予期せぬ襲撃と動く影
「【探知】」
探知を使い、もう一つあった魔力を探る。
探知に引っ掛からない。どうやら、もう既に探知外のところに移動してしまったようだ。
少女は。と言うと、大泣きして疲れたのかネスクの腕の中で眠ってしまった。
あれから一時間近く経つ。
空は少し明るくなってきている。
(早く戻らないと、またミレドに心配を掛ける。)
少々を背負い、急ぎ足でミレドの元へと戻る。
「【身体強化】、【加速】」
*
(‥‥‥もうすぐだ!!!)
身体強化と加速を使い、元の場所まで残り五○m程である。
すると、そこで予期せぬ襲撃を受ける。
「おぬしは!!!また!!!どこに行っておったんじゃ!!!!」
前方から何かが飛んでくる。
ネスクはそれを寸前のところで下へ避ける。危うく、背中に背負っている少女を落としそうになる。
後ろを振り返る。
後ろの木にくっきりと跡が付き、何かが破裂したような跡があり、それがいつも顔を合わせる少女の足の下にある。どうやら、少女の足から繰り出されたようだ。そして、先程飛んできたのはその少女自身であった。
(一体、どこのライダーだよ。全く………)
*
「おぬしは、妾を起こさずに一体どこを、
ほっつき歩いておったのだ!
全く……昨日の昼間のことをもう忘れたのかのう?」
木から下りてきたミレドがそう言う。
飛び散った木の破片を服から落としながら。
頬が少し膨れている。
「いちおう、ミレドにも声を掛けようと思ったんだが、急を要していたし、夢の中で何か幸せそうな夢を見てる寝言を言ってたから邪魔するのも悪いと思ったからな。」
「む、ぐ。そ、それでも声くらいは掛けて欲しかったのじゃ!!」
その事を伝えるとミレドは少したじろぐが、昼間のこともあったようで引かなかった。
「分かったよ。次から寝てても声くらいは掛けるよ。」
「うむ、それで良い。ところで、後ろに背負っておるその少女はなんじゃ?もしかして、おぬしのおなごかのう?妾という者がおりながら…」
めっちゃ本気で先ほど膨れていた頬がもっと膨らみ、どこぞのピンク色の風船のモンスターのような顔でそう言ってくるミレド。
別に僕はミレドの物ではないんだけど。
「はあ……。違うよ。その事については寝床まで戻ってからにするよ。この子も安全な所で寝かしたいしね。」
そのミレドにため息混じりの返答をネスクは返す。身体的には問題ないが、先程人を殺めたばかり。少し休まないと精神がやられそうになる。
(・・・・はあ、少し横になりたい。)
*****
月に照らされているが、暗闇の森の木々を一つの影が飛び回り、東へ向かって掛けていく。
(奴らめ、どうやら、失敗したようだな。)
あの時、【探知】により、対象を追い詰める三人を監視していた。
ボスが奴らがヘマをしないようにと、自分を奴らな張り付けていたのだ。
―――対象の魔力が弱まったため、捕獲には成功したと見て、離れたのが失敗だった。
気づいたときには、奴ら三人の魔力が消え、強大な魔力と対象のみが残っていた。
その魔力はボスにも匹敵する程の物であった。
(このことはボスに報告だな。強いヤツがいると知ったらすぐにでも動くからなボスは・・・・)
黒い影は暗い森の中へと姿が溶けていった。
前の話のその後ともう1つの魔力の人物についてを書きました。続けて読んで貰えたら幸いです。