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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
1章 転生、異界『ラシル』の地にて。
46/347

黒いモヤの主

***

<ネスク>


――視界が回る。そして、

肌が焼けただれて激痛が全身を駆け抜ける。


体が浮かび上がるのを堪える。


 幸い先程使った【重力加重(グラビティ)】はまだ効果を発揮している。しかし、早くこの状態を打開しなければ焼け死んでしまう。


「くっ!!【水の壁(ウォーター・ウォール)】」


自身の周りに水の壁が出来上がる。


 しかし、火力が高いせいかどんどん水が蒸発していっている。


「【月の雫(ムーン・ドロップ)】」


月の雫(ムーン・ドロップ)

 ネスクが一度だけ発動することができる回復魔法である。どんな重傷の怪我も一瞬で治すことができる。再使用には丸一日を必要とする。

致命傷は再生不可。



 全身を駆け巡っていた痛みが治まり、焼けただれていた箇所に皮膚ができ、元に戻る。


(このままではジリ貧か。早くここから抜けないと。)


 抜け出す方法を考える。

 その間にも、どんどん水の壁は蒸発していく。


(竜巻は下から上に巻き上げる仕組みになっている。そして、右回りか、)


そして閃く。脱出する方法を。


「【水の壁(ウォーター・ウォール)】、【風盾の守護(エア・フィールド)

合成魔法【氷結の盾(アイシクル・アイギス)】」


 水の壁ができ、ネスクの周りで固まる。

――氷のドーム上の壁ができる。


 そして、炎嵐の風がそれを避けるように吹き荒れる。成功である。


 ネスクが移動すると、きちんと護るように移動する。そして、炎嵐の軌道から抜ける。


「【纏・雷(まといイカズチ)】発動!!」


 抜けると直ぐに解除して【纏・雷(まといイカズチ)】を発動する。


そして、龍へと駆ける。


再び爪による突風がネスクへと迫る。


「【風切(カザキリ)】」


 突風を切り裂いた。

 何度も喰らったためネスクには、

もうその攻撃は通用しない。


 そのまま【纏・雷(まといイカズチ)】を維持しつつ、最大速度(トップスピード)で龍へと迫り、龍は目と鼻の先である。


「【(スラッシュ)】!!!」


 斬擊を龍へと飛ばす。

しかし、龍に当たる直前で掻き消える。


「やっぱりか。」


 そして、龍から黒いモヤが溢れ出す。

―――獣と戦った時に見せたモヤ。


 それも、前回とは比の比べようがない程、高濃度だ。


 ネスクは後ろへ下がる。

下手に触れると身が危険であるからだ。


「ここからが本番、というわけか。」


 龍から出るモヤを目の当たりにして気を引き締めるネスクに何かが響く。


我滅スル故ニ我在リ汝滅スル我ガ糧ニスル


 ドス黒いその声は龍からの言葉だと。

――直感で理解する。


「はっ!!そう簡単に殺されてやるもんか!

僕にはやる事が沢山あるんだ。」


 ネスクは、龍にその胸を口にする。


ナラバ、(チカラ)ヅクデスルノミ


 再びブレスを繰り出す。更にブレス。

おまけにモヤが加わり、『黒いブレス』となる。



 周りに広がる燃える植物達の生命を吸い尽くしながら、黒いブレスが迫る。


「【氷結の盾(アイシクル・アイギス)】」


 再び【氷結の盾(アイシクル・アイギス)】を発動して防ぐ。


ブレスを防ぎ切るとネスクは飛び出す。


「【纏・聖光(まといライト)】」


自身の体が白く発光する。


聖なる光に包まれたネスクは、黒いモヤに当たるも生気を吸われることはない。


 そのまま龍へと走る。


―――ブレスに黒いモヤ、更に突風を避ける。


「【(セイクリッド)】!!!」


 刀に聖魔法を載せて斬る。


 黒いモヤが斬られて龍に刀が当たる。


しかし、やはり斬れない。龍の鱗が硬く斬れない。


「くっ。」


 弾かれた反動で体勢を崩す。


そのまま龍の手で振り払われる。


 地面にうまく着地するも、目前までブレスが迫っている。


 ニヤリと口の端を吊り上げ笑う。


()()()()()()。遅いぞ!!」


やっと来たその()()に声を掛ける。いつも知っている魔力のその人物に。


「すまん、待たせたのう。」


 ブレスを叩き飛ばしてその人物が登場。


「さあ、始めるかのう。この因縁を終わらせるためにのう。」


ミレドの到着である。



***

<ポーアとクーシェ>


 ミレドにクーシェを頼まれたポーアは、今クーシェを火の届かない安全な場所に移動して、状況を確認する。


 ポーアは、ドルイドの能力を駆使して、戦況を確認する。彼女の周りに植物が伸び、彼女の服や髪に纏わりつく。


確認していると声を掛けられる。


「何を…していらっしゃるの、ですか?」


 声の主はクーシェ。


「戦況の確認をしておりました。」


 短くクーシェに伝える。すると、


「どんな状況ですか!?」


思いの外。といより当然、クーシェは食いついた。


――どうやら、

よっぽど心配していたよう。


その表情からもその事は読み取れる。


「状況はまだ劣勢ですが、今の所は龍に引けを取らずに戦っているようです。」


「良かった……。」


クーシェが安堵の表情を浮かべる。


「それほど大切な方なのですね。その方は。」


「……はい、掛けがえの無い、もう一つの、家族です。」


「………そうなのですね。」

クーシェのその言葉に、ポーアはどこか切なくなる表情になるのであった。


****

明日は更新をお休みします。楽しみにしている方申し訳ありません。明後日に更新予定です。

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