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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
1章 転生、異界『ラシル』の地にて。
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鉄を使って物作り

誤字報告ありがとうございます。報告にあった箇所は修正いたしました。また誤字がありましたら報告をお願いします。自分自身も気を付けたいと思います。

――翌日、


ネスクは湖の家から少し離れた所で、昨日取って来たメタートルの甲羅をミレドに元の大きさに戻して貰い対峙していた。


ミレドは――、というと大きさを戻したあと。

クーシェを連れて森へと出かけて行った。


「さて、始めるか!」

甲羅の中身はいつの間にか消えていた。


狩ったあと、家に戻り甲羅はその時外に出して置いた。

―――すると、翌日の朝には中身はスッキリと消えていた。別に、スッポン鍋にして食べた訳ではない。

‥‥あ!!鍋が無いから。スッポン鍋ではなく、亀の姿焼きか。



ネスクはまず何を作るかで悩んでいた。

「うーん、今必要で。初めて作るから簡単な物。尚かつ、いつも使う物か...。う~ん。」


しばらく考える。


「うーん、やっぱりあれかな~。」


そして一つの考えにたどり着く。

それを作ることに決めた。


「作る前にアレを作っておかないと。」

鉄を溶かすと周りに広がり、大惨事となりかねないため、まずはそれを受け止める器を作っておく必要がある。


「【岩石(ストーン)】、【切断(カット)】」


まずは受け止められる岩を作成。

そして【切断(カット)】で半分に切り出し、中をくり抜いていく。まるで半分に切ったスイカをスプーンで掬って食べるように。

カットで切られた岩は真ん中からスパンと簡単に切れた。切り面は、まるで磨いたかのようにツルツルである。


「厚さは薄くでもなく、厚くでもなく丁度良い厚さだから。‥‥‥‥これくらいかな?

Hollow out(くり抜く)】」

手を(かざ)し呟く。


鋭い風が岩の中身が綺麗にまるごと削っていく。

数分後、岩の中は綺麗に掃除され甲羅が入る位のボウルのような岩が出来上がる。


「意外に早かったな。それじゃ、溶かしていくか。【業炎】」

鉄の融点になるまで火炎の球より更に高温の【業炎】を甲羅に放つ。

甲羅はみるみる溶けていく。

そして、鉄の水溜まりがボウルに溜まる。


「さて、次だ。量はこれくらいかな?

反重力(アンチグラビティ)】&【引き寄せる(ドロウ)】」


溶けた鉄の中から少量だけ、反重力を使い、玉にして取り出し、自分の近くまで持ってくる。実際に触れると火傷どころでは済まないからだ。

近くまで鉄の液体の玉がゆっくりとプカプカ浮いて飛んでくる。その光景はどこか摩訶不思議な光景。

「【停止(ストップ)】」

空中に浮いたまま鉄の玉が止まる。

「【創造(クリエイト)】」

止まった玉にクリエイトを使い、作る物の形を作っていく。

鉄の玉が持つところ、そして薄い皿だが皿の壁がある形へと、変わっていく。

「【乾燥した風(ドライ・ウィンド)】」


乾燥した風(ドライ・ウィンド)】を使い冷ましていく。一通り乾燥した所で地面に下ろす。


フライパンの完成である。

「最初にしては中々の出来栄えだな。」

地面に下ろしたフライパンを見ながら、ネスクは呟く。

「さあ、じゃんじゃん作っていくぞ!!」

気合いを入れるネスク。


それから、日が暮れミレド達二人が戻るまでネスクは鉄を使い、創作し続けていく。



***

ネスクが鉄で物作りに夢中の頃、


ミレドとクーシェは南に進んでいた。

出発して、既に昼下がりである。

魔物はミレドを恐れているせいか、寄って来ない。そのことは、クーシェが使える【探知(サーチ)】が物語っていた。進む方向にいる魔物が自分達の1km手前ぐらいで避けていくのだ。まるで王が通る道のように。


「ミレ、ド様、いったい、どこまで行かれ、るの、でしょうか?」

「ああ、言っておらんかったかのう。おぬしの故郷に。じゃよ」

「えっ?」

ミレドのその言葉にクーシェの頭がフリーズを起こす。

「取り敢えず、視察と思ってもらって良いぞ。それにおぬしも今の状況は知っておきたいじゃろう?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

クーシェは体が知らずの内に震える。そして、嫌な記憶が沸き上がる。

先を歩いていたミレドが立ち止まり、クーシェと向き合う。そしてクーシェに寄って頭をなで始める。


「大丈夫じゃ。今は妾がおる。何があってもおぬしは守ってやる。じゃからそう怯えるでない。」

「‥‥‥‥はい。」


口約束のため、本当にそうなるとは思えないがなぜかその言葉を信じられる気がする。

そう思うと震えが止まる。

震えが止まるのを見計らい、クーシェの頭からミレドは手を引く。

再び歩き出す。そして、クーシェは最初に感じた違和感を聞くことにする。

「どうして、ネスク、様を置いて、行ったのでしょうか?」


「あやつは巻き込まれ体質じゃからのう。置いて行った方が良いのじゃ。それに獣人族の探知魔法は他の種族より優れておるからのう。こういった手合いに向いとるんじゃ。

あと、これは妾の個人的な者になるんじゃが………。」


急にミレドがもじもじとし出す。そして、こちらをチラチラと見る。


「???

なんで、しょうか?」


クーシェはその行動を不思議に思う。

そしてポツリとミレドが言う。

「おぬしと二人で一度、話してみたいと思っておったんじゃ。」





「フフフ。」

その事に思わずクーシェは笑ってしまう。


「な、なんじゃ、一体?」

少し顔を赤くしてミレドが戸惑う。


「いえ、すいません。伝承、のミレド、様にも、そう思うことがあるんだ、と思い、つい。」

「これでも知り合いは少ないからのう。こういった事にはなれておらんのじゃ。」

「そうなん、ですか?私も、あまり多い方では、ありません、でした。・・・ですので、私で良ければ。」


その一言でミレドは先程の初々しい言葉から元気な言葉に切り替わる。

「うむ!!では話そうかのう。ネスクが言っておったが、じょしとーく?とかいうやつじゃ!!」


それから二人で話しながら、聖域と国の国境付近まで行き状況を確認してから戻るのであった。

戻る途中で晩に食べる木の実や鳥などを狩りながら二人が戻った頃。ネスクの周りには作った物で溢れ返っていたのである。


―――その中心でネスクがまだ何か作っていた。


その光景に呆気とともにため息が出る二人であった。このことがきっかけで、ミレドとクーシェの仲が急速に縮まったのをネスクは物作りに夢中で知らない。




***

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