第二話-暴動-
魔王城の一室
魔王がいつも座っている王座のある
王の間よりももっと奥に進んだところ
そこには魔王の自室
プライベートルームがあった。
そしてその部屋の中心
ベットうずくまり
今にも泣き出しそうな顔をした
魔王サタンがいた。
そう...
前回、魔界の悪魔たちに
またしても壮絶な勘違いをされたことに
気付いた魔王は
最近は一番使用量の多くなった
必殺技現実逃避
を発動していた。
「はぁ.....もうやだ、ほんとやだ
どれくらい嫌かって?
一万回地獄の業火に焼かれるくらい嫌...」
そんな誰も聞いていない独り言を
呟いていた魔王の自室にドアのノック音が
響いた。
「魔王様~!開けてもよろしいですか?」
この声は恐らくスーザンだろう。
もちろん魔王はこう言った。
「開けたら殺す。」
本人は無意識だがドスの聞いた声で
話したので
外にいるスーザンは
「フォォォォォ!さすが魔王様!
声だけでここまでこのスーザンを
感激させるとは!たった7文字の言葉に
そのような威厳を込められる悪魔は
魔界のどこを探しても魔王様しかいません!」
外にいるスーザンの声で
スーザンの今の外での様子が
とても伝わってくる一言だった。
しかし今の魔王は現実逃避
を邪魔されてかなり不機嫌なのだ。
.....無視を決め込んでいた。
するとスーザンは慌てた声で魔王に
話しかけてきた。
「魔王様~!確かにいつものスーザンならば
先程の一声で魔王様をお呼びするのを
諦めておりましたが、実は
今回はそうもいかないんです.....」
魔王はあのスーザンが俺の一言を聞いて
まだ魔王の自室の前に居たことに
驚いて聞いた。
「なんだ?今日は珍しく会議も
仕事も何にもないから自室でゆっくり
しようとしていたのに。」
するとスーザンは重い口を開いた。
「実は~.....先日の魔王様の
自分の思い通りになる世界を作る!
という宣言を聞いた者たちが
小規模ではありますが
暴動を起こしておりまして...
まぁいつもならわたくしスーザンめが
一人で何とかするのですが今回は
どうにもその暴動の中心の者が
上級悪魔でありまして.....
ここは魔王様に出てもらわねば
少々厄介な相手なんです.....」
スーザンの珍しく落ち込んだ声が聞こえてきた。
それを聞いた魔王は
現実逃避
を解除し
渋々と自室のドアを開けたのだった。
「.....ルーシィに頼めば良いんじゃないか?
仮にもあいつは魔界で俺の次に強い悪魔
なんだから」
するとスーザンは
「それも考えましたがルーシィが
どこにも見当たらないんですよ.....
一体どこいってるんでしょう.....」
魔王はそれを聞いて盛大なため息をついた。
するとたまたま魔王の自室の近くを
通りかかっていた悪魔たちが
ビクリと肩を上げていた。
そして魔王はスーザンに聞いた。
「それにしても暴動を起こしている
上級悪魔って一体誰なんだ?
この魔界に上級悪魔なんて指の数ほどしか
いないはずだろう?」
するとスーザンは答えた。
「魔界でも美人ランキング5位以内入る悪魔。
通り名は駿足のリリィ!
特徴はそのなの通りすばしっこい
ことですね!
しかしこの悪魔、なんだかこの前の
魔王様の宣言で怒り暴動を起こしたのではなく
もっと前から仲間を募っていて
今回の魔王様の宣言をよく思わない者たちが
その暴動に参戦したことから始まった
らしいんです.....
理由は分かりませんが.....」
それを聞いた魔王は青ざめていた。
そう何故ならこのリリィという悪魔とは
前からの知り合いだからである。
そしてこの悪魔とは
嫌な思いでしかなかったのだ。
それは昔...
五十年ほど前...
魔王に言い寄ってくる
一人の女がいた。
それがリリィだったのだ。
あまりにもしつこかったリリィに
魔王はキレ、
そしてとてつもなく
ひどい突き放し方をしたのだ。
しかし五十年も前のことを
魔王は詳しくは思い出せなかった。
それほど魔王にはそこまで印象に
残るほどでもないことだったのだ。
しかしこの暴動を
止めにいくとき
リリィと会うことになるのかと
考えると
嫌な予感しかしないのであったー.....
読んでくださりありがとうございます!
実は、のっぴきならない行事が
2週間後にございまして
今日から2週間は不定期更新に
なってしまうと思います。
どうもすいませんm(._.)m