第三話―バットタイミング-
そして三日後...
規模100人程のリリィ率いる魔王サタンへの
クーデター集団が魔王城前の
門前へと迫っていた。
ついに魔王サタン率いる魔王軍の精鋭
200名程の軍勢が動き出した。
魔王軍は門の内側にずらりと並び
魔王サタンの出撃命令を
待っているのみとなった。
そしてついに魔王サタンが
威圧感を込めた声で言った。
『魔王軍!出撃せよ!
駿足のリリィはこの俺に任せて
雑魚どもを蹴散らしてこい!
この俺の前に立ちふさがる邪魔者を
残さずな。』
その号令が終わると同時に
魔王城の門がギィィと音をたて開いた。
すると門の内側にいた魔王軍の兵士たちと
門の外側にいたクーデター集団の悪魔たちが
いっきに突撃し門の敷居を少し出たところで
激しい戦いを繰り広げだした。
するといつの間にかいつもはしまい込んでいる
大きな羽を羽ばたかせ
魔王城の門の上へと登っていた。
魔王サタンは鋭い目付きで
眼下にて繰り広げられる
戦を見守っていた。
(.....戦が始まり早一時間程がたったか。
200名も導入する必要もなかったな...
この様子ならあと二時間もあれば
クーデター集団を全滅させられるだろう。
.....駿足のリリィがいるからといって
所詮は魔界の下級悪魔の寄せ集めか...
まぁ念には念を入れるというのは
大切なことだよな、うん。)
そう考えを巡らせながら魔王サタンは
門の上に腰をおろした。
「.....サタン私がいない間に
なんだか面白そうなことをしているじゃないか、 こんなことをするときは私も誘ってくれよ。」
いきなり後ろから聞きなれた声がした。
サタンは慌てて後ろを振り向いた。
するとそこにはサタンの予想通り
ルーシィがいたのだった。
サタンはそれをききあきれながら言った。
「...お前が始めからいれば俺はこんなめんどいことをしていなかったさ。
きっと今頃、現実逃避
をしている真っ最中だったはずだ。」
それを聞いたルーシィは
「あら?それなら私いなくて正解だったな。
これ以上サタンをだめニートみたいな
性格に仕上げたくないしな。」
カチンときたサタンは
「だいたいお前はどこに行ってたんだよ!
探してもどこにもいねぇし。」
眉間にシワを寄せて言った。
普通の悪魔たちが見たら
気絶するくらい怖い顔をしている。
「フフフ.....どこにいってたかって?
それはねぇ.....ナイショ
乙女には秘密が付き物さ。」
ルーシィはどや顔で言った。
魔王サタンはキレる寸前である。
すると追い討ちをかけるかのように
ルーシィは呟いた。
「あっ!もうひとつ大事な用事を
思い出した、
サタン、私はもう一度出掛けてくる。
この面白そうな状況で抜け出すのは
少し惜しいがな...
まぁ私がいなくてもなんとかなるだろう。
せいぜい頑張れよ。」
それを聞いた
サタンはバッと立ち上がり
そして体ごと後ろを向き
怒鳴った。
『全く自分勝手だな!!
俺はテメェなんかいなくても
やってけるよ!!』
すると怒鳴った先にはすでに
ルーシィはいなかった。
しかし入れ替わりといっていいほど
ベストタイミングでその場には
一人の女悪魔がいた。
女悪魔はわなわなと震えながら言った。
『魔王サタンめ!!!
この台詞をこの私にまた言うなんてね!
あのときもそうだった!
私はお前を絶対許さない!
あのときの屈辱は忘れないからな!』
魔王サタンは非常に焦った。
歴代まれに見る焦り具合である。
そう.....ルーシィと入れ替わりで
サタンの後ろにやって来た女悪魔は
駿足のリリィ
本人だったのだ―.....