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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
1章 転生、異界『ラシル』の地にて。
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ミレドの教え≪レクチャー≫その2

―――それからは二人で黙々と肉を食べてる。


 何の肉かは聞かないでおく。


 仮にゲテモノだった場合、

 僕は以後、肉を食べれなくなりそうだ。




  食べ終わる頃に、

 先程感じた疑問についてミレドに聞いてみることにした。


「その服、どこから出したんだ?それに()()に戻したとか言っていたが。

 どういう意味なんだ?」


「服はその場で作ったんじゃ。粒子に戻したというのは()()()()の意味じゃよ。」


「どういうことだ??

 てか、あの場で作ったのか、服を‥‥。

 まさか魔法で‥‥?」


「魔法ではできんよ。(いち)から物を作って残すことはのう。」


  僕の中に新たな疑問が生じた。


「イメージで何でもできるんじゃないのか?」


  そう。ミレドは言った。

 ――魔法はイメージ。イメージが強ければ発動すると、では魔法で作る事も可能の筈。


「それにも限度はあるよ。

 例えば、生命を生み出そうとしても、身体は作れても心や人格までの生成はできん。

 それはただの(むくろ)と変わらん。

 生命を宿せるのができるのは、

 妾を生み出した"女神様"にしかできん。」


「じゃあどうやってその服作ったんだよ。」

「ヒントをやろう……。

 魔力は何から出来ておるかかのう?」


  指を立ててイタズラ好きの表情を浮かべる。

 片目を閉じウインク。どうやら僕の常識を試しているようだ。


「本に確か‥‥書いてあった。えーと。

 確か、‥‥『魔素』?」


「そう、『魔素』じゃ。では、

 魔素とは何か。分かるかのう?」


  問題の回答の後に。また問題。

 まるでワンツーマンの先生と生徒である。

だけど、この関係。


―――なんだかしっくりとくる。


「‥‥‥‥確か、『現象を起こすために必要なエネルギーを秘めた粒子』だったかな。」


  短い時間でソフィアがオススメした本に書かれていた事を思い出す。


「よくできたのう。頭を撫でてやろうぞ!!」


 そう言うや否や。

 ミレドはネスクの頭を撫で繰り回す。


「うりうりうりうり!!」

「止めんか!!!!!!!!」


  楽しげなミレドがネスクの頭を優しくけれども強く撫でる。




「さて、それについて捕捉じゃ。」


 ミレドによってボサボサになった髪。

 まるでテンパのようになった髪を元に戻しながら耳を傾ける。


「魔素はあらゆる物に含ませておる。

 生物もじゃが無機質な物などもじゃ。

 おぬしも魔力の"流れ"を感じたじゃろ?魔力とは、魔素の流れによってできた物じゃ」


(原子のような物か……)

 

  なぜかは分からないが、そんな知識が記憶の中にある。目に見えない小さな小さな粒。


―――それが集合して物を形作る。


 おそらく『オオヅキ』の記憶にある知識だろうな。


「代表的なモノが『魔物』じゃな。魔物は、魔素の塊のようなモノ。


じゃから魔物には、特殊な力を持っておることが多い。


  火を吐く魔物。爪や牙などが鋭く凶悪に発達した魔物。それから五感が鋭い能力など。

 様々じゃ」


  ふと疑問が浮かんだ。そう、初めて倒した『テウメッソ』についてだ。


「ここにくる途中『テウメッソ』とかいう。

 魔物と遭遇したんだけど、ソイツはどんな能力だったんだ?」


「テウメッソか…。おぬし。リンゴットを持っておったじゃろ?」

「えっ?僕、言ったか?」


  記憶を辿るも言った記憶はない。

 どこかで無意識に口走ったのだろうか。


「ヤツは嗅覚と視覚が優れておってのう。

 特にリンゴットを持っておるヤツが分かるんじゃよ。基本は警戒心が強いから襲って来ぬ。が、リンゴットが絡むと凶暴とかす。おぬし、相当危険なことしたのう。」

 

 ミレドのジト目。それがいかに危険な行動だったかを今更ながら再度理解した。


「その点は‥‥ちゃんと反省しているよ。」

「本当かのう?」

「本当です………。」


「まあ、無事だったから良い。じゃが、次から気を付けるように。下手したら体が三枚に下ろされておったかもしれぬからのう。」


「僕は魚じゃないですよ?」

「そのぐらいヤツ()は危険なのじゃ。分かったかのう?」

「はい、きちんと反省しています。すいませんでした。」


  心の底からお詫び申し上げます。はい。


「うむ、素直でよろしい!!

 さて、話を戻すがつまり。妾は、

 魔素から直接『服を作った』。

 というわけじゃ」


「それ、普通の人にできるのか?」


  流石に世界の誰も理解していないのではなかろうか。『原子』という存在を知っている自分だから理解できたが。


「いや、普通の人じゃ何年経とうが無理じゃな。魔素から物を作るのは、

 そのぐらい難しいことなのじゃよ。」

「それじゃ、僕のこの格好はしばらく、無理か…。」


  今の格好は、ぼろ雑巾。に、等しい服。

 せめてちゃんとした服が欲しかった所だ。


「うむ、そのくらいなら妾が作ってやるぞ。」

「‥‥良いのか?」

「良いぞ。ずっと、そのぼろぼろの布切れじゃ、おぬしも困るじゃろうからのう。」


  まさかの申し出。これには感謝しかない。

『衣食』。ここにあと『住』が加われば、最低限の生活の確率は出来そうだ。


「ありがとう。ミレド」

「礼には及ばん。こんなの朝飯前じゃ。

 じゃが今日はもう休め。

 おぬしも疲れておるじゃろう?」

「ああ、そうさせて貰うよ。お休み!」

「ああ、ゆっくり休むようにのう。」

 

  こうして長くもあり、短くもあった転生して初めての一日は終わりを告げる。

  硬い地面。だけど、横になり目を閉じていると眠りにつくのはあっという間であった。

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