第1章 第1話
親友の美羽と卒業祝いを兼ねたお花見に行ってから、1ヶ月が過ぎた。
私は葉桜のもと高校に入学し、蘭園高校の生徒となった。
入学してすぐテストがあったりと、慌ただしく時間が過ぎている。
蘭園高校には同じ中学出身の生徒が一人もいない。見知っている生徒もいない。
何も分からない世界にただひとり投げ出された気分だった。
元々「友達は数より質!!」タイプの人間であるため、多くの人と親密になろうとはしない。
けれど…それは、いつも美羽がいてくれたからなのだろう。
自分のポリシーに任せて人を選んでいたら、本当に独りぼっちになってしまう。
そこで私は[柔和で明るい人]になることにした。
その結果が今である。
特別親密な友達はいないが、クラスの8割程の人とはクラスメートとしての関係を築けたと思う。ほとんどのきっかけは、学級委員長を引き受けたことにあるけど…
「さーなちゃん! 一緒にご飯食べよ?」
彼女は 浜田すみれ。
一緒に学級委員を務めることになり、一番最初に出来た友人だ。
「もちろん!」
私は笑顔で答える。
彼女は嬉しそうな顔をして、 私の机にお弁当箱を置いた。
「あれ?今日のお弁当箱、小さくない?」
私が訪ねると、
「そうなの! すみれね、ダイエットするんだー。この学校細くて綺麗な人多いんだもん。きっと私、太って見えてるよ!」
確かに、細くて綺麗な人が集まっている。
それは、この学校に 校則 というものが存在しないからだろう。
化粧をしても、髪を染めても、アクセサリーを身にまとっても、先生に指摘される事はない。
言わば 自由 な学校だ。
「すみれさん?細くて綺麗なすみれがそんなこと言ったら、私なんかどうすればいいの?」
そう言うと、彼女は照れ臭そうに笑った。
[自分を肯定してくれるタイプの人と仲良くする]
人物図鑑に、一行付け加えておこう。
人物図鑑とは、私が中学生の頃からつけているものだ。
その人の好みやタイプ、苦手なこと、嫌っている人等の情報を書き留めておき、出来るだけ波風を立てないように記憶するもの。
嫌がられる事は目に見えているから、私だけの秘密。
私が本当に仲良くなりたい人は、こんな図鑑なんていらない人。
蘭園高校で、出会えるのかな…
一日はまた過ぎていった。