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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
1章 転生、異界『ラシル』の地にて。
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一筋の希望を胸に

いよいよ邪龍登場です。あと少し、ネタバレになりますが冒頭部分も出ます。ここら辺は書きたい部分だったので手がスムーズに動きます。

 ***

<ネスク&クーシェ>

  燃え盛る炎が森を次々と燃やし尽くしていく。

早く消火をしないとまずいレベルの炎である。


 しかし、ネスクは動けないでいる。


 月を背景に、禍々しい龍が空を飛んで、こちらを見下ろしているからだ。

 下手に動けば、何をしてくるかわからない。

 その上、先程の『ブレス』で【深き霧(ディープ・ミスト)】は既に効果をなくしている。


 今、霧が無い状態。その上、もう一度発動しても再び『ブレス』をされると、振り出しに戻るだけである。


「どうします、か。ネスク、様?」


 クーシェが自分の裾を掴んで怯えた表情で自分を見てくる。

いつも立っている耳も垂れている。


(今の所、ヤツに動きは無い。でも、いつ動いても不思議では無い。この子のことを第一に考えるとなると、する事は………)


自分のするべき事を決意してクーシェに伝える。視線は龍から外さずに、小声で言う。


「クー、僕が奴を引き付けるから。その間にこの事をミレドを探して伝えるんだ。」


 クーシェは驚いた顔をする。


「そん、な、ダメです!!殺され、ていまいます!!」


クーシェは必死な形相。普段の優しいクーシェからは、想像出来ないくらいに必死。


「今はそれしかないんだ。それにミレドも気付いているだろうから、時間を稼ぐだけだ。

大丈夫、僕はミレドの弟子だ!!

時間稼ぎぐらいはしてみせるさ!!」


 クーシェに今出来る最大の笑顔をする。

彼女を送り出すために――。


「分かり、ました。私が戻るまで、どうか、ご無事で。

……また家族を失うのは、耐えられません。」


「分かった。クーも気を付けて、それじゃあ行くぞ!!」

「………はい。」


 自分の魔力と体力を考え、使う魔法を脳内で選別していく。


(素早さ重視に耐久、攻撃はいらない)


――発動する。


今出来る最大限の魔法。

―――相手は、あの邪龍。

半端な魔法では、一瞬でやられる。



「【防御(シールド)】、【身体強化(ストレンジ)】、【纏・雷(まといイカズチ)】」


  地面を力いっぱいに蹴る。


 いつものように蹴るがいつも以上に一蹴りの幅が大きく、数歩地面を蹴っただけで龍の丁度――真下に来る。


これもミレドの特訓のお陰である。


「【脚力増強(ジャンプ)】」


 キック力を増強して上へ蹴る。

――空中へと飛ぶ。


「【空間固定(スペース)】&【反重力(アンチグラビティ)】」


 自分の体を【反重力(アンチグラビティ)】で軽くして、

 空間に踏み場『斥力場』を作り出して

その斥力場を使い更にジャンプ。


―――龍の上へと行く。


「【荒ぶる風(ウィンド)】」


 足に【荒ぶる風(ウィンド)】を使い、方向を龍へとする。


「雷よ、刀に纏いその力を最大へと至らせん。

月夜連雷斬(げつやれんらいざん)】!!!」


 【纏・雷(まといイカズチ)】の雷を刀へと集中し、そして龍の真上で抜く。


 月が落ちきたかのような雷の襲撃と共に竜へとその攻撃が連続で叩き込まれる。


 龍が地上へと落ちた。


 ネスクは、魔法を発動し、落ちていく姿勢のままでクーシェに叫ぶ。


「行け!!!!走れ!!!!ミレドに伝えろ!!!」


 ネスクの声を皮切りにクーシェが走り出す。


「っ!!!!」


 一筋の涙を残して、

燃える森の中を駆け抜ける。



「【荒ぶる風(ウィンド)】」


 地面に落下する直前で【荒ぶる風(ウィンド)】を発動して、衝撃を相殺し、抜いた刀を構える。


 まだ煙が上がっているため生存の確認が出来ない。


でも、


「このまま死んでくれたらありがたいが、魔力の感じからそれは無いか。」


 ネスクの瞳には、

禍々しいオーラが今もなお、煙と共に、舞い上がっている。


 煙の中で動く影がある。

 まるで先程の攻撃が効いていないかのように悠々とした動きが影で分かる。

 龍が翼を羽ばたかせたのか煙が一瞬で吹き飛び姿を現す。

 鱗が硬かったせいか、やはり、ダメージは入っていないようである。


「全く、今夜はとんだ夜になったな。盗賊といい、龍といい。」


 ぼやきが燃えゆく森の虚空へと消える。


 ***

<ミレド>


 ネスクが龍と事を構える頃、


「急げ、急げ、急げ!!!」


  暗い森の中をミレドは、必死に駆けていた。

 途中、魔物が出てきたが、ミレドが一振りすると真っ二つに裂け、絶命する。


 ミレドはそんな事気にせずにただ走る。


 いつの間にかネスクが掛けていた【深き霧(ディープ・ミスト)】が消えている。


 その上先が明るい。


 近づくに連れてなぜ明るいかが分かる。


 燃え盛る炎が森を包み込んで行っているからだ。ミレドの足が止まる。


「くそっ!!このままでは森が全滅じゃ!!まずいのう!!」


 ミレドは思案する。

 炎を放って置けば、森が危ない。

 しかし、森の消火をしているとネスクの身が危険だ。


(くそっ!!どうする?どうする?)


 切羽詰まったその状態でミレドは考えを巡らせる。


『その役目、(わたくし)に任せてくれませんか?』


 ミレドの後ろからふいに声が掛けられる。


「誰じゃ!!」

 振り返ると見知らぬ女性が立っていた。


 体は蔦のような植物に囲まれ、

 優しそうなタレ目に緑の髪と目が特徴的である。その上、ボインと立派な胸を携えたその女性は、()()()()である。


明日も同じ時間に更新する予定です。

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