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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
1章 転生、異界『ラシル』の地にて。
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男達に天罰を‥‥

「‥‥‥」


 その会話を耳にして考えが真逆に変わった。


――むしろ、先程そう判断した自分を殴り倒してやりたくなる。


 アイツらは【悪人】のようだ。別に俺は『正義の味方』では無い。


 けど、自分と同じくらいの目の前の少女を堂々と見過ごすという外道でもない。


 アイツらの言動からもそうだが、犯罪の気配がビシバシと伝わってくる。


 基本的に人間と関わりたくない。

――前世の記憶から。


 人と関わるとロクな事がないということを学んだ。これはネスクのこれからの()()()だ。

 しかし、自分と似たような境遇の人が入れば手を差しのべたいとも思っている。


「【深き霧(ディープ・ミスト)】」


 ネスクの周りから濃霧が発生、その場の全員を呑み込む。


「な、なんだ?急に。お、おいお前ら。ちゃんといるか?」


 ジーロが全員いるかの確認のために声を張り上げる。


「おう、ちゃんといるぞ。」

「いるだべよ。」


 二人は反応するが、それは逆効果である。

 ネスクは【探知(サーチ)】により全員の位置は把握しているが能力までは把握していない。

 さっきの奴らの反応で【サーチ】を使えないことが分かる。


 それもお互いの状況が分からないまでに。



  水面に波が起きないように気配も悟られないほどの隠密でネスクが動く………。


 霧に紛れて、ゆっくり。ゆっくりと。


 まずは一人。

グリッドに後ろから近づく。

そして、首を鷲掴む。


「だ、誰だべか?」


そうグリッドは反応するのも、その言葉がこの世に残す最後の言葉である。


「【構造具現化(クラフト)】」


 前に一度、実験したことがある。

構造具現化(クラフト)】は基本的に自分の手からしか物を作り出せない。

 しかし、木や障害物などが手に触れている時に発動するとどうなるか。そして、それが剣などを生成する場合だと。


―――答えは、

 今目の前で起きている。


「う、ごががっ?!!」


 首から鋭い剣が生成されていく。


 そして、ネスクが引き抜く。


 首には、剣が貫いた跡がくっきりと残る。

 グリッドは、当然、血が後から吹き出し倒れる。


 答えは、

『手の前にある障害物を押し退けて生成』


「グリッド?どうした?何があった??

 ‥‥‥お、おい。悪い冗談はやめろ!!

 返事してくれよ。なあ、おい?」


  初めて人を殺したというのに、頭の中は至って冷静。この世界では法が人を守ることはない。―――自分の身は自分で守らなければならない。

  しかし、目の前の少女を見捨てることも出来なくなった。

 そして、二人目。

 ビンへと近づく。足音すら聞こえないネスクの動きはまるで暗殺者と酷似している。


 頭を鷲掴み。そして

「【結界】、形成【立方体(キューブ)】」

 頭に四角い結界を作り、そのまま手を外す。


「な、なんだこれは!?

 一体どうなっている!!?」


 足を蹴り飛ばして地面に這いつくばせる。

 しばらくしたら呼吸出来なくなるだろう。


 そして最後の一人。ジーロへと近づく。

 触ろうとするも、


 ヒュッ!!


 ()()()()()

「はっはあ!

 どうやら死にたいヤツがいるようだな。」


 剣を引き抜き、構えていた。


 気配も消し気付かれる筈はないと思ったのだが。


「俺は匂いに敏感でね。目が見えなくても匂いで分かるんだよ。」


「ああ、そうか。これはとんだ特技をお持ちのようだ。」


 そう、これは全く予期していなかった。

意外な特技である。


「他の二人はどうした?」


 自分の心配より他の二人の方が気になるようだ。


「一人はそこで寝転んで、もう一人はそこで笑い転げている真っ最中だよ。」


 その問いにネスクはジーロに飄々と答える。


「てめぇ、よくも殺りやがったな。」


 どうやらやる気満々のようだ。


 匂いで分かるのなら【深き霧(ディープ・ミスト)】はいらない。


深き霧(ディープ・ミスト)】を解除する。


  霧が晴れ、ジーロも状況が分かったようだ。

 少女は。というと、項垂(うなだ)れたままピクリともしない。


 目に生気がない。このままだと不味い。


「今夜は月がキレイですね。こんなに夜は踊りたい夜ですよ。」


 あくまで表面は奴の気を引くために飄々とする。


「てめぇ。ふざけやがって!!ぶっ殺してやる!!」


 案外あっさりと釣れた。

そのまま切り込んでくる。


 なんだこれ?本気でやってるのか?


剣筋は鈍く、奴の動きも遅い。


 刀を抜く程でもない。


 ひらりと避け、懐へと潜り込む。


「はっ!!!」


 心臓の位置へと所謂(いわゆる)、『発頸(はっけい)』である。


「ウゴッ!!」


 後ろへ吹き飛び、木にぶつかり落ちる。


「フゴワッ!!」


 吐血する。どうやら内臓をいくつかやったようだ。


「て、てめえ。こ、このままで、た、ただで済むと思っているのか?そ、そのうち、か、頭がここへ来てお前をち、血祭りに上げてくれる。」


「ここへ来るというなら、来ればいい。ただし返り討ちにしてやる。」


 侮蔑の眼差しを持ってそう答える。


 そして、興味をなくしたネスクはジーロをそのまま放置して少女へと近づいていく。

 一番の目標である。彼女へ……。

今日は取り敢えず此処までにします。続きは明日にします。

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