一人目の来客と、さよなら
君「あら、珍しい。こんな寂れた図書館に、人が来るなんて。何年ぶりかしらね。」
僕「……、寂れてなんか、いない。僕は、ずっと前から来ている。たぶん、君と同じくらいに。」
君「へー、そうなんだ。でも、会うのは今が初めてよね?」
僕「さぁ、昔、会ってみたいな、そのような、感覚でもあるかい?少なくとも、僕は、無いけどね。」
君「……君っていう人は、感じが悪いね人だね。」
僕「ありがとう。ところで、この図書館に薄くて、面白い本はあるかい?」
君「……急に、言われても困るね。でも、本は沢山あるし、厚い本、薄い本、悲しい本とか、いっぱいあるよ。好きに、見て回ったら?」
僕「……そうするよ。」
僕は長い時間、本を探して、読んで、戻してを続けた。
君「……君は、どこから、来たんだい?ここの人ではないよね?どこか、とおーいとおーい場所から、来たの?」
僕「さぁ、僕もその答えを探してる。だけら、薄くて面白い本を見つけて欲しいんだ。」
君「なんでだい?薄くなくちゃ、いけないの?厚くてはダメなのかい?」
僕「僕には、薄い方が良いんだよ。」
君「君は、おかしな人だね。まぁ、私もおかしな人だけどね。君とは気が合うかもしれないな。」
僕「僕は、君と合ってもいい気がしないね。」
君「……本当に君は、感じが悪いね。」
僕は、開いた本の内容を見ながら、君の話を聞いていた。
薄い本は、一向に見つからない。
君「今日は、雨が降っているね。……これから、激しくなるのかな?それとも、落ち着いてくるのかな?」
僕「…わからない。でも、僕は、激しくなってほしいね。その方が、気持ちがいいよ。」
君「…君は、面白いね。他の人達は、雨を嫌ってるのに。君は、好きなんだね。」
僕「うん。冷たくて、暖かくて、まるで人みたいだから。僕は、好きなんだ。」
君「そうなんだ。君は、人が好きなんだね?じゃあ、君は人が沢山いる所から来たんだね。だって、人が好きなんだから。」
僕「わからない、だから、本を探してよ。一緒に。」
君「…うん、わかったよ。でも、何でそんなに、急いで探しているの?ここは、時間も命も関係ないのに。」
僕「わからない、わからないよ。でも、急いで探さないと、彼女が、困るんだ。」
君「?、君には、彼女が、居るのかい?困るのは、彼女だけかい?」
僕「うん、たぶん。」
君「じゃあ、急いで探さないとね。君の大切な本をね。」
それから、数年経っても、本は、見つからない。
大切な本なのに、何で見つからないのか。わからない。
確かに、ここに、あるはずなのに。
君「……見つからないね。少し聞きたいことがあるんだ。君に。」
僕「なんだい?」
君「それは、本当に薄い本なのかい?本当は、もっと厚い本なんじゃないのかい?大切な本なんだから。」
僕「……」
君「君の本は、本当は、厚くて厚くて、読むのに大変な、本はずだよ?ちゃんと、思い出してみな。」
僕「…………君は、優しいね。」
君「そうでもないよ。君が欲しいものや、見つけて欲しいものは、君しかわからないよ。」
僕「だね。ありがとう。見つかりそうだよ。大切な本が。」
君「そうかい?なら、後は私が届けるよ。だから、君は、先に行っておいた方がいいよ。だって、そっちの方が長くて遠くて、大変なんだから。」
僕「ありがとう。じゃあ、そうするよ。最後に、君の名前の名前を知りたいな。」
君「君には、必要ないことだけど。私の、名前は零菜。ここの図書館の管理人さ。ほら、沢山の人達が首を長くして待っているよ。早く行ってやりな。じゃあ、また」
僕「うん、じゃあ、、、、、。」
僕は、気がついたら。白くて綺麗なベットにいた。彼女は、泣いていた。大きて丸くて綺麗な涙を流しながら。
僕らは、「ゴメン、ありがとう」って、言って抱きしめ合った。
零菜「……また、迷ったら来なさい」
君は、そう言いながら白くて綺麗な扉を閉じた。
ここは、迷ったり、探したり、考えたりする図書館。
では、また誰かが来る日まで、、。