困りでしょうか、マスター……。」
声がした方へ振り返ると、少女が立っていた。先程までいなかったと思うが…。
――白い髪に血のように真っ赤な目
全身が白いドレスを身に纏うどこか、『兎』
を想像させる少女がいた。
「きみは……」
「私は‥‥‥‥誰でもありません。
ここを管理し、この書庫を守り続ける存在です。前の主からは【ダンタリアン】と呼ばれていましたが、‥‥元々、名前は存在しません。」
無表情のその少女はまるでそう答えるのが義務とでも言わんばかりに淡々と答える。
その答えの中で疑問に思える言葉があった。
「‥‥‥‥主?」
「鍵を継承した者を指す言葉です。要するにあなたの事です。我が主様。」
「‥‥‥‥。」
‥‥‥‥やはり、自分の事のようだ。
"マスター"って言葉。アニメ以外で初めて生で使っている所を聞いた。
――『マスター』というのはやめて欲しい。
何というか‥‥むず痒い。
でも、今の僕は記憶がないので自分の名前も覚えていない。
ん?というか『アニメ』って何だ?急に浮かんだから使ったが‥‥‥‥まあいいか。
「‥‥取り敢えず僕に関する情報が欲しいかな。出来れば自分の記憶に関して‥‥!」
"マスター"と呼ぶのをやめて貰うためにも。
まずは自分の事を知りたい。
「主様は自分のどのような情報が必要なのでしょうか。」
「全部、お願い!!
僕は今、自分の事を何一つ覚えてない状態なんだ。自分の名前すらも覚えて無い。いわゆる『記憶喪失』という奴かな?。」
その言葉が合っているかも分からないが、
自然に出た言葉なのだからそうなのだろう。
「‥‥‥‥なるほど。では、取り敢えず【確認板開示】と言ってくれませんか?」
???
首を傾げながら少女に言われるがまま、
「【確認板開示】」
と呟く。
―――すると、自分の目の前に透き通った板が映し出される。
【????】 ▶️
14歳 男 レベル10 職業なし
スキル 言語理解 剣術 書庫の知恵
女神の加護
?ぬる?つる? ?あ?む?ま
??る?ゆ?
称号 幸せを運ぶ者
女神に愛された者
禁書庫の護り手
分からないスキルをタッチしてみる、
言語理解
あらゆる世界の言語や文字を理解することができる
書庫の知恵
書庫で調べたことを外でも閲覧でき、又、他の人にも見せることができる
女神の加護
状態異常の無効
あらゆる攻撃に耐性を持たせ、一部の力の補助をするスキル
・・・・どうやら、石碑の文字が読めたのはこの【言語理解】によるものらしい。
文字化けしているものをタッチしてみるも、
【閲覧不能】【情報が破損しております】
と表示される。
スキルの説明を読み終わり最初のプレートに戻ると、
最初のプレートに矢印が有ることに気付づく。
名前横にある矢印に触れてみる。すると、
十六夜 大朏 (いざよい おおづき)
享年 17歳
前世の自分。???により死亡。
??? ??? ???? によるショックのあまり????に遅れ、??????。
ネスク
14歳
今の身体の名前。
???に生まれ住んでいたが、????による????に数ヶ月前に襲われ【聖域】に落ち延びるもそこで力尽きる。