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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
序章 全てを失った日
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家族

初めまして、和兎と申します。読む方はよく利用しますが、書く方はこれがはじめてです。初心者なので誤字、脱字があることが多いかもしれませんが、頑張って書いていこうと思います。

  プロローグ

 

 ―――――辺り一帯が炎で燃え尽くされ、生き物の様に炎がうねっている。

  焦げ臭い何もかもが燃え付くされていく地獄絵図とも思える光景の中。少年が立つ。

  黒い刀を携えマントを羽織り、炎に照らされ漆黒の髪が熱風で揺らいでいる。

  その瞳にはあの日の光景が写し出されていた。


 ―――全てを失い、この世界に来ることとなった記憶を思い出しながら―――



  序章 全てを失った日


  その日も少年。

  十六夜いざよい 大朏おおづきは、いつも通りの時間に起床し、身支度を整え学校へ向かった。誰も居ない家の戸締まりをして…


  彼は、どこにでもいる平凡な高校二年生である。唯一違うとすれば、彼は不幸な環境の中にいる状態であること。


  俺が15歳の時に家族はバラバラになってしまった。祖父が12歳の時に亡くなってから壊れ始める。

 祖父の死後、父の帰りが遅くなり母とよく口論をするようになった。祖父は厳格だったため、父の(ストッパー)になっていたのだと今にして思う。

  でも、祖父は優しい人でもあったため両親が仕事で居ない間。俺達、兄妹の面倒をよく見てくれた。祖父から剣術の指南を受けることもよくあった。


―――俺が15歳の冬に限界が訪れた。

 母が、家を出ることにしたそうだ。妹は、母に付いて出て行った。俺も、母に付いて行きたかったが、俺はこの家に残ることにした。

 父を一人にしておくのも心配だが、何より俺はもう一度家族に戻りたいからだ。

 …日だまりの中で家族と一緒に暮らした日々を夢見て俺は今日も受験で受かった学校へと足を運ぶ。


 母が妹と出てから父は一度も帰って来ていない。高校の学費は母が出してくれたが、生活費は自分で稼がなければならない。学校に入学してからは、バイト三昧の日々である。


 勉強はバイトの合間に時間のある時にしている。結局、部活はバイトで入部できなかった。それでも学校生活は、順風満帆に行っていた。が、その日々も徐々に色褪せて行くことになった。


  始めは何だったのか覚えていないが、徐々に無視されることが増えていった。それからは悪化して行くだけ。物を隠されたり、机に落書きをされるようになった。次第に暴言、暴行などもこの中に含まれるようになった。


  それらの主な奴等は、

クラス委員長の河野かわの 海斗かいととその取り巻き。







  ※

―――その日も机の落書きを落とし、荷物を取り教室を出た。すると、隣の教室から、話し声が聞こえてくる。


‥‥‥‥誰か残っているのだろうか?


 俺は、隣の教室のドアの窓から少し覗いみた。そこには見知った顔の二人が話していた。


一人は、高原たかはら 孝希こうき

 俺の幼なじみだ。清涼な性格で物事をはっきりと言う性格。サッカー部に所属していて、うちのエースストライカーだ。昔から運動神経がよく鬼ごっこやキャッチボールなどの遊びで彼の右に出るものはいなかった。


もう一人は、鷹野たかの 好太郎こうたろう

 昔から人当たりがよく、優しいため女子の友達がたくさんいる。一部の人からは女たらしと呼ばれている。彼も同じくサッカー部で、キーパーをしている。昔はよくこの三人で外の遊びをしていた。


 最近は、俺がバイトで先に帰ることが多いため話すことが前より減った。久しぶりに三人で帰ろうと、ドアの取っ手に手をかけた時、その会話を聞き固まった。


「お前、好きな人でもいるのか?」

「っ!‥‥急にどうした?」


  鞄の中に教科書を詰めて行く手を止めて孝希

 が首をかしげて机の上に完全に座っている好太郎へと聞く。


「この前、隣のクラスの女子に告られてただろ‥‥。でも、断られたって聞いた」


「お前、一体その情報何処から仕入れてくるんだよ?」


「隣の女子の友達から聞いた。で、結局誰が、本命なんだ?‥‥‥‥まさか、恵、とか?

 なんちゃって‥‥」


「‥‥‥‥!?」


 孝希の顔がタコのように真っ赤になり、湯気が上っている。好太郎が目をぱちぱちとした後、腹を抱えて笑い始めた。


「あははは!!、おま‥‥、マジかよ!!

 分かりやっすっ!!」


「うっせー!!しょうがないだろ!」


 お腹を抱えて笑う好太郎を、タコのように真っ赤にした孝希が怒鳴った。


「は~、笑った。‥‥まさか"恵"とは。

 昔はよく弄めてたろ!あれが好きの裏返しだったとは‥‥!!」


 七草ななくさ めぐみ

 俺の幼なじみの一人だ。昔はよく、好太郎、孝希、恵、俺、そして妹の5人でじゃれあっていた。昔から、引っ込み思案でよくその事で孝希に弄られ俺の後ろに隠れて、俺が助け舟をよく出していた。

「で、‥‥いつから好きになったんだ?」


「‥‥初めて会った時から」


  口尖らせてぼそりと呟いた。

 俺達が初めて会ったのが小学校5年生の時だ。


「‥‥今度、アイツに告ろうと思ってる……。」

「おう、がんばれー」


  好太郎が棒読みで手の平をヒラヒラと上げる。応援しているようで何処かどうでもよさそうに言う。


「‥‥でも。恵が大朏のことをどう思ってい

 るのか気になるんだ……。」


「そこは大丈夫だろう、多分。隣のクラスの河野から聞いたんだけどよ、アイツ。今それどころじゃないらしい。仮にそうでも、アイツはどうも思っていない節がある。大丈夫!イケイケ~!!」


「‥‥なら!!アイツに告る前に俺がコクる。成功を祈っててくれ!!」


「おう、成功したら祝賀会でも開いてやるよ!!」


  二人が廊下に聴こえるくらい高らかと笑う。それを聞いた大朏はただ廊下で突っ立っているしか出来ない。ドアの手掛けの部分に触れていた右手もだらりと降ろす。


 彼の頭の中では、

―――様々な葛藤が生まれしまった。

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