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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
1章 転生、異界『ラシル』の地にて。
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世界の国々と対の龍

  ソフィアが本を取ってくる間に渡された本に目を通していく。そして、二冊の本をあらかた読み終わった頃にソフィアが二冊の本と大きな紙のような物を丸めて運んできた。


「調子はどうですか?」


「あらかた読み終わった所だ。で、‥‥その。でかいのは?」


「これはこの大陸の地図です。これがあった方が説明しやすいですから。どうしますか?先に本を読みますか?」


「先に世界についてを頼む。」


「畏まりました。では説明を始めます。」








  *

 彼女の説明によると、

  魔族は、魔王亡き後、北東に移り住み小さな国を作ってひっそりと暮らしたそうだ。魔族の大半は先の他種族との戦いにより死に、その数は魔王が居た時と比べると三分の一程しかいない。


  魔族の凶暴性は魔王が倒された時に失われ、他種族を本能のままに敵意を出し殺すことが無くなった。北東に国を作り、ひっそりと暮らしていたのがその証拠だ。


 それを見ていた女神は魔族を追撃することはなく、逆に慈悲と許しを与えた。


  魔王を倒した後、

人々は聖域の周辺に国を四つ建国した。


――北に【イ・ラール帝国】、東に【ヤグラシア共和国】、南に【ペルメス連合国】、そして西に【聖王国イブ】。

 

  【イ・ラール】・【ヤグラシア】・【イブ】が主に人間が主軸に【ペルメス】がドワーフ・エルフなどの他種族である。

 そして、【イ・ラール】と【ヤグラシア】の斜め上に【魔国デスラム】。魔族が作った国である。


  何故このように人間の国がほとんどの国になってしまったのかは気になるが、ソフィアによると本に書かれている、とのことなので本を読んでいくことにする。


  まずは『聖龍と邪』という本からだ。



 ◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■


  二対の龍は、破壊神と女神の力により生まれた。


  二体は、対をなす属性で互いが互いの存在を許さない。どちらかが滅びるまで戦う。


  二体にとって『共存』という言葉は存在しない。


 邪龍

 死を司る龍である。

 禍々しいオーラを放つ。その龍が現れし時、その場にいる生きとし生けるものが死に絶える。


 聖龍

 生を司る龍である。

 神々しいオーラを放つ。その存在がその場にいる時、死に瀕している生物は(たちま)

命を吹き返すとされている。


 二体は三度(みたび)戦った。その都度、

絶大な被害を(こうむ)り、二体は動く大災害と揶揄(やゆ)される程である。


 一度目は魔族と他種族の戦う戦場


 二度目は魔王城上空


 三度目は‥‥‥‥聖域にて。


  最初は邪龍の勝利。この時の戦場での死者数は途方も無い人数であった。

 死者の丘ができてしまうほど。

未だにこの時の人数を越える死者が出る戦は起こっていない。


  二度目は聖龍の勝利。上空での戦いだったことで被害は少なかったことがせめてもの幸いであった。邪龍はこの時に、破壊神の力を失い、【死のオーラ】の力が弱まる。


 三度目は【引き分け】となる。互いに傷を負い、聖龍は背中に、邪龍は胸に傷を負った。

 邪龍は傷を引きずりながら、空へ羽ばたかせ、聖域を去っていった。その行き先は誰も知られていない。

  そして聖龍はこの時に―――









 ―――友であり、戦友であった勇者【レイブ】と初代守護者【ジル】を失った。









  二人は元々政治に関与はしていなかったが絶大な人気を誇っていた為。


―――その権力は国一つの『王』ほどの権力だったとされている。その二人がいなくなると少なくない影響を与えてしまう。


  聖龍は二人の最後の意思を尊重するため、人々に二人は旅に出たと告げる。そして、聖龍の指揮の元、残った者達は徐々に元の生活へと戻って行った。


  これにより、二人から受ける影響はなくなる。そして、世界の秩序を守り、再び邪龍が姿を見せるのを監視するために『とある種』を生み落とす。それが【竜族】である。


  竜族は女神の力こそ持っていないが、聖龍の分身のような存在である。その力は邪龍には遠く及ばないものの人の力を大きく上回る。

 聖龍は人々が平穏へと戻った事を確認した後、後の事を『竜族』に任せ、聖域にて眠りにつく。再び邪龍と戦うために……。


 ◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■


  本を閉じる。そして、一息吐く。


「‥‥‥‥ふぅ、疲れた。」


凝った肩を擦り、首を回しながら呟く。


「お疲れ様です、オオヅキ様」


 何処かへ行っていたソフィアが一セットの白いティーカップを机に置く。


「これは?」


「ハーブティーです。疲れに効くハーブを煎じて作りました。よければどうぞ。」


「‥‥ありがとう。いただきます。」

  口の中、いっぱいにハーブの甘く香りの良い匂いが広がる。ミントのようにスースーして疲れた頭がすっきりする。


「‥‥‥‥美味しい」


「それは良かったです。初代様もよく飲んでいましたから、口に合って良かったです。

 ―――進み具合はどうですか?」

 ソフィアが後ろに回って肩を(ほぐ)してくれる。彼女の行動はまるで優秀な秘書のようである。


「もう少しで、終わりそうだ。」


「そうですか……。終わった後は、どうしますか?」


「一度、元の場所に戻ろうと思うんだが、戻り方はどうやるんだ?」


「来た時とは反対のことをすれば良いんです。」


「というと?」


「鍵を横にしたまま持って、反回転90度回しながら【閉じる(クローズ)】と言います。すると戻れるはずです。」


「なるほど、分かった」


 ティーカップをもう一口飲んで最後の本を手に取り広げる。

  今探していた最後の本「神話のその後と移りゆく世界」を‥‥。


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