ミレドVS見えない男 2/2
前の話を少し誤字修正をしたり、言葉足らずだったところに言葉を追加したりしました。
あと、11部と12部を合併しました。
3部も少しお話を追加しました。良ければ読んでみてください。
音と火花のみが反響する。
姿無き者同士の戦いは、誰も見えない中で激突していた。
『我が影よ、我が意思に従い彼の者を縛り上げよ【影縛り】』
姿が見えないが、影が木々を縫うように伸びていく。
『ほう、【影縛り】とは。中々厄介な技を知っておるのう。よっと!!』
縫いながら自分へと延びてくる影を。
――木々を伝い避けていく。
『キサマも中々渋といな。いい加減やられてくれないか?』
『そうはいかん。早う、アヤツの元へいかねばならぬからな!!【脱け殻】』
木々を伝う中で迫りくる影に向かって【脱け殻】を使う。
脱け殻は【影縛】で捕縛され、影諸とも消える。
『そこかっ!!!』
男は気配で、ミレドが居るであろう位置に暗器を投げる。
『我が魔力を使い、更に増加せよ【影増】』
投げた暗器が先程の何倍にも増す。
増した暗器が雨あられの如くミレドに降り注ぐ。が、
『残念。こっちじゃ!!』
ミレドが男の背後の霧の中から現れる。
『な、に!?』
男にとって、気配のあった方が本物だと思っていたため不意を突かれた。
『【氷竜の楔】』
空気中の霧が凝固していき、竜の形へと変わる。その竜が男の周りを囲むように渦巻き、そして男の体を縛り上げる。
『くっ!!動けん!!』
男は足掻くものの、氷で出来た竜には、
びくともしない。
『ふぅ、やっと捕まえれたようじゃな。ああ、これも解除じゃな。』
ミレドの姿が浮かび上がってくる。
『キサマ、なぜ俺と同じ魔法が使える!!』
縛り上げられ簀巻きとなった男が吠える。
「いや、これは光魔法の応用じゃ。」
ミレドが平然とそう言うと男が狼狽える。
『な、なんだ、と、そんな馬鹿な。それが光魔法の筈がない!!そもそも光魔法は極少数の者しか使えない筈、どうしてキサマが使える?!』
「それは人間族の常識だろう、妾には関係無い。このままでは話しづらいから解除してくれないか?」
ミレドが男を見下ろしながらそう言うと、何も出来ない男は解除し、姿を現す。
「ふむ、それじゃあ話して貰おうかのう?懐のその玉何に使うつもりだったんだ?」
「へん!!教える分けないだろ!!バーカ!!」
男がそう言う。
ミレドの眉がぴくりと動く。
「ふむ、なら用は無い。そのまま凍死しろ。」
手を翳す。すると、
「ま、待て。わ、分かった。分かったから殺すのは勘弁してくれ!!」
翳す手を下ろすと男が喋り出す。
「依頼だよ。ある日、手紙と共にこれが置いてあったんだ。手紙にはとある盗賊共の監視とこの玉を使って魔力を集める指示が書いてあった。」
ミレドは少し考え込む。
(コヤツを問いただしても恐らくもう情報は出ないであろうな。吸魔玉は古い物だ。ということはそれに専門をおいた物の仕業ということかのう...)
男の顔が真っ青になっていく。
「な、なんだ、この魔力は?・・・・」
その言葉に気づいたミレドは現実世界に戻ってくる。
「どうかしたのかのう?」
「テ、テメェは感じないのか?この禍々しい魔力を!!」
真っ青な顔のまま男は必死に、そう言う。
男の言い放った"禍々しい"という言葉に、思わず耳を疑った。
「禍々しい、じゃと!?【探知】!!」
直ぐに【探知】を掛けて、魔力を探る。
「!!!」
言葉を発する前に駆け出す。
全力でネスクのいるところまで駆ける。
****
<ネスク&クーシェ>
月に映るその姿を見て、ネスクの脳内で細胞がズキンズキンと悲鳴を上げる。
まるで忘れている物を思い出さんとするかのように頭が割れそうだ。
ふいに声を掛けられる。
「ネスク、様!!ネスク様!!!」
顔を龍から離すと、クーシェが心配そうな顔で自分を見つめていた。
「大丈夫、ですか?」
「あ、ああ、大丈夫だ。」
クーシェを心配させまいとそう答える。
「早く、離れ、ましょう。アレが気付かないうちに。」
クーシェが龍に目線を送る。
龍はまだ何かを探しているのか、動かない。
「ああ、そうだな今の内に動こう。」
クーシェを連れてその場から離れようとした時、
龍はコチラを見る。
口から何かを吐き出す。―――火だ。
「っ!!【完全防御】!!!」
自分とクーシェを囲むように結界を張る。
二人は炎に包まれた。
龍が吐き出した『ブレス』が終わる。
【完全結界】もそのブレスで完全に破壊された。
体を起こすと、地獄のような光景が広がっていた。先程まで森に覆われていたその場所は炎に包まれた森へと様変わりしていた。
「!!そうだ、クーシェ!大丈夫か?」
咄嗟にクーシェを下にして庇ったのを思い出し、クーシェに声を駆ける。
「はい。大丈夫、です!」
クーシェはそう言うと体を起こす。
「どうやら逃がしてくれないようだ...」
上空を見上げる。
黒い龍が高度を下げて、自分たちを見下しながら前方にいる。