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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
1章 転生、異界『ラシル』の地にて。
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夕陽のような獣人の少女

「‥‥‥ということだ。」


 あれから寝床に戻り、少女を床に下ろしてからミレドに事情を説明し終えたところ。

―――しかし、今の自分は何故か正座をさせられていた。


「うむ、成る程のう、いつの世も下賎(げせん)(やから)はおるものじゃが、コヤツにしたこと‥‥特に酷いのう。」

 ミレドが少女を見る。その瞳には彼の者らに対する侮蔑と怒り、そして少女への悲しみが見て取れる。


「‥‥‥ああ、全くだ。一族皆を殺すか、奴隷として売り捌いて、挙げ句の果てにはその事を誇示しているようにも聞こえた。

‥‥‥ところで、ミレドさん?」

「なんだね?ネスク君よ。」


 某探偵とその助手のような言い方になった。


「どうして……。

僕は地面で正座をさせられているんだ?」


―――当然といえば、

当然の疑問をミレドへとぶつける。


「うむ、今回は君に対処できる相手じゃったから良かったがのう。―――もし、自分より格上の者じゃった場合の対処を良い機会じゃ。

おぬしに教えてやろうと思ってのう。」


 つまり、『説教』ってことか。

ミレドが黒い笑顔を浮かべている。背後には、

いつもの安らな光のオーラを放っているのが。

 今は、――とても邪悪なオーラに見える。

 お手柔らかにお願いしたい。


それから二時間、

みっちりとお灸を据えられた。

 太陽が顔を出し掛けていたのが、終わる頃にはすっかり頭上でギンギンと輝いていた。


そして、二時間。


「これに懲りたら、まずは妾に相談すること。()いな!!」


「は、はい。分かりました...。」


うつ伏せに倒れ、足がピクピクと痙攣している。

(あ、足が‥‥‥‥)


ネスクは足が痺れている。 海からあげられた魚のように一定の感覚でピクリと足が動く。


「だらしないのう、おぬしは……。

たった二時間で足が痺れるとはのう。

軟弱過ぎやしないか?」

ミレドが痙攣している足をツンツンとつつく。つつかれる度に、足に電流が流れたような痛みが走る。


「ぎゃあああああ!!足をつつくな!!!!」

 足がピクッと動き痺れが回ってくる。

痺れが取れるまで幾度となく続く。


「ふふふ。」

 誰かが笑った。

誰かといっても、この場にいる人物は限られるが。―――まさか、それ以外では無いはずだ。

 残す人物に寝っ転がったまま顔だけを向ける。寝ていた筈の少女がいつの間にか起きていた。

 赤い髪が日に照らされて更に赤く見える。


「おお、起きておったのか。おぬし!」


ミレドが少女へと声をかける。


「は、はい。・・・先程・・・・助けていたただき・・・・ありがとう、ございます。」


 たどたどしくもお礼の言葉を伝えて頭を下げてくる少女。

 まだ自身も本調子には程遠い筈。

相手を気遣う少女の心の表れのように思える。


「ああ良いよ、良いよ。頭を上げて!

僕の方こそ、助けるのが遅れてごめん。もっと、早く助けるべきだった。」

「いえ、・・・感謝でいっぱい、です。・・・でも・・・どうして・・・助けてくれ、たのですか?・・・人族・・・・なのに」


―――その疑問は当然であろうな。

 調べた限りでは、人族は他の種族を差別的な目で見る。それは今も変わっていないのだろう。その人間が自分を助ける理由はない。

――そう、普通の人であれば。


「大した理由はないさ。あえて言うとしたら、君と僕が似ていたから、‥‥‥かな。」

「似て、いる?・・・それ、はどう、いう?」


 まあ、当然の反応か。

その問いに今答えてもいいが。


「それを答える前にまずは自己紹介をせぬか?

まだ名前すらお互い知らないのだろう?」


ミレドの言葉で遮られる。

―――そうだな、まずは自己紹介からだ。


 濃厚な夜過ぎて、彼女の名前すら聞いていない。何かの縁だ。

 この際だから少女の名前を知っていてもいいだろう。たとえ、いつの日か少女と別れる日が来ることになったとしても――。

次回、少女の名前公開!!

そして、物語は進んでいく...。

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