表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
1章 転生、異界『ラシル』の地にて。
22/347

遭遇

  生い茂った枝葉同士の隙間から漏れだす日差し。西の空に傾きつつある昼下がり。


  ネスクは今。

――森を歩いている。散歩日和には良いが、ネスクが道も無い森の中を悠々と歩いていられるのは、とある魔法のお陰。


 探知<サーチ>

 魔力を探知する魔法。近くに魔力を持っている生物に反応する魔法である。今のネスクだと自分から半径三◯◯m程である。


  湖を出発して南に二km(キロメートル)。そろそろ何か食べたい時間である。

 頭上を見上げると、


「?、‥‥何かあるな。」


 枝に実の集合体になった果物。ブドウのようにも見える。


(採れなくもないとこだし、採ってみるか……)


「【身体強化(ストレンジ)】」


 足に強化を掛け勢いよくジャンプ。

 実をもぎ取り下へ落ち着地。


 やはり、―――見た目がブドウである。


「【調べ物(ノート)】」

 一応確認してみる。‥‥‥‥‥‥あった。

 持っている実と全く同じ果物が描かれている。



『グレープ』

 一つに密集した実を作る果物である。

 毒はなく、酸味が程よくておいしい。ワインやお酒の原料として使われることが多い。


‥‥‥‥どうやらこの世界にもブドウはあったようだ。万が一のこともあるので、前回の教訓から最後まで目を通していく。すると、――


  ※注意

 食べる際は、皮を剥いて食べてください。非常に高いアルコールを含んでいるため、常人なら口にいれた瞬間に動けなくなります。


「‥‥‥‥‥‥。」


 あぶなっ!!

 危うく前回と同じ過ちを犯すところだった。

 危うく魔物の餌になるところでもあった。


 集合体から一つ取り、

皮を剥いてから口に放り込む。

控えめの甘さに酸味が利いている。


全部は持っていけない。


五、六個もぎ取りそのまま先へ進んでいく……。





  *

  歩きながら茸や薬草を採取している。採取したそれらは、ネスクが持つ小さな袋に入れている。小さいが立派な『アイテムポーチ』である。

 グレープを取った直後、ミレドと遭遇した最初の洞窟が近かった為。

 入口近くにあった白骨死体を埋葬しに訪れた。その際、白骨死体が持っていたこの袋を使わせて貰っている。


 名も知らない白骨死体よ...。ありがとう。



探知(サーチ)】に何かが引っ掛かった。

 でかい魔力である。

 こちらへ近づいて来ている。


 車並みの猛スピード、


 逃げてもすぐに追い付かれるだろう。


「‥‥‥‥やるしかない、か。」


 仕方なく決意を固める。魔法の袋(アイテム・ポーチ)を懐に入れた。


  あれこれ考えてはいられない。


――あと、数十メートル付近まで接近。


 バキバキ バキッ!!


  それに伴い反応のある方向の木々が倒される。だがその原因となる()()の姿は見えない。


  目に見えないという恐怖がここまでとは。

 想像の斜め上に行っている。


 ヴヴヴゴアアアアアアアッ!!!!


 空気が震え大元(おおもと)から雄叫び声が上がる。余りの雄叫び声にネスクは耳を塞ぐ。


―――すると、



  目の前の木々が倒れた。

何かがネスクめがけて飛んでくる。


「っ!?【身体強化(ストレンジ)】!!」


 咄嗟に身体強化(ストレンジ)で後ろへ避ける。


 ドンッ!!!


 鈍い音と共に自分のいたその場に()()がいる。


「な、なんだ!?こいつは?」


  目の前に、


―――自分の何倍もある巨体。

 黒いモヤの中、赤く目を光らせる獣がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ