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騎士殺し

Code Burst【コード・バースト】、戦闘パート開始です!

「やっと見つけた、もう逃がしはしない」

 目の前に立つ黒スーツの少女は、静かな声音で言った。

 翔はただ、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

(何が、どうなってるんだ……?)

「さがっていろ翔。お前じゃ敵わない」

 ハーネストが拳銃型の取り出し、前に出る。

 ハーネストは銃口を向けたまま、少女に問いかける。

「さて、やりあう前に聞いておこう。お前は何者だ、何のために俺たちをつけていた」

「いいだろう、答えてやる」

 少女は右腕を水平に持ち上げた。すると、

「わたしの名は、ルミア・マティウス。魔導騎士領まどうきしりょうの騎士だ」

「……!」

 虚空から一振りの剣が現れた。大剣よりもやや小さいソレを握ったまま、ルミアと名乗った少女は続けた。

「そして訂正させてもらおう。わたしがつけていたのは、貴様らではなく貴様だけだ―竜島傭兵戦団ドラゴニックス、団員……<騎士殺し>マクシミリアン!」


 剣を両手で持ち直し、少女-ルミアが間合いを詰めてきた。ハーネストはMTDに魔力を込め、少女に向けて放った。しかしルミアは剣を翳して、それらを防いだ。

竜島傭兵戦団ドラゴニックス、なんのことだ?」

「とぼけるな! 貴様に殺された仲間たちの恨み、晴らさせてもらうッ!」

「こっちの証言は無視、かよ!」

 ハーネストは一定の間合いを取るため、地面を蹴って飛び退る。

 ハーネストの言ったことは本当だった。その名前には憶えがあるが、所属していたわけではない。だがルミアの言っていた言葉も嘘には聞こえなかった。

 考えてる間にも、戦局は変化していた。今まで剣で切り込んでいたルミアが、突如距離を取ったのだ。そして右手を剣から離し、こちらへ突き出した。よく見ると、その人差し指には指輪のようなものが嵌っていて。

(まさか、MTDか……!?)

 その一瞬が、好機を与えてしまった。

「【炎による騒乱≪フレア・ガイスト≫】!」 

 右手を中心にして魔法陣が展開し、三つの火球が無秩序に襲い掛かってくる。二つは銃弾で霧散させたが、一つは足元に当たって爆発した。爆風に煽られながらも、ハーネストは耐えてみえた。

「ハーネストッ!」

 翔の声が聞こえたが、答えられる余裕はなかった。ハーネストは小さく舌打ちをして、

「汎用型のMTDで攻撃用魔法を使うか…特化型なら納得いくが使っているのが汎用型それで発動しても威力は落ちるハズだぜ。お前…まさか」

「たった一度魔法を発動しただけで見抜くか。ならば、出し惜しみはしない」

 剣の構えを解いて平然と立ち尽くし、ルミアは言った。

 ハーネストは確信していた。彼女はただの魔導士ではない。となれば、もう彼にすべてを言うしかない。

「翔!」

 ハーネストはこの場にいる唯一の一般人の名前を呼んだ。

「これが終わったらすべて話そう。だから……目の前の光景から目を逸らすな、いいな」

「なん、のことだ?」

 翔の疑問には答えず、ハーネストは自らのやるべきことを始めた。


 まず見えたのは、ハーネストの方だった。

 彼は手にしていた拳銃型MTDを上に向けて撃った。

 するとそこから、大きな魔法陣が出現した。陣はそのまま降下して、ハーネストを取り込む。

 そして彼を包んでいた陣が消えて、彼の姿が見えた。

「は、ハーネスト?」

 黒いコートに身を包んだ彼の姿が見えた。翻った裾から見える両腿には、それぞれ一つずつ、ホルスターのようなものが巻かれていた。

 そして姿が変わっていたのは、ルミアの方もだった。こちらはコートだはなく、白銀の鎧を纏っている。しかし全身を覆うような代物ではなく、胸や腕や足といった部分だけ鋼鉄があり、それ以外の箇所は動きやすさを考慮してか黄色で縁どられた青い服を纏っている。

「どうなってるんだ……」

 独り言のような問いに答えたのは、ルミアの方だった。

「どうなってる? では答えよう。これは換装技術、MTDにあらかじめ登録してある装備を呼び出す、一般には非公開の技術だ」

「これらの技術を知っているのは今のところ、魔導騎士領、竜島傭兵戦団ドラゴニックス貝樹錐嗣かいききりつぐ魔科学研究国まかがきけんきゅうこくだったな」

 ハーネストがルミアの言葉を続けた。

「ああ、そしてそれらの関係者以外で知る者はいない」

「じゃあ、ハーネストは」

 翔は黒コートの背中を見つめる。

「…関係者、なのかもな」

「なに?」

 ルミアが眉を顰める。

「もう隠してもいられないだろう。だから俺はこういうしかないんだよ」

 その言葉が合図だったのか、ハーネストは持っていたMTDを目の前の騎士に向け言った。

「俺は……今までの記憶が、ないんだよ」

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