疑問
三冊の本を読み終わり、
疑問に思ったことをソフィアに聞く。
「ソフィア、この神話は此処で終わり?」
「いえ、まだ続きは有りますが、何か疑問でも?」
「話に出てきた聖龍と邪龍の話、竜族、それと魔王がいなくなった後、彼が生み出した魔族のことが書かれて無かったから。少し気になったんだ。」
「そういうことですか。‥‥では、その続きと竜族についての本を持ってきましょう。魔族については私から説明させていただきます。
あと、待っている間に
此方の本を読むことをオススメします。」
ソフィアが二冊の本を机に置く。先ほどの三冊の本より少し薄く、革ではなくヒモで束ねている本である。
「これは?」
「この『世界の植物』についての本と『魔法』について書かれた本です。此処を出たあと、何が食べる事が可能なのか知っておくと良いと思いますので……。魔法はオオヅキ様の力にもなると思います。今のままでは普通の魔物にも殺されそうです。」
「なるほど」
確かにそうだ、自分はこの世界の食べれる物を何も知らない。その状態でその辺に生えている物を食べると確実に危険だ...。これから生きていく上でこの2冊の本は必須である。
「‥‥ありがとう。目を通しておくよ!」
「魔力についてなのですが、これは知識として覚えるというより、実際に体験した方が上達が速いと思います。」
「そうなんだ…。じゃあ此処じゃ何もできないか……。」
「‥‥いえ、オオヅキ様は既に魔力を体験しているのであとは、その仕組みについてを学べば直ぐに使えると思います。」
???
考えてみる。
「そんな事あったかな~~??」
首を傾げる。
「覚えていらっしゃらないですか?ほら、初代様の石碑に触れた時、温かな流れを感じたと思うのですが。あれが魔力の流れです。」
?
‥‥‥‥石碑。
あの洞窟の奥で石碑に触れたときのことを思い返す。そして、
!!
右手を拳にし、左手を皿の様に手の平を上にして打つ。
ぽんっ
良い音がなる。
「あーぁ!、あれか!!」
「はい、あれは初代様が魔力の性質によって善悪を区別を付けるために作り出した初代様オリジナルの物なんです。」
あれがか~。
石碑を思い出しながら思う。そしてふと疑問が思い浮かぶ。
「‥‥‥‥もし、悪だと判定された場合どうなっていたんだ??」
「その場合は、石碑が魔力暴走を無理やり起こさせ、行き場を無くした魔力が体の中心に集まって魔力が爆散、そして体が木端微塵に吹き飛びます。」
「怖いわ!!!」
さらっと怖いことをするなぁ、初代様は……。
危うく、この世界に来てすぐにバイバイする所であったのだ。その時のことを考えると、自分の顔から血の気が引いて行くのが分かる。
そんなこんな考えていると、
「では、本を集めて来ますので待っていてください。」
「ああ、面倒事ばかりすまない……。」
「いえ、これも私の仕事の一つですので、それに頼られるのは嬉しいです。初代様は、此処にある本を全部読んでいて何処に何があるのか全部把握していて私の出番はありませんでしたから。」
そういうと会ってから今までに見たことの無いような弾けんばかりの笑顔をしてくる。書庫に来て、彼女と話していて気付いたが、元々余り顔に出さないのであろう。その顔から突然、笑顔で言われるととても眩しく見えた。暗いトンネルの中から太陽がサンサンと照らされる外に出るようなものである。
兎のように軽やかにぴょんぴょんと跳ねて行く。その彼女の姿は、兎というよりも、初めてのお使いを頼まれた犬のようにも見えた。
―――気のせいだろうか…、ソフィアのお尻付近に犬のようなふさふさの尻尾が揺れているような幻覚が見える。
初代様が凄すぎで過激です。あと、世界についても徐々に分かってきています。次回は、神話のその後と聖域の外についても書きます。