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閑話 埋もれる被害報告

「はー、忙しい、忙しい」


 わたくし、ネンマー・ジャンツ・ボ・ラクジタカは来るべき管理者会議の開催準備に追われています。わたくしも長い間、議長を務めていますが、何度経験しようとこの管理者会議の準備は大変なものなのです。


 ちなみに管理者会議とは、一億年に一度開催される管理者たちが一同に集まる会議の事です。

 そこではさまざまなことが話し合われます。新米管理者たちに対する諸注意から、すばらしい成果を上げている管理者の事例報告など、1年間かけてしっかりと話し合うのです。


 昔は暴れ者の管理者がいて、会議を荒らしたりして大変でした。しかし、3億年前の会議で管理者たちの賛成多数で暴れ者は封印することができました。そのおかげで、今は落ち着いた管理者会議の運営ができます。


 さぁ、がんばりましょう。来るべき議会はもうじきですから!



 ◆ ◆ ◆



 この時、ネンマー・ジャンツ・ボ・ラクジタカの部屋に、4通の被害報告が書簡として届けられていたが、彼女がその書簡に目を通すことはなかった。ネンマー・ジャンツ・ボ・ラクジタカのアシスタントが優先順位を考えて、この書簡は管理者会議の準備に追われている今、渡す必要はないと判断したのだ。


 しかし、後から振り返ってみると、この時点でネンマー・ジャンツ・ボ・ラクジタカが書簡の内容を把握し、対処に動いていれば、この物語はまた変わっていたのかもしれない。




 ◆ ◆ ◆



<1通目>


 新米管理者チュンヂュンチュチュンからの被害報告


【概要】

 ゴーレムと名乗る銀色の小さな機械のような監査官により、管理している世界を乱されました。



【被害内容詳細】


 生命の異常進化


 ゴーレムと名乗る銀色の小さな監査官が、ボクの管理する世界に勝手に恐ろしいほどの力を注ぎ込みました。

 それは、もう見たこともないほどの大量の力でした。そのため、これから長い年月をかけて進化するはずだったボクの世界の生命が異常な進化を遂げてしまったのです。


 すばらしい事例のひとつとして紹介されたこともある地球という星のカンブリア大爆発(でしたっけ?)なんて目じゃないほどの多種多様に生命が進化を遂げてしまいました。さらにまずいことにすべての生命体が、同一の言葉を喋り出し、お互いに意思の疎通が可能になってしまったのです。意思の疎通が可能になったのは、百歩、いや千歩譲ってまだいいのですが、何かに影響されたかのごとく、ほぼすべての生命体が自己中心的で、楽天的な性格になってしまっているのです。


 たとえば、何かがあるとすぐに「わふー」「わふー」と叫んではしゃぎまわる個体が多くいます。ボク一人では、手がつけられないので、支援をお願いします。




 ◆ ◆ ◆



<2通目>



 自堕落な管理者ゲヒ・ウィスカーズからの被害報告


【概要】

 管理している世界儀の筆頭管理者がいつのまにかゴーレムという名前に変わっていた。



【被害内容詳細】


 ワシの自慢の髭を勝手に剃られた。おまけに鼻の下にちょびっとだけ髭がある状態になってしまった。さらにそれだけにとどまらず、ワシのゲジゲジしていた力強い眉毛が、眉毛が丸くなっていた。


 最初はワシも時がたてば生えてくるから問題ないかと思っていたが、今、毛が生えているところの他は、いっこうに髭や眉毛が生えてこない。ワシは一生このままなのかと思うと眠ることが出来なくなってしまった。


 さらに、それだけではなくワシが管理する世界の筆頭管理者がゴーレムという名前に変わっていたのだ。ワシもただちに筆頭管理者の名前を元に戻そうとしたが、世界儀にはおそろしいほどの力が注がれていたため、ワシがどれだけの力を注いでも筆頭管理者の変更ができない。


 これからは、きちんと自分の世界儀の管理をするので、筆頭管理者の変更を手助けして欲しい。




 ◆ ◆ ◆



<3通目>



 出番のなかった管理者ウース・イカゲからの被害報告


【概要】

 自分が管理する世界中に、現代の奇跡としてゴンレム伝説が根付いてしまった。


【被害内容詳細】

 自分が管理する世界に突然、イレギュラーの存在が入り込んだ。そのイレギュラーによって、自分が管理している世界が乱された。世界儀を管理する力を持つ者、管理者はできるだけ手出しをしないほうがいいが、そのイレギュラーはものすごい勢いで自分の世界に手を加えた。


 自分も世界儀の中にいたから、よくわかるが作業用のゴンレムがあり得ない力で猛威をふるい、何をしても破壊不可能だった。そして、マスメディアが現代の奇跡、ゴンレム伝説とはやしたてたため、自分の管理する世界にゴンレム伝説が根付いてしまった。


 最後は、自分がゴンレムを注意するために、ゴンレムの前におもむいたが、すでにゴンレムはもぬけの殻だった。調査の結果、どうやらゴンレムに乗っていたのは、小さな角張った銀色のロボットらしい。



 他の管理者がいる世界儀には、簡単に入ることができないので、自分にも油断があったことは否めない。しかし、この事件の犯人は何が目的なのか一切不明なので、自分以外の被害者を出さないためにも早急な対処を希望する。




 ◆ ◆ ◆



<4通目>


 ひねくれてしまったかぐや姫からの休職願い


 ゴーレムと名乗る変な銀色のロボットが、私の世界をめちゃくちゃにしたので、すべてがどうでもよくなりました。

 私は最近、働きづめだったことに気付いたので、少し管理者という立場を離れたいと思います。私が管理している世界を代わりに管理してくれる人を早急に派遣してください。


 私は代理の管理者が来てくれたら、すぐに自分探しの旅に出ようと思います。3万年ほどで戻ってくる予定です。

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