表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
1章 転生、異界『ラシル』の地にて。
39/347

殲滅

「【涙月の雨(るいげつのあめ)】」


  パラパラと雨が降り始める。月が涙を流すかのように優しくも大粒の雨が降り注ぐ。周りに飛び散った火を【涙月の雨(るいげつのあめ)】で消火していく。


―――危うく、火が木に燃え移り、大変な事になっていた。


「ヤツら、この森を焼くつもりじゃっただろ?!許さん、絶対に許さん!!」


 ミレドの魔力がいつもの優しい光を思わせる物から攻撃的な敵を射殺すのではないかと思えるような鋭く鋭利な物に変わった。


 どうやらミレドの火に油を注ぎ込んだようである。


「この技と【深き霧(ディープ・ミスト)】は相性が良い。だが、くれぐれも油断するなよ。ミレド」


「分かっとる!!」


 ミレドが今にも飛び出しそうなのを宥めて最後にクーシェに目配せをする。


「じゃあ、発動する。クーシェも気を付けて!!」


「は、い」


 クーシェの返事を確認すると、

視線を前へ向ける。そして、発動させる。


「【深き霧(ディープ・ミスト)】」


 ネスクを中心に周囲一帯に濃霧が拡散していく。

涙月の雨(るいげつのあめ)】も合ってか、濃い霧が更に濃くなっていく。普通の人では視界が悪すぎて、歩くことすら困難な程である。


一通り発動し、霧が拡散し終わる頃にミレドとネスクが同時に反対方向に動き出す。


「【身体強化(ストレンジ)】、【加速(ブースト)】、【纏・雷(まといイカズチ)】」


 ネスクが次々に魔法を発動していく。

  身体強化でパワー、スピードなど基礎能力を強化し、更に【加速(ブースト)】により、さらに速度がアップ。

 そして、そこに【纏・雷(まといイカズチ)】により更に更に、速度が上がる。


  こうなったネスクを目で追える者は今のところ、ミレド以外に居ない。「電光石火」と化したネスクを止める者は居ないということだ。


 最初の標的が数秒でたどり着く。

 数は五人。


  刀を抜き、五人の間を一閃、振り返らずに次へ行く。


 ネスクが走り去った後、五人は、ばたりばたりと崩れ落ち、そのまま動かなくなる。

 雷のような一線のみが敵のいた空間に残る。


「な、なんだ?一体、何が起こってるんだ?」


「わ、わかんねえ、前の五人の姿が見えたと思ったら倒れてそのまま動かなくなっちまった。」


「ぎゃあああ!!ば、化物がいる!!!」


「いやあああ、誰か助け・・ぐえあ、」


 ネスクが光のような速さで倒して行くため、視力を奪われている盗賊達は阿鼻叫喚。

 その場を得体の知れない者に対する恐怖が支配し始める。


「う、うろたえんじゃねえ!!!俺らは泣く子も黙る『砂漠の髑髏(サンド・スカル)』だろうが!!!それにお頭が俺らにはついて、」


 ザシュッ!!!


 光の閃光が通り過ぎると、


 ポトリッ


 喋っていた男の首が落ちる。


「ひ、ぎゃあああ!!」


 盗賊達からしたら、地獄絵図であろう。

 だんだんと足並みが崩れだし、そして逃げる者も現れ始めた。

「副団長がやられた!!!!」

「いやあああ、死にたくない。」


(そろそろ頃合いといくか...)

 既に事は為した。逃げる者は追わない。

 立ち止まり、魔法を解く。そして刀を鞘に納める。

「いやがった!アイツだ!!!」


「やっちまえ!!!!」


  まだ何人もの人数がやる気のようだ。霧の中で見つけたネスクに囲んで寄ってくる。


「【探知(サーチ)】」


  やって来る人数を確認する。少々は逃げたようであるがまだ何十人もの人数が探したり、当てずっぽうに持っている剣を振り回したりしている。


(面倒だ、()()を使うか...)


「【纏・雷(まといイカズチ)】」


 再び【纏・雷(まといイカズチ)】を発動する。


 そして、


「【朧月(おぼろづき)瞬雷(しゅんらい)】」


 ネスクの周りからビリビリと纏った雷が近寄って来る者に一瞬で走る。


 そして、

 一人、又一人と倒れていきネスク以外立っている者は誰もいない。


朧月(おぼろづき)瞬雷(しゅんらい)

 【纏・雷(まといイカズチ)】の雷を自分自身の周りに走らせる魔法。これには【深き霧(ディープ・ミスト)】が必要である。【朧月(おぼろづき)】が避けだとすると、【朧月(おぼろづき)瞬雷(しゅんらい)】は攻撃だ。

 ただし、同時に発動することは今のネスクでは困難である。


「ほう、面白い技を使うなあ。テメエ」


  背中に寒気が走る。


(なんだ?こいつは……)

 振り返るとその男がいた。


  厳つい顔にニmはある背丈、そして何より目が行くのはその男が持っている剣である。


 その男とほぼ同じぐらいの長さの身刀。


「そんじゃ始めるか。やろうぜ、命のやり取りを!!」


 舌舐めずりをしながらその男は剣を抜く。


「っ?!【加速(ブースト)】」


 五m程あった筈の距離を一瞬で詰めて、その巨大の剣を振り下ろす。


  長剣の刃が直前まで迫る。


 咄嗟に発動させた【加速(ブースト)】でギリギリ避ける。


 頬に線が入ったあと、血が流れ出す。


(危なかった。あと数秒遅かったら、)


 そう考えると寒気が遅い来る。


「これを避けるか、テメェ。興味が更に湧いたぜ。」


(この男、危険だ。ここで決着を付けなければ、ヤバい)

 本能が囁く、コイツはここでやれと。


「名乗りが遅れたな!俺は『砂漠の髑髏』の頭領、ヴラムだ!!」

次回は砂漠の髑髏の頭領、ヴラムとの激戦です。

良ければ読んでください!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ