~悪魔の銃と悪逆の徒~
この世すべての悪性を身に宿している.
この世とは,悪とはどこから始まるのか,それを知っているのは私だけだ.
人を傷つけることに憚るものはなく,汚泥を踏むように人を踏みにじり,風を切る毎に人生を切り刻む,暖炉に薪をくべるように歴史を燃やし,存在するだけで絶望をまき散らす.
故に,私は自らを“大罪”と命名し人の世に影を落とす存在として今も世界を汚染し続けている.私の糧は悪事の源泉から出でたる憎悪,波及する悲しみの連鎖である.そして,後悔と懺悔の水で無い喉を潤す.
遠く昔,群衆は私を英雄と呼び,自らが戦場に描かれる地獄の絵具であることさえわからずに行儀よく陳列していた.それが,最近では私の存在に気付く賢しい者が“宗教”を作り出し,私の存在を広め私の活動を妨害するようになった.よって,人の世の繁栄に伴い利便性と隠匿性から姿を“銃”に変化させて,隠れ蓑から頭を突き出し,獲物を狙う.
そして,人を害するために,人を殺すために、全ては自らの空腹を埋めるために、共に行動する欲にまみれた徒を探す.
次の徒は,街を焼くだろうか,それとも国を亡ぼすだろうか,はたまた世界をなかったことにしてしまうだろうか.それは,私にも分からない.ただ待つ,人ならざる者に傅く逆賊の徒を------