心のダメージ
「ネス、ク様、先程の、話に戻るの、ですが、
あなた、様と似てい、るというの、はどういう、ことなの、ですか?」
ひと通り自己紹介を済ませると、クーシェが先程のことについて問いかけてくる。
「ああ、そのことか。僕は昔、全てを失なったことがあるんだ。家族、‥‥‥‥友人、夢に希望。全てね。」
友人という言葉を使っていいのか少し躊躇うが今は取り敢えず使っておくことにした。
「全て、ですか?」
「ああ、全てだ。全て失い、絶望の中にいた時の僕と君が似ていたんだ。」
「そう、だったの、ですか。」
その話を聞いたクーシェが少し申し訳なさそうな顔をしている。
「ああ、気にしないでくれ。昔のことだから。
そんな時に絶望の淵にいた僕を救い上げてくれるひとがいたんだ。それで僕は救われた。」
「その人、とは?」
「実を言うと名前は知らないんだ。その時は余裕が無くて、名前を聞ける状態じゃなかったんだ。」
その時の光景が今も甦る。
春のような暖かで柔らかなオーラを醸し出していて、ブロンドの髪が日に照らされ美しく輝いて、澄んだ水色の瞳がキラキラと宝石のように美しい女性であった。
「クーシェよ。おぬしはこれからどうするのか決めておるのかのう?」
―――頃合いを見計らい
ミレドがクーシェへと尋ねる。
「・・・・い、え、まだ、決めて、ま、せん。」
クーシェがたどたどしく答える。
「おぬしが良ければなのじゃが、妾達としばらく暮らさんかのう?実をいうと、妾は心配でのう。」
ミレドがクーシェに提案をする。
ネスク自身もこの少女のことが心配である。家族も殺され、一族は皆奴隷となり、恐らく身寄りはもういないだろうから。
「体は、大丈、夫です。」
「体は良くても、精神の方が心配なのじゃ。」
「・・・・・・」
クーシェの顔が翳る。無理もない。まだ十三の少女。体は元気でも精神の方はまだ未成熟なのだ。しばらく気持ちの整理をする時間が必要だろう。
「しばらく妾達と暮らして養生した方がよい。何せここは安全な所じゃからな。」
確かにここより安全な場所はない。ミレドの提案にネスクも便乗することにする。
「僕もミレドと同意見でそう思うよ。何より、『クー』と一緒に居たいと思う。」
「・・・・!!」
クーシェの目から涙が溢れてくる。ポロポロと地面へと流れていく。
「ひっ・・ぐっ・・これ、から、よろしく、お願、ひっぐ、い、ひっぐ、します。」
涙を拭きながらクーシェはそう答える。
それをギュッと抱きしめてあげる。
「ああ、よろしくな。クー」
「うむ、よろしくじゃ!!」
「ひっぐ、ひっぐ、はい!!」
*
それからクーシェと出会い数日、
獣との戦いからも数日である。
あれから、湖へと戻り、
――まずは、家の改築から始めた。
幸い木材はその辺から切り出した物がまだまだ残っているため、改築は筒がなく進んだ。
山小屋のような大きさだった物が、
一戸建ての家へと変わり、二階建てとなった。一階は前の家ままで二階に部屋を設置。
余分に部屋を作っている。
最後の方は途中になってしまってますが長くなりそうなので次回に持ち越します。