魔法の言葉
奥は入り口より広くなっており、水が踝程まで溜まっている。周りは相変わらず鉱石が光っており、昼のように明るい。一本道のようにもなっている。
何があるかわからないため警戒して、慎重に歩いていく。
「‥‥‥‥‥‥。」
喉を鳴らす。そして、額に先程の顔を洗った際の水とは別の。―――冷たい汗が伝う。
‥‥‥‥しかし、何も起きない。
ここは一体何なのだろうか…。
嫌な想像をあれこれ考えていると数m先に両開きの石扉がある。
―――自分の体の何倍もある扉。近づいてみると分かるが人間一人ましてや子供ではびくともしないだろう。
開く側の隙間から指を少し入れ引いてみる。
―――びくともしない。
近くに何か仕掛けが無いかと思い探ってみる。
―――何もない。
引くのではなく押すのだ!押してみる!
――――動かない。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
少し考えみるも辺りに何もない。
押しても引いても動かない。
う~~~~ん………腕を組み考える。
・・・・・・・・・・・。
――――――――――うん、もう焼けだ。
そう判断し僕は一言だけの。
魔法の言葉を口にする。
「すぅ‥‥‥‥開け~!、ゴマ~~!!」
‥‥‥‥カチリッ!
何かが外れる音がした。
恐る恐る押してみる。
すると、今までびくともしなかった扉が少し力を入れただけで開いていく。
ええええええええーーーーーーー!!!??
ポカンと間抜けなあんぐりとした顔をして呆然としてしまう。
‥‥‥‥何であの言葉で開くんだよ!!
意味がわからない。
おいっ!!ここの責任者出てこい!!!
少し予想外のことに落ち着くのを待つ。
そして、気を取り直して先に進んでいく。
先程は茫然としていて気づかなかったが、中は、芝生のようになっていて少し盛り上がり丘のようになっている。
丘の頂上には天井が空いた所からの光が差し込み、何かが立っている。
その光景はあまりにも、神秘的な光景でどこぞの画家が居れば今にも筆を滑らして書きそうなほどだ。
丘を上り、それに近づいていく。
頂上付近に近づき、それが見えてきた。
――石碑のようにも見える。
近づいてわかったが結構小さい。
今の自分の腰丈程である。何か文字が彫られている。
「・・・我、ここに眠らん。・・・・・・後を継ぐもの、現れるその時まで、・・・・ここで永遠に
禁書庫≪ダンタリアン≫を守護せん。・・・・ここまで訪れし者、・・・・この石碑に触れて、・・・・その真価、真意を示せ?」
‥‥‥どうやら誰かの墓のようだ。
なぜ文字が読めるのかも不明であるが、今は置いておこう。
石碑に刻まれた通りに右手を石碑に近づけ触れてみる。触れた瞬間、少しバチッ!としたが、
―――その後、手から体へ、そして左手、右足、左足と身体中を徐々に暖かな何かが流れ込んでくる。
全身に染み渡ると同時に石碑に触れている右手の中が光出す。右手を石碑から放し、手のひらを上にし中を見る。
‥‥‥‥光が収まると、
手の中に透明な鍵が収まっていた。
空が陰ると同時に空から言葉が降ってきた。
「‥‥ほう、何やら騒がしいと思い来てみれば
‥‥どうやら後継者が現れたようじゃな。
何故、人間の子がここまでたどり
着けたのかは不明であるが、
‥‥‥ああ、なるほど。この気配とこの感じ。
アヤツの仕業であったか……。」
上を見上げて見ると、そこにソレがいた。白銀の鱗が日に照らされキラキラと輝き。
天を覆う程、大きな翼を羽ばたかせながら、太陽の光を背後にして飛んでいた。
――――白い龍が…………いた。
龍との初めての出会い。これが後々重要になってきます。後もうひとつ重要な物が登場しました。
「透明な鍵」これがこのタイトルになっている「守護者」に関係しています。