日常その4
「ふう、食った、食った。」
ネスクはお腹を擦りながら、
二階にある自分の部屋へと戻る。家の中もポーアが来たこともあり、自分の寝床を二階にある部屋へと移動した。
一ヶ月でこの家もリフォームを更にしていた。
一階はリビングとキッチンがある。扉が階段の横に出入りする扉がある。
一応空き部屋も作った。
二階が各部屋となっている。階段を上がってすぐに廊下があり、
廊下を挟んで真正面がネスクの部屋、その左がミレド、その横がクーシェ、そしてその下がポーアとなっている。
後は空き部屋が三、四部屋、空き部屋を作ってある。
「さて、‥‥‥‥行くか。」
着替えと布を部屋に設置した戸棚から取り出し今日作った小屋へと向かう。部屋を出て一階へと降り家の扉を開ける。
「こんな時間に何処に行くのじゃ?ネスクよ。」
扉を開けて外へ出ようとすると二階から声が掛けられた。
「ミレドか、ちょっと野暮用で。」
「時間も遅いし、早う戻るんじゃよ。」
「おう!」
短く返答し小屋へと向かう。
外は月明かりである程度は道が見える。
****
小屋の中は暗闇が広がっている。
月が出ているとはいえ、やはり光が無いため見えない。
(灯りを付けないとここまで暗いのか。昼間に付けるべきだったかな。)
「【光】」
手元が見えないので右手に光の玉を作り、足元を確認する。
(‥‥‥‥完全に乾いているな。)
完全に乾いていることを確認し、アイテムポーチを取り出し中から取り出す。
「ラ~ク~リ~マ~!!」
小屋の中をネスクの声が反響する。
― とあるアニメの猫型ロボット風に言ってみた。
(…………人だと虚しいな。
やっぱり、ここにソフィアがいたら、ノリが良いんだけどな。まあ、居ないものはしょうがない。)
心の中で少し残念がりながらその魔結晶を壁に沿って、壁の端に四つを【繋ぐ土】でくっ付ける。
そして魔結晶に魔力を込める。
灯りが点き昼間のように明るくなる。
「さて、入るか。」
着ていた服を脱いだ服を籠へと入れて、桶を持ち掘った穴へと近づき、中心の水晶へと魔力を飛ばす。魔力を飛ばされ水晶に当たると、水晶から水が溢れだし次第に穴全てに水が満ちる。水から湯気が上がっている。いわゆる風呂である。
お湯を掛けて中へと入る。
「ふぅ、いい湯だな。極楽、極楽♪」
人肌並みのお湯加減にポツリと感想が漏れる。
(何とか再現出来て良かった。まさか、異世界で風呂に入ることが出来るとは)
ネスクは湯船に浸かりながらそう呟く。
ネスクが昼間に作っていた物は風呂である。
この風呂は湯船に浸かることで【浄化】で体を洗うことが可能である。また掃除も楽で床に設置した水晶に触れるだけで掃除もしてくれる便利な風呂である。
(でも、‥‥‥‥やっぱりシャンプーとかは欲しい所だ。今度試してみよう)
一息付きついて思考する。
上を見上げると、吹き抜けになっている天井から月の光が漏れだす。
取り付けた窓へと視線を向ける。
湖の向こうに三日月が上る。幻想的な光景を眺めながら、ネスクは風呂を楽しむ。
*****
<ポーア>
「はあ、どうしましょうか。」
自分の部屋に設置されている窓から外を見つめながら外を眺める。
思わずポツリと抱えていることにため息を溢してしまう。
湖の方に三日月が上り、水面がキラキラと光る。
(ん?‥‥‥‥‥‥ネスク様?)
ふと下へ視線を向けると、月明かりに照らされネスクが丁度、小屋へと入る場面が目に入る。
(あれは、確か‥‥昼間にネスク様が作っていらっしゃった小屋、あんな所で何を。
まあ、深くは探求しない方が良さそうですね。)
疑問を抱くも見ないふりをする事にする。
自身もまだ、皆に教えていない事があるからだ。
しばらくして、
(‥‥‥‥遅いですね。少し、見に行ってみましょうか。)
窓から離れ扉を開ける。
他の二人の魔力の気配も探って見るが、
二人はもう寝たのか寝床に入り動かない。
忍び足で起こさないように一階へと階段を降り、扉を開けて外へと出る。
裏手の小屋へと近付き、扉を躊躇いながら開ける。
(何もなければよろしいのですが‥‥)
ガチャリ
「「えっ?」」
扉を開けるとネスクがいて視線が合う。
そして、裸のネスクに自然と下へと目線を向けてしまう。顔が真っ赤になり、
そして――――、
「きゃあああああああああああああ!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
二人の声が小屋を突き抜けて三日月の昇る空を反響していった。
答えは風呂でした。
そして、ポーアと遭遇、
ぎゃあああああ・・・・・・です。