ぬくもり
今までかいた話を少し言葉を変化させたり、誤字、脱字を修正いたしました。
ジーロを放置し、少女へと近づく。
あのまま放置していれば、――いずれ死ぬ。
内臓をやり、心臓に発頸を打ち込んだのだ。
―――心臓が破れていても不思議ではない。
他の二人ももう既に死んでいるであろう。
一人は喉を刺されたことで出血死。
もう一人は窒息死であろう。
結界は基本的に外の指定した物を内側へと通さないようにするもの。
例えば、魔物から結界で身を守る場合は魔物を指定した結界を自分の周囲に張れば良いのだ。
魔力もそこまでバカみたいに食わないので人間の国の。王都では良く使われている魔法である。結界魔法にも限度はあるが、そこそこ多様な魔法だ。
盗賊に使った結界の指定は「空気」。
これによって。
空気が中へと入らず、
―――死に至ったということだ。
少女に近づきそっと触れる。少しビクッとしたが逃げない。というか逃げる理由が少女にはなくなってしまったというべきだろうか。
そして縄へと触れる。魔力が吸いとられていくのが分かる。
「【鑑定】、【開始】。」
頭の中に数字や言語が浮かび上がり、そして消えていく。頭の中で無機質な声が響く。
【解析、終了。表示】
目の前にプレートが浮かび上がる。
プレートには・・・・
名称 封魔の鎖
一定の魔力を持つ者(物)の魔力を吸収し、封じる縄。魔力の低い物(者)は絶対に千切ることは不可能。ただし、一定以上の魔力を超える物(者)は簡単に破ることができる。
「【鑑定、終了】」
そういうと、プレートが閉じる。
【鑑定】
触れた物を解析する事ができる。一般に出回る物はこれにより鑑定できるが聖遺物などは解析出来ない。
いわゆる、即席の禁書庫のような魔法である。
(大体は理解した。さてさて、やってみるか…)
魔力を流す量を増やしていく。すると、
ブチッ!!
縄がいとも簡単に千切れた。
どうやら自分の魔力でも千切れるほどの量以上であったようだ。
この時、ネスクは気づいていないかもしれないが、ネスクが流した量の魔力は宮廷魔術師並み、つまり一般に魔法を扱う人には到底足りないほどの魔力を縄に流したのであるが、それにネスクは気づいていない。
「‥‥‥大丈夫?立てる?」
少女へと声を掛けるが、
「‥‥‥」
返事はない。
そして、目に光りがない。
(あんなことを聞いた後だ。仕方がないと言えば仕方がない。)
かつての自分を思い出すネスク。死んだ後、暗闇の中をあの人に見つけられるまで、漂っていた自分と今の少女が重なる。
(こういう時、あの人は確か・・・・)
膝を付いてから
「‥‥‥?」
少女は空虚な目をしているが、ネスクの行動に少し反応を示す。
「助けるのが遅れて、ごめん。辛いこと、悲しいことをたくさんしたんだろう。‥‥‥素直に泣きな、今はただ...。その涙は生きる希望にしな。君の家族も君が生きることを望んで君を逃がしたんだろうから。」
少女を抱きしめ、頭を優しく撫でて上げる。
あの時、あの人にして貰ったぬくもりを次は少女へと渡してあげる。
「うっ、ぐ・・・う、ぐ・・・・・」
ぬくもりが伝わったのか。次第に少女は堪えていた涙が再び流れだし、そしてそれは次第にダムが決壊するように大泣きへと変わっていった。