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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2章 亜人連合国騒乱編
100/347

神器の姉妹

記念すべき、丁度これで100部です。最近は更新出来たり出来なかったりで不安定ですが、まだまだ続けるつもりですので改めましてこれからも宜しくお願いします。。

 

  ソフィアの顔が脳内に思い浮かぶ。


 兎を彷彿とさせる白い髪に赤い瞳、表情はそれほど豊かではないが、時々見せる僅な顔の変化。

 そこがソフィアの魅力である。


「ソフィアって女神様が作ったんだな。全然知らなかった。」


「ソフィア?」

  怪訝そうな顔でヒサカキが睨んでくる。

「今の彼女の名前だ。俺が付けた。」


「‥‥‥‥‥変な意味で姉様に付けてないでしょうね。付けていたら承知しません!!」


「付けてない、付けてない。意味は『叡知』。

『ダンタリアン』だと呼びにくいからな。

ソフィアも気に入っているようだったぞ。」


「そう‥‥姉様が...。」


  ヒサカキの表情が和らぐ。安堵の気持ちがヒサカキの表情に表れ出ている。

 ソフィアと比べると表情豊かである。


「所でここ、どこだ?さっきも聞いたけど。」


  キョロキョロ見ても何も無い。

無の空間といっても過言ではない。


「ああ、そうでした、そうでした。すっかり説明を忘れてました。此処は一応、あなたの夢の中ですよ。」


「一応?」


「はい!

 今はあなたの夢と私のいる空間を繋げています。あなたが私の根に触れている事でパスが繋がってこうなってます。なので離れてしまいますと、再びパスが途切れます。」


  なるほど、つまりは俺が触れている間は夢で繋がっているといった所か。

「だいたいは理解した。でも、ソフィアをこの空間に呼び出す事は出来ない。」


「何故ですか!?」

  前のめりに食い付き気味に服の裾を掴んでくる。小さく細い腕が服を掴んで離さない。


「まず、俺自身。

ソフィアを呼び出す方法が分からない。

次にソフィアいわく、俺と書庫のリンクが馴染んでいないらしく、不安定な状態なようだ。

呼び出すにはまだ時間が掛かる、と思う。」


  それを聞くとヒサカキがシュンと萎れて地べたに座り込んでしまう。


「折角、また姉様に会えると思ったのに‥‥‥。」

 ポツリと呟く。

「‥‥‥‥‥」


  周りには何もない。


そして、話す相手もいない。

 ヒサカキはずっと一人ぼっちだったのだろう。

  俺みたいに彼女とパスを繋げる相手なんてそう易々といるわけがない。今回はたまたま繋がったがまたいつ、彼女と繋がる相手が現れるか未知数。


 彼女は寂しいのだろうな。


「ヒサカキ、外で会う事は出来ないのか?」


「私が外に出ると結界が崩れてしまいます。結界は私の本体を中心に展開されていますから。これは、私の役目、女神様からの使命です。」


「そっか‥‥‥‥。お前の木の一部に触れればまた来れるのだろう?なら、また来るよ。」


「えっ?それは恐らく可能の筈ですが。何故ですか?あなたには関係ないでしょう?」


「これはソフィアが作ってくれた何かの縁なんだから。もう知ってしまったのなら、関係ないなんて事は無い。

 だから、そんな悲しい顔するな。」

  ワシャワシャと頭を撫で繰り回す。


「あっわっわっわっわ。」

 撫で回されて妙な鳴き声を発する。

「う~し、うし、うし、うし。」


「そ、そろそろ止めてください!!」


  無理やりヒサカキが腕を止める。

すると、ボサボサになった髪を戻す。


「どうだ?元気、少しは出たか?」

「もう少し丁寧に扱って下さい!!

 私の頭はタワシで擦る前の汚い洗い場ではありません!!」


  多少は髪が戻ったが、それでもまだぴょこぴょこと髪が跳ねて、一本だった触覚のような癖毛が増えている。


「悪い、つい。」

  両手を合わせて謝る。


「コホンッ、まあ、元気は出ましたので一応、お礼をいっておきます。

‥‥‥‥ありがとうございます。」


  ヒサカキがお辞儀をしてお礼を言う。

 素直な所はソフィアそっくりである。でも、

 ソフィアといい、ヒサカキといいどうしてこう表情豊かなんだろう。

 道具には感情なんていらないと考える事もあるだろうに、そこは女神様の気まぐれなのだろうかそれとも女神様の人格のせいなのか。


()()?大丈夫ですか?」

  ヒサカキの言葉で思考を中断する。


「ん?ああ、大丈夫、大丈夫。それより、ネス?」


「あなたの事です。親しい者とは愛称で呼び合うと以前、聞きましたので。ダメでしたか?」

 

「いや、特段ダメではないが。俺自身、そう呼ばれるのは初めてだったから。戸惑っているというか。」


「なら、良かったです。これから宜しくお願いします。ネス!」

 人懐っこい笑顔を向ける。元々はこういう表情をするのだろうな、きっと。


「ああ、宜しく、ヒサカキ。」


「むっ、私はヒサカです。ちゃんと、そう呼んで下さい!!」


「あ、ああ、宜しく、()()()。」

  そして、視界が捻り曲がり始める。


「あっ!ネス、忘れてました。これ()()()()()()()に渡しておいてください!!」

  何か手渡されたが確認する前に光に包まれて意識はそこで途切れる。

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