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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
1章 転生、異界『ラシル』の地にて。
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日本人待望のアレの収穫

<聖域と国との国境付近にて>


  まだ日が上らずにいる時間にあるが、

 聖域の森に向かって進む集団がいた。


 一人。体がでかい男に向かって、

 男が報告をしている。


「影からの報告によりますと、この森の中心にいると思われるそうです。お頭」


「そうか、報告ご苦労。やっと暴れられるぜ。」


「けど、お頭。あの獣人の子供を追い掛けていった奴ら三人、報告だと不意打ちでやられたとのことだそうなんで、お頭が出るほどのやつじゃないとおもいますぜい。」


「そうだぜ、お頭。影から殺るような奴なら俺らに任せてくれやせんかい?なあお前ら!!」


「「「「そうだぜ、お頭」」」」


「お前らには分からんだろうが、そいつは違うぞ。おそらくな。」

「なんで、そう思うんですかい?お頭。」

「俺の肌がビリビリしてるからよこんなのは久しぶりだ。『閃光の獅子』と対峙した時以来だ。」


「それほどの者なんですかい?」

「会えば分かるだろうさ。」


  『お(かしら)』と呼ばれる大男がにやりと笑った。狂気に満ちたその笑みは部下である者達に血も凍るような凄まじい衝撃を与えたのであった。


 *****


「ネスク。こっちは終わったぞ!!」

「こちらも、終わり、ました!!」


「――ああ、二人ともありがとう!!」

 ネスク達三人は今、とある物を収穫している。


―――あれから2ヶ月過ぎた。


  鉄で色々と道具を作ったことで革命が起きた。まず、クワやシャベルなどを作ったため、畑を耕し、植物を育てることが出来るようになった。

 今はその道具で作った畑で育てた作物を取っている真っ最中である。

  大量に取れたそれを木材で作った箱の中に入れる。


「【そよ風(ソフト・ウィンド)】」


  風魔法【そよ風(ソフト・ウィンド)】を箱の中に使い殻を除く。

―――すると、箱の側面に取り付け出口から中身が出てくる。出口は(かえ)しが付いており、中に戻る事は出来ない。

  そして、(脱穀した)中身を次は用意していた桶に入れる。桶には水が入っているため、その中に()ける。

 すると、―――重い物は下へ、軽い物は上へ。と振り分けられる。軽い物はそのまま取り除き、重い物は水に入れたまま次へ――。


「【引き寄せ(ドロウ)】」


  【引き寄せ(ドロウ)】を使い沈んだ重い実を取り出し、魔法の袋(アイテム・ポーチ)に入れる。


「【乾燥した風(ドライ・ウィンド)】」


 袋内に【乾燥した風(ドライ・ウィンド)】を送り、乾かしそして保存。


 何を収穫し取っていたかというと、

 日本人が愛して止まない『米』である。


 それは偶然であった。

 畑を耕した当初、

 種を何も無いので困っていた時、


 森の中を何か無いかと探していたら、偶然発見したのである。竹のような植物であるが竹のように太くも長くも無く、周りの木より短い。

  トウモロコシの茎のような感じである。

 気になったため、【調べ物(ノート)】を使い、食べる事が可能かを調べると、


 米竹<マイタケ>

 キノコの一種。茎は細長く、簡単に折れてしまう程に柔らかい。キノコは基本胞子で繁殖するがこのキノコは種から育つ。成長仕切った米竹は食べることが出来ないが種は食べることが出来る。種は、通常は硬いが水に付け、炊くとふっくらと膨らみ柔らかくなる。



 ―――まるっきり米だ。しかし、畑に植えて育てることが出来るだろうか。


  と思い【調べ物(ノート)】で続きを読んでいくと、育てることが出来るみたいであるため、持って帰り育てることにしてみた。


――そして現在に戻る。


 前の世界のように長い期間を必要とせず、たった2ヶ月で成長しきり尚かつ水田もしなくてよい。今、畑は米竹の雑木(ぞうき)(ばやし)と化している。

  それをミレド、クーシェ、ネスクで刈り取り

 ちょうど昼前に終わった。


  火に汲べていた鍋から、ピーッと音を発するどうやら、ご飯が炊けたようである。


 試食会をするために二人を呼びにいく。


「おーい、二人とも飯にするぞ!!」


 数分後、二人が一緒に並んでやって来る。


「飯かのう?」


 来るや早々にミレドが質問する。


「ああ、そうだ。今日の飯はさっき取って貰った、米竹だ!!」

「げっ!!米竹かのう。妾、アレは苦手じゃ!!」

「なんでだ?」


 ミレドの反応に疑問が浮かび質問する。

 あんな美味しい物が嫌いとは人生。いや龍生を損している。


「あれ、ごりごりしてまずいんじゃよ。その上味もせぬし。」

 渋るミレドを残念そうな目でネスクは見つめる。


「そうか、でも好き嫌いは良くないぞ。それにそれは炊かない場合だ。まあ、食べてくれ。」

「なんか、おぬし妙にテンションが高くないか?まあ、おぬしがそこまで言うのなら食べてみるかのう。」


 ミレドに鉄で作った皿に米竹を盛って渡す。ついでにスプーンもだ。真っ白な米が山盛り。

  それを見たミレドは苦虫を潰したような表情を浮かべる。



「はい、クーも。」


  ネスクとミレドの話を聞いていたクーシェにも渡す。


「ありがとう、ございます。」


 全員に行き渡ったのを確認して、

「では、頂きます。」


 ネスクが手を合わせて言う。


「「頂きます?」」

 ネスクのマネをして二人も手を合わせて言う。

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